概要:
金属材料の性質は化学成分や材料組織に大きく依存する。加えて、最終的に金属材料の特性を決定する熱処理や加工処理および変態などの機構を十分理解する事が、構造材料の利用技術や製造技術においては非常に重要である。本講義では、これらの機構について講義する。
実務経験のある教員による授業科目:この科目は、企業で機械部品材料の研究開発、熱処理・表面処理技術を担当していた教員により、その経験を活かして現場での技術の事例を含めた講義を行うものである。
授業の進め方・方法:
定期試験(中間試験40%+期末試験40%、中間試験を実施しなかった時は期末試験のみで評価)80%、小テスト・課題等20%として評価する。
到達目標に記載した項目の基礎的な内容と理解度とその活用度を評価基準とする試験を実施し、60点以上を合格とする。
必要に応じて再試験を実施するが、評価は60点とする。
注意点:
教科書およびプリントを使用して講義する。また、演習問題を解かせて発表させる。今までに学んだ基礎的な事をベースに、実用例も引用して応用力をつける。金属材料の開発および製造技術全体の材料組織制御の感性を養う。
関連科目:金属物理学、材料組織学、金属材料学、物理化学
本科目は学修単位科目であるので、授業時間以外での学修が必要であり、これを課題として課す。
次回の授業範囲を予習し、専門用語の意味等を理解しておくこと。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 材料系分野 | 材料物性 | 金属の一般的な性質について説明できる。 | 4 | 前1,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15 |
原子の結合の種類および結合力や物質の例など特徴について説明できる。 | 4 | 前1 |
結晶構造の特徴の観点から、純金属、合金や化合物の性質を説明できる。 | 4 | 前1,前13 |
結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。 | 4 | 前1 |
ミラー指数を用いて格子方位と格子面を記述できる。 | 4 | 前1 |
代表的な結晶構造の原子配置を描き、充填率の計算ができる。 | 4 | 前1 |
X線回折法を用いて結晶構造の解析に応用することができる。 | 4 | 前1,前14 |
金属材料 | 純鉄の組織と変態について、結晶構造を含めて説明できる。 | 4 | 前2,前5,前6,前7,前8,前14 |
炭素鋼の状態図を用いて標準組織および機械的性質を説明できる。 | 4 | 前2,前5,前6,前7,前8,前14 |
炭素鋼の焼入れの目的と得られる組織、焼入れによる機械的性質の変化を説明できる。 | 4 | 前2,前5,前6,前7,前8,前14,前15 |
焼入れた炭素鋼の焼戻しの目的とその過程に関する知識を活用し、焼入れ焼き戻しによる機械的性質の変化を説明できる。 | 4 | 前2,前5,前6,前7,前8,前14,前15 |
合金鋼の状態図の読み方を利用して炭化物の種類や析出挙動を説明できる。 | 4 | 前4,前5,前6,前7,前8,前12,前14,前15 |
合金鋼の添加元素と機械的性質に関する知識を利用して、合金鋼の用途を選択できる。 | 4 | 前11 |
状態図を用いて、鋳鉄の性質および組織について説明できる。 | 3 | 前2,前6,前7,前8,前15 |
純銅の強度的特徴、物理的、化学的性質について説明できる。 | 2 | 前9,前10 |
黄銅や青銅について、その成分および特徴を理解し、適切な合金を応用できる。 | 3 | 前2,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前12,前13,前14,前15 |
アルミニウムの強度的特徴、物理的・化学的性質について説明できる。 | 2 | 前9,前10 |
鋳造用・展伸用アルミニウムについて、その成分や熱処理による組織学的変化の観点から適切な合金を応用できる。 | 3 | 前2,前5,前6,前7,前8,前12,前13,前14,前15 |
物理化学 | 熱力学第一法則と内部エネルギーの概念を説明できる。 | 4 | 前3,前4,前12 |
内部エネルギー、熱、仕事の符号の規則を説明でき、膨張の仕事を計算できる。 | 4 | 前3,前4 |
エンタルピーの定義およびエンタルピーが状態量であることを説明できる。 | 4 | 前3,前4 |
断熱変化に伴う温度変化を計算できる。 | 3 | 前3,前4 |
標準生成エンタルピーの物理的意味を理解し、反応エンタルピーを計算できる。 | 3 | 前3,前4 |
定圧熱容量と定容熱容量の関係式が導出できる。 | 3 | 前3,前4 |
エントロピーの定義を理解し、不可逆過程におけるエントロピー生成について説明できる。 | 4 | 前3,前4 |
ヘルムホルツエネルギーとギブズエネルギーの定義および自発的変化の方向性との関連について説明できる。 | 4 | 前3,前4 |
標準モルギブズエネルギーの定義に基づいて標準反応ギブズエネルギーを計算できる。 | 4 | 前3,前4 |
内部エネルギーと巨視的熱力学量の関係を導出できる。 | 4 | 前3,前4 |
純物質の化学ポテンシャルの定義と物理的意味を理解し、理想気体の化学ポテンシャルを計算できる。 | 4 | 前3,前4 |
理想溶液と実在溶液の違いを説明できる。 | 4 | 前3,前4 |