機械創造実習

科目基礎情報

学校 有明工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 機械創造実習
科目番号 0027 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 機械工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 前期:2 後期:2
教科書/教材 機械実習1;嵯峨常男,中西祐二監修/実教出版機械実習2;嵯峨常男,中西祐二監修/実教出版技能ブックシリーズ1巻~20巻;技能士の友編集部編/大河出版機械工学用語辞典;西川兼康,高田勝監修/理工学社新機械工学便覧;新機械工学便覧編集委員会/理工学社
担当教員 南 明宏

到達目標

1.前期実習においては,1,2年での機械基礎実習で習得した技術を基礎にして,与えられた実習テーマに対し,製作した物の寸法等を正確に測定できる.
2.前期実習においては,1,2年での機械基礎実習で習得した技術を基礎にして,与えられた実習テーマに対し,より精度よく製作することができる.
3.後期実習においては,履修者各々が自身の判断と責任の下で作業工程を考えることができる.
4.後期実習においては,履修者が製作した製品の良否から作業工程の適否を考察することができる.
5.作業行程設計,考察を含めた実習報告書の作成ができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1与えられた実習テーマに対し,製作した物を正確に,かつ迅速に測定できる.与えられた実習テーマに対し,製作した物をある程度正確に,かつ所定の時間内に測定できる.与えられた実習テーマに対し,製作した物を不正確に,かつ所定の時間内に測定できない.
評価項目2与えられた実習テーマに対し,より精度よく,かつ制限された時間内に製作することができる.与えられた実習テーマに対し,ある程度精度よく,かつほぼ制限された時間内に製作することができる.与えられた実習テーマに対し,精度不良および制限された時間内に製作することもできない.
評価項目3履修者各々が自身の判断と責任の下で作業工程を十分に考えることができる.履修者各々が自身の判断と責任の下で作業工程を考えることができる.履修者各々が自身の判断と責任の下で作業工程を考えることができない.
評価項目4履修者が製作した製品の良否から作業工程の適否を的確に考察することができる.履修者が製作した製品の良否から作業工程の適否を考察することができる.履修者が製作した製品の良否から作業工程の適否を考察することができない.
評価項目5作業行程設計,考察を十分に含めた実習報告書の作成ができる.作業行程設計,考察を含めた実習報告書の作成ができる.作業行程設計,考察を含めた実習報告書の作成ができない.

学科の到達目標項目との関係

 学習教育到達目標 B-3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
液晶テレビ,音響機器,冷蔵庫などの各種家電製品から自動車,航空機等の乗り物に至るまで,私たちの身の回りの製品は,優れた生産技術なくしては普及し得ない.これら工業製品の生産においては,形状,精度,強度,動作,価格,安全性といった要求される様々な機能を,納期という制約の中で実現しなければならない.
本実習の目的は,のちに行うべき機械設計のために必要な知見を,工作実習を通して習得することである.
機械設計のために必要な知見とは,例えば上述の製品の形状をいかにして実現するかの工程設計を行うために,あるいは図面に書き込むべき情報を判断して指示するために必要な知見のことである.
したがって,優れた製品設計をするためには,加工技術を中心とした生産技術に関しての幅広い知識と経験が求められる.
本実習においては,まず加工および計測技術に関して履修者に課題提示を行う.そして,1・2年時の機械基礎実習で学習した内容を基礎として,履修者各々が自身の判断と責任の下で作業工程を考え,課題達成を図ることを行う.そして,実習後は製品の良否から作業工程の適否を考察する.このような一連の作業を通し,履修者は合理的な考えの下で工程が設計できるセンスを涵養する.
授業の進め方・方法:
毎回与えられたテーマの実習を行い,その内容に沿った実習報告書を作成し,提出する.
全体を5パート(前期)もしくは4パート(後期)に分けて下記のテーマをローテーションする.
注意点:
本実習では,1,2年次の機械基礎実習,2年次の機械基礎製図で学んだ知識,3年次からの開講科目である材料学,精密加工,機構と要素等の知識も必要である.実習後半においては,4・5年次の機械工学の学習と連結の強いテーマが提示される.したがって,本実習で習得する技術や知見は,専門分野の授業理解をより具体性をもって促すこととなる.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 旋盤作業(段付き軸加工) 荒削り,仕上げ切削に対し,寸法公差を考慮した製作方法を理解できる.
2週 旋盤作業(段付き軸加工) 仕上げ切削,ネジ切りに対し,寸法公差を考慮した製作方法を理解できる.
3週 旋盤作業(段付き軸加工) テーパ加工,最終仕上げ切削に対し,寸法公差を考慮した製作方法を理解できる.
4週 NC 工作機械作業(NC フライス盤作業) 工具補正やコーナーの円弧補間等を考慮したNC プログラムが作成できる.
5週 NC 工作機械作業(NC フライス盤作業) 工具補正やコーナーの円弧補間等を考慮したNC プログラムが作成できる.
6週 NC 工作機械作業(NC フライス盤作業) 作成したNCプログラムを用いて実際に所定の加工操作ができる.
7週 フライス盤・ホブ盤作業:ねじれ溝加工,歯車製作,歯車の精度検査(その1) 歯車の組み合わせやテーブルの角度を計算して,ねじれ溝の加工を行うことができる.
8週 フライス盤・ホブ盤作業:ねじれ溝加工,歯車製作,歯車の精度検査(その2) 作業の段取りや材料の取り付け方等を考慮して,ホブ盤により歯車を製作することができる.
2ndQ
9週 フライス盤・ホブ盤作業:ねじれ溝加工,歯車製作,歯車の精度検査(その3) またぎ歯厚法やオーバピン法により歯車の歯厚の測定を行うことができ,さらに,歯車に関する様々な仕組みを理解できる.
10週 測定作業(ダイヤルゲージの精度測定) ダイヤルゲージの精度測定方法を習得し,合わせて構造や原理,取り扱い方法を理解できる.
11週 測定作業(流量式空気マイクロメータの寸法測定) 流量式空気マイクロメータの寸法測定方法を習得し,合わせて構造や原理,取り扱い方法を理解できる.
12週 測定作業(マイクロメータ,シリンダゲージの精度・寸法測定) ブロックとリングの寸法測定値をもとに,品質管理の統計的手法の一つである度数分布,ヒストグラム等を作成できる.合わせてシリンダゲージの構造や原理,取り扱い方法を理解できる.
13週 溶接作業:溶接ロボット,スポット溶接
(その1)
自動溶接について理解し,それに関する技術を習得できる.
14週 溶接作業:溶接ロボット,スポット溶接
(その2)
様々なアーク溶接について理解し,その技術を習得できる.
15週 溶接作業:溶接ロボット,スポット溶接
(その3)
バイブロッシャーの使い方や仕組みを理解し,その技術を習得できる.
16週
後期
3rdQ
1週 後期実習テーマに関するガイダンス 4つのテーマ内容の作業工程設計の方針や製作方法についての説明が理解できる.
2週 溶接作業(その1) 提示された容積と耐圧性能を持つタンクを,溶接箇所や形状を考えて工程設計を行い,製作できる.
3週 溶接作業(その2) 提示された容積と耐圧性能を持つタンクを,溶接箇所や形状を考えて工程設計を行い,製作できる.
4週 溶接作業(その3) 提示された容積と耐圧性能を持つタンクを,溶接箇所や形状を考えて工程設計を行い,製作できる.
5週 測定作業(その1) 提示された製品に対し,自ら必要な測定項目を検討し測定を実施する.そして,提示製品に対して正確な図面が作成できる.
6週 測定作業(その2) 提示された製品に対し,自ら必要な測定項目を検討し測定を実施する.そして,提示製品に対して正確な図面が作成できる.
7週 測定作業(その3) 提示された製品に対し,自ら必要な測定項目を検討し測定を実施する.そして,提示製品に対して正確な図面が作成できる.
8週 旋盤作業(その1) 素材と図面から加工工程を考え,適切な工具を選択し,所定の製品を製作できる.
4thQ
9週 旋盤作業(その2) 素材と図面から加工工程を考え,適切な工具を選択し,所定の製品を製作できる.
10週 旋盤作業(その3) 素材と図面から加工工程を考え,適切な工具を選択し,所定の製品を製作できる.
11週 組み立て作業(その1) 二つ以上の粗加工部品を組み合わせる際に,手仕上げ工程が必要な箇所を検討し,工程設計を行い,所望の寸法精度および組み合わせ状態を達成できる.
12週 組み立て作業(その2) 二つ以上の粗加工部品を組み合わせる際に,手仕上げ工程が必要な箇所を検討し,工程設計を行い,所望の寸法精度および組み合わせ状態を達成できる.
13週 組み立て作業(その3) 二つ以上の粗加工部品を組み合わせる際に,手仕上げ工程が必要な箇所を検討し,工程設計を行い,所望の寸法精度および組み合わせ状態を達成できる.
14週 工場見学 地元地域の工場の見学を行い,今までの機械基礎・創造実習で行った内容が実際の現場でどのように活用されているかを理解できる.
15週 機械創造実習(まとめ) 3年生の実習において実施した機械の仕組みや操作方法,特性,測定技術等を総括できる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の工学実験・実習能力機械系分野【実験・実習能力】機械系【実験実習】実験・実習の目標と心構えを理解し、実践できる。3
災害防止と安全確保のためにすべきことを理解し、実践できる。3
レポートの作成の仕方を理解し、実践できる。3
ノギスの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。3
マイクロメータの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。3
ダイヤルゲージ、ハイトゲージ、デプスゲージなどの使い方を理解し、計測できる。3
けがき工具を用いてけがき線をかくことができる。3
やすりを用いて平面仕上げができる。3
ねじ立て工具を用いてねじを切ることができる。3
ガス溶接で用いるガス、装置、ガス溶接棒の扱いかたがわかる。3
ガス溶接の基本作業ができる。3
ガス切断の基本作業ができる。3
アーク溶接の原理を理解し、アーク溶接機、アーク溶接器具、アーク溶接棒の扱い方を理解し、実践できる。3
アーク溶接の基本作業ができる。3
旋盤主要部の構造と機能を説明できる。3
旋盤の基本操作を習得し、外丸削り、端面削り、段付削り、ねじ切り、テ―パ削り、穴あけ、中ぐりなどの作業ができる。3
フライス盤主要部の構造と機能を説明できる。3
フライス盤の基本操作を習得し、平面削りや側面削りなどの作業ができる。3
ボール盤の基本操作を習得し、穴あけなどの作業ができる。3
NC工作機械の特徴と種類、制御の原理、NCの方式、プログラミングの流れを説明できる。3
少なくとも一つのNC工作機械について、プログラミングができる。3
少なくとも一つのNC工作機械について、各部の名称と機能、作業の基本的な流れと操作を理解し、プログラミングと基本作業ができる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合00005050100
基礎的能力0000000
専門的能力00005050100
分野横断的能力0000000