電子デバイスⅠ

科目基礎情報

学校 有明工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 電子デバイスⅠ
科目番号 0023 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 前期:1 後期:1
教科書/教材 よくわかる電子デバイス;筒井一生/オーム社
担当教員 石丸 智士

到達目標

1.電気伝導現象に着目した半導体の特徴について理解し,半導体中のキャリヤの挙動について説明できる.
2.半導体デバイスに関する最も基本的事項である「接合」,とくに伝導タイプの異なる半導体どうしの接合であるpn接合,および金属と半導体の接合により生じる界面でおこる物理現象(特に電気的な現象)について説明できる.
3.トランジスタ(バイポーラ・トランジスタ)の動作機構と接地回路方式について説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1半導体の性質および半導体中のキャリヤの挙動について詳細に説明できる.半導体の特徴と半導体における電気伝導について説明できる.半導体の特徴と半導体における電気伝導について説明できない.
評価項目2pn接合および金属-半導体接合界面でおこる物理現象と電気特性について詳細に説明できる.pn接合および金属-半導体接合の電気特性について説明できる.pn接合および金属-半導体接合の電気特性について説明できない.
評価項目3バイポーラトランジスタの動作機構と接地回路方式について詳細に説明できる.バイポーラトランジスタの動作と接地回路方式の特徴について説明できる.バイポーラトランジスタの動作と接地回路方式の特徴について説明できない.

学科の到達目標項目との関係

学習教育到達目標 B-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
半世紀前にトランジスタが発明されて以来,電子工学は急速に発展した.これは半導体技術のめざましい進歩によるものであり,現在では1枚のシリコンチップに数百万個を超えるトランジスタをもつ集積回路や,数十GHzの周波数で高速に動作するトランジスタ,半導体レーザを用いた光通信,光ディスク,太陽電池などが開発され,これらの半導体素子を組み込んだ種々の電気器具や電子機器は私たちの生活に欠かすことのできないものになっている.このように現代社会においてエレクトロニクスは非常に重要な位置を占め,とりわけ半導体工学に関する知識は技術者として必要不可欠なものとなっている.
本科目では,半導体材料の性質とその性質を用いて動作する半導体デバイスの動作機構およびその特性の基本的事項について学習する.
授業の進め方・方法:
講義を中心とする.単元ごとに配付する演習問題により予習・復習を行うこと.
注意点:
化学および物理の基礎的な知識を有していること.また,2年次までに学習した電気回路・電磁気学の基本的な法則について理解し,計算等ができること.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 科目ガイダンス
半導体の基礎(1)
科目の目的・概要・評価方法等について把握できる.
原子や結晶内における電子のエネルギーについて説明できる.
エネルギーバンドの形成について概要を説明できる.
2週 半導体の基礎(2) キャリヤ(電子・正孔)の基本的な性質について説明できる.
金属・半導体・絶縁体のエネルギーバンド図について説明できる.
3週 半導体の基礎(3) 半導体の種類(真性半導体,不純物半導体)と特徴について説明できる.
4週 半導体の基礎(4) 状態密度,フェルミ分布およびキャリヤ密度について説明できる.
5週 半導体の基礎(5) 状態密度,フェルミ分布およびキャリヤ密度の関係について説明できる.
6週 半導体の基礎(6) 真性半導体や不純物半導体のエネルギーバンドやキャリヤ密度について説明できる.
7週 半導体の基礎(7) 半導体におけるキャリヤ密度やフェルミ準位等の計算ができる.
8週 中間試験
2ndQ
9週 キャリヤの運動 固体中のキャリヤの運動(ドリフト・拡散)と電流の関係について説明できる.
10週 キャリヤの運動と電流 キャリヤの運動と電流の関係について説明でき,移動度や拡散定数を用いて電流などを計算することができる.
11週 pn接合(1) 半導体が関係する種々の接合の概略について説明することができる.
pn接合の熱平衡状態におけるエネルギーバンド構造について説明できる.
12週 pn接合(2) pn接合の諸条件から拡散電位を計算することができる.
13週 pn接合(3) 順方向電圧および逆方向電圧印加時におけるエネルギーバンド構造の変化とキャリヤ輸送の関係からpn接合の整流特性について説明できる.
14週 pn接合(4) pn接合の諸条件と空乏層の状態について理解し,空乏層幅と印加電圧の関係を導くことができる.
15週 期末試験
16週 試験答案返却と解説
後期
3rdQ
1週 pn接合(5) pn接合に生じる容量成分について説明できる.
pn接合の諸条件から等価容量を計算することができる.
2週 金属-半導体接合(1) ショットキー接合が形成される条件について説明できる.
3週 金属-半導体接合(2)
pn接合における諸現象(1)
オーミック接合が形成される条件について説明できる.
ブレークダウン(アバランシェ効果)のメカニズムについて説明できる.
4週 pn接合における諸現象(2) ブレークダウン(ツェナー効果)のメカニズムとトンネル効果を利用したツェナーダイオードについて説明できる.
少数キャリヤ蓄積効果について説明できる.
5週 バイポーラトランジスタ(1) トランジスタの概念と役割について説明できる.
バイポーラトランジスタの種類と構造について説明できる.
6週 バイポーラトランジスタ(2) バイポーラトランジスタの動作原理について説明できる.
7週 バイポーラトランジスタ(3) バイポーラトランジスタの動作と電流伝送率について説明できる.
8週 中間試験
4thQ
9週 ベース接地回路(1) ベース接地回路動作について説明できる.
10週 ベース接地回路(1) ベース接地回路の電流増幅率や電圧増幅率などを求めることができる.
11週 エミッタ接地回路(1) エミッタ接地回路動作について説明できる.
12週 エミッタ接地回路(1) エミッタ接地回路の電流増幅率や電圧増幅率などを求めることができる.
13週 バイポーラトランジスタの等価回路 バイポーラトランジスタの等価回路について説明できる.
14週 4端子パラメータ hパラメータについて説明できる.
hパラメータを用いた等価回路について説明できる.
15週 期末試験
16週 試験答案返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子回路ダイオードの特徴を説明できる。4前13,前14,後1,後2,後3,後4
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。4後5,後6,後7,後13,後14
電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。3前2
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。4前6,前7,前14
原子の構造を説明できる。2前1,前14
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。3前2,前4
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。3前9,前10
真性半導体と不純物半導体を説明できる。4前3
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。3前2,前6
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。4前11,前12,前13
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。4後5,後6,後7

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合9500050100
基礎的能力0000000
専門的能力9500050100
分野横断的能力0000000