概要:
有明高専の教育目標は実践に強い技術者を送り出すことにあり,これまで多くの企業において高い評価を得てきました.機械工学科ではこのような技術者を育てるために,機械設計製図,機械実習,機械工学実験に多くの時間を当てるなど力を入れています.座学で多岐にわたる専門科目を学び,広い専門知識の取得や論理的思考能力の育成を行うと共に,座学で学んだ事柄を実験で確かめることは確たる力を付けるのに役立ちます.本実験では,教員主導で実験を進めるのではなく,学生自らが実験手引き書を読み,現象を見て考えながら実験を進めます.実験報告書は単に実験結果の記述に終わるのではなく,実験の背景について理解して自分の言葉で記述し,また実験結果については教科書や文献を調べるなど実験結果について適切なマトメと考察を要求します.このように多数の実験で経験した事柄は,企業に入ってからの開発実験現場や製造現場で大いに役立ち,実践に強い技術者,思考能力のある技術者となる事ができます.
授業の進め方・方法:
実験テーマ毎に数名のグループに分かれて各実験を行います.各実験は4回で終了し,前半の3回は実験,最後の1回はレポート作成になります.最後の実験は通常の実験に加え学生自ら応用的な実験に取り組んでもらうため,実験5回,レポート作成3回とします.実験のスケジュールは実験手引書に添付しています.実験報告書の提出期限は原則,実験レポート作成日の翌日の1限目授業開始前とし,提出期限を過ぎた場合は減点します.詳しくは実験手引書に記載しています.
注意点:
毎時間の予習を行ない,関数電卓を持参すること.
実験中は,作業服を着用し,安全作業に心がけること.
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
実験ガイダンス |
講義内容を理解し,今後の実施における心構えができる.
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2週 |
ディーゼルエンジンの性能試験 (実験3回+レポート1回) |
一般的なエンジン性能の算出のほかに,熱エネルギーの流れを解析するための熱精算が理解できる.各性能値の意味と算出方法および算出に必要な測定値が理解できる.
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3週 |
走査電子顕微鏡による金属の破面観察 (実験3回+レポート1回) |
電子顕微鏡の原理を理解し,基本的な操作ができる.金属の破面の形態と進展メカニズムが理解できる.
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4週 |
有限要素法を用いた金型温度及び変形解析 (実験3回+レポート1回) |
有限要素法の特徴を理解し,専用ソフトを用いた解析ができる.熱解析に必要な熱通過率,熱伝導率,熱伝達係数等のパラメータがどのように金型温度分布に影響を及ぼすかが理解できる.
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5週 |
水車の実験 (実験3回+レポート1回) |
ペルトン水車,フランシス水車,プロペラ水車の性能試験を行い,測定結果より,流量,軸動力,水動力,水車効率を計算し,特性曲線を描くことができる.また,各水車の特徴について理解し,比較できる.
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6週 |
うず巻きポンプの実験 (実験3回+レポート1回) |
うず巻きポンプの性能試験を行い,測定結果より吐出量に対する全揚程,軸動力および効率が計算できる.ポンプの損失について理解し,説明ができる.
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7週 |
機械力学実験 (実験3回+レポート1回) |
①長柱の共振現象実験 垂直に立てた長柱の下部固定,上部をフリーにし,下部固定端に周期的変位を加えると,長柱が入力周波数により共振現象を起こし,観察した各モードにおける周波数と,理論的な周波数を求める手法が理解できる. ②ばねー質量系の共振実験 2質点をもつばねー質量系の共振周波数の測定と共振現象の観察を行い,2質点の変位が同位相で大きくなる1次モード,逆位相で大きくなる2次モードを観察を通し理論値との比較検討手法が理解できる. ③慣性モーメントの実験 回転軸まわりに回転する回転体の慣性モーメントを簡単な実験により求め,理論計算値との比較検討手法が理解できる.
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8週 |
油圧サーボ実験Ⅱ (実験3回+レポート1回) |
①自動追従試験 油圧噴射管式調節機を用いた自動追従試験を,円盤のエッジコントロールを行い,フィードバック制御の実際が理解できる. ②PID制御動作 代表的な制御則であるPID制御のうち,比例動作および積分動作を油圧サーボ装置の実験を通して理解できる.
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2ndQ |
9週 |
歯車・ねじの精度測定 (実験3回+レポート1回) |
①歯車精度測定 歯車試験機によりはすば歯車の歯形誤差,ねじれ角誤差,歯溝の振れを精密に測定し,測定データを分析して各測定項目に対する等級を調べ,歯車の形状が理解できる. ②ねじ精度測定 工具顕微鏡によりねじの外径,谷の径,有効径,ピッチおよびねじ山の角度の測定を行い,その等級を調べ,ねじ形状について理解し,他の測定法による有効径の測定も行い,測定法の違いによる影響等について理解できる.
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10週 |
シーケンス制御実験 (実験3回+レポート1回) |
実際にリレーを用いてシーケンス回路を配線してシーケンス制御の基礎を理解し,次に同じ実験内容をプログラマブルコントローラ(PC)を用いた方法で実験を行うことで,より高度な問題解決に対応できる力を身につける.次に,応用実験としてより複雑な制御問題に学生自らチャレンジし問題解決を行い.シーケンス制御の基礎から応用まで理解できる.
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11週 |
実験レポート作成 (各実験の4回目で実施) |
実験目的,内容,実験結果をまとめ,考察を加えた報告書を作成できる.
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12週 |
実験実施 |
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13週 |
実験実施 |
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14週 |
実験実施 |
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15週 |
実験実施 |
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の工学実験・実習能力 | 機械系分野【実験・実習能力】 | 機械系【実験実習】 | 実験・実習の目標と心構えを理解し、実践できる。 | 4 | |
災害防止と安全確保のためにすべきことを理解し、実践できる。 | 4 | |
レポートの作成の仕方を理解し、実践できる。 | 4 | |
加工学実験、機械力学実験、材料学実験、材料力学実験、熱力学実験、流体力学実験、制御工学実験などを行い、実験の準備、実験装置の操作、実験結果の整理と考察ができる。 | 4 | |
実験の内容をレポートにまとめることができ、口頭でも説明できる。 | 4 | |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 他者が話す日本語や特定の外国語の内容を把握できる。 | 3 | |
日本語や特定の外国語で、会話の目標を理解して会話を成立させることができる。 | 3 | |
円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。 | 3 | |
円滑なコミュニケーションのための態度をとることができる(相づち、繰り返し、ボディーランゲージなど)。 | 3 | |
態度・志向性(人間力) | 態度・志向性 | 態度・志向性 | 周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。 | 3 | |
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。 | 3 | |
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。 | 3 | |
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。 | 3 | |
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。 | 3 | |
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。 | 3 | |