応用物理学Ⅱ

科目基礎情報

学校 有明工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 応用物理学Ⅱ
科目番号 0058 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 前期:1
教科書/教材 授業中に配布する演習プリント
担当教員 竹内 伯夫

到達目標

1.物体の運動と微分・積分との関係について理解し,微分方程式などの数学的手法を用いて,運動の法則について説明できる。
2.微分・積分を用いて,仕事と力学的エネルギー,運動量保存則について説明できる。
3.微分方程式や極座標表示などの数学的手法を用いて,振動と回転について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1力と運動との関係について理解し、微分方程式の形で運動方程式を表すことができる。初期条件が与えられた微分方程式の問題として、応用問題を解くことができる。位置や速度・加速度と微分・積分との関係について理解し、物体に簡単な力が作用している場合について、微分方程式の形で運動方程式を表すことができる。初期条件が与えられた微分方程式の問題として、基本的な問題を解くことができる。位置や速度・加速度と微分・積分との関係について理解できない。微分方程式の形で運動方程式を表すことができない。初期条件が与えられた微分方程式の問題として、基本的な問題を解くことができない。
評価項目2微分・積分を用いて、仕事、力学的エネルギー、運動量保存側について、論理的に説明でき、これらの応用問題を解くことができる。微分・積分を用いて、仕事、力学的エネルギー、運動量保存側について、概略を説明でき、これらの基本的な問題を解くことができる。微分・積分を用いて、仕事、力学的エネルギー、運動量保存側について、概略を説明できない。これらの基本手的な問題を解くことができない。
評価項目3振動運動について運動方程式を立て、一般解を求めることができ、解をもとに、振動運動を論理的に説明できる。極座標表示について論理的に説明でき、回転運動の応用問題を解くことができる。単振動について、微分方程式の解法としての一般解を求めることができる。抵抗力や外力が作用する場合の振動運動について運動方程式を立てることができ、減衰振動、強制振動について概略を説明できる。極座標表示について説明でき、角運動量保存の法則や鉛直面内での円運動について、基本的な問題を解くことができる。単振動について、微分方程式の解法としての一般解を求めることができない。抵抗力や外力が作用する場合の振動運動について運動方程式を立てることができない。減衰振動、強制振動について概略を説明できない。極座標表示について説明できない。角運動量保存の法則や鉛直面内での円運動について、基本的な問題を解くことができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 物理学は、現代の科学・技術の基礎をなす学問の一つである。物理学の中で最も基礎的なそして身近な現象に結びついた分野は力学である。この力学はニュートンにより体系的に確立され、これを基として多くの物理現象が解明されてきた。物理現象を抽象化して、その中に存在する事柄から物理法則を見いだし、これらの法則から未解明現象を解明するというプロセスを通して物理学は発展してきた。本科目では、微分・積分・微分方程式などの数学的な取り扱いを含む力学の学習を通して、物理現象を理解し、その中から簡潔な型にまとめられる物理法則を見いだし、定量的に力学現象を学ぶ。これは、物理学の他分野の学習に通じるものである。
授業の進め方・方法:
講義中心に授業を進め、授業中に配布するプリントを用いて演習を行う。内容の理解と定着をはかるため、演習問題プリントはレポートとして、解答・提出してもらう。
注意点:

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業の概要説明
0 物理で使う数学
・ベクトル、微分・積分、三角関数
ベクトル、微分・積分、三角関数を用いた基本的な計算ができる。
2週 1 質点にはたらく力 質点にはたらく力について、ベクトル量の概念を理解し、基本的な計算ができる。
3週 2 運動の表し方 位置、速度、加速度ベクトル量の間で成り立つ微分・積分の関係について理解できる。
4週 3 運動の法則 運動の法則について理解できる。物体に作用するさまざまな力を理解し、作用している力を見抜き、運動方程式をたてるときの手順について理解できる。
5週 4 簡単な力と運動 簡単な力(重力、摩擦力、垂直抗力、速度の大きさに比例する抵抗力など)が作用しているときの物体の運動を、初期条件と微分方程式とが与えられた問題として整理・理解し、解答できる。
6週 5 仕事とエネルギー ベクトルと積分を使った仕事の表し方について理解できる。運動方程式を変形することによって、仕事と運動エネルギーの関係について理解できる。
7週 6 力学的エネルギー保存の法則 保存力や位置エネルギーの間で成り立つ微分・積分の関係について理解できる。
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 7 運動量保存の法則 運動量の変化と力積の関係について理解できる。運動量保存の法則について理解できる。
10週 0 物理で使う数学
・微分方程式
微分方程式(変数分離形、線形2階微分方程式)の解法について理解できる。
11週 9 単振動
・単振動の基本的性質
物体に復元力がはたらく場合の運動である単振動について、微分方程式の解法としての一般解を求めることができる。
12週 9 単振動
・単振り子、浮体の振動
単振動の具体例として、単振り子や浮体の振動運動について、一般解を求めることができる。
13週 10 振動運動
・減衰振動、強制振動
復元力だけでなく速さに比例した抵抗力がはたらく場合の運動方程式の解について、条件により、減衰振動、臨界減衰(臨界制動)、過減衰に分類されることを理解し、これらの問題の解を導くことができる。周期的な外力がはたらいた場合の運動は強制振動となり、条件によっては共振状態となることを理解できる。
14週 12 平面運動の極座標表示 質点について、力のモーメント、角運動量、回転運動の法則を記述する極座標表示が理解できる。力のモーメントがはたらかない場合に、角運動量保存の法則、面積速度一定の法則が成り立つことが理解できる。
15週 期末試験
16週 テスト返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3前3,後3
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。3
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3
物体に作用する力を図示することができる。3
力の合成と分解をすることができる。3
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。3
慣性の法則について説明できる。3
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3
運動方程式を用いた計算ができる。3
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3前4,前5,後4
運動の法則について説明できる。3
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。3
最大摩擦力に関する計算ができる。3
動摩擦力に関する計算ができる。3
仕事と仕事率に関する計算ができる。3
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。3
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.3
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力のモーメントを求めることができる。3
角運動量を求めることができる。3前14,後14
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3前14,後14
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3
重心に関する計算ができる。3
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3前14
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3前14
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3
気体の内部エネルギーについて説明できる。3
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。3
熱機関の熱効率に関する計算ができる。3
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。3
横波と縦波の違いについて説明できる。3
波の重ね合わせの原理について説明できる。3
波の独立性について説明できる。3
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。3
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。3
ホイヘンスの原理について説明できる。3
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。3
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。3
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。3
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。3
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。3
自然光と偏光の違いについて説明できる。3
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。3
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。3
電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。3
オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。3
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。3
ジュール熱や電力を求めることができる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000200100
基礎的能力80000200100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000