到達目標
1.固体の微視的構造(結晶構造や電子配置)が物質の熱的性質や電気的性質をはじめとする種々の性質とどのように関連しているかについて説明できること.
2.電子デバイスが物質のどのような性質を利用して構成されているのかを考え,デバイスの機能と材料物性との関連について説明できること.
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 固体の微視的構造と巨視的な性質との関連性について,格子振動や量子力学を用いて説明できる. | 固体の微視的構造と巨視的な性質との関連性について説明できる. | 固体の微視的構造と巨視的な性質との関連性について説明できない. |
評価項目2 | 学習する電子材料やデバイスの機能と材料物性との関連について具体的に説明できる. | いくつかの電子材料やデバイスの機能と材料物性との関連について説明できる. | 電子材料やデバイスの機能と材料物性の関連について説明できない. |
評価項目3 | | | |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
エレクトロニクス分野において材料を扱う学問は非常に重要である.トランジスタや集積回路が半導体の電気的性質を利用して作られていることからもその重要性が認識できるであろう.このように材料の電気的な性質や磁気的な性質をミクロな視点に立ち理解することはこれまでに開発されてきた種々のデバイスを学ぶ上で,またさらに高度なデバイスの開発の可能性を探る上でも必要不可欠である.物性は,原子や電子に着目して物質の性質を微視的に究明していくことを目的とする学問であり,本科目においては物質中における電子の振る舞いに重点を置き,物性論を展開するとともに,種々の電子デバイスがもつ電気磁気的特性が,それを構成する材料のミクロな性質とどのように関わっているかについて学習する.
授業の進め方・方法:
講義を中心とする.また,単元ごとに配付するプリントや教科書を用いて予習・復習を行うこと.
注意点:
化学,物理の基礎的な知識および電気工学の知識を有していること.
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
科目ガイダンス 結晶構造(1) |
原子の構造,原子内の電子配置および結晶の結合力について説明できる.
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2週 |
結晶構造(2) |
イオン結合および共有結合について説明できる.
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3週 |
結晶構造(3) |
金属結合およびファン・デル・ワールス結合について説明できる.また,空間格子の概念について説明できる.
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4週 |
結晶構造(4) |
格子方向と格子面の表現方法について理解できる.
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5週 |
結晶構造(5) |
ブラベー格子と代表的な結晶構造について説明できる.
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6週 |
結晶構造(6) |
代表的な結晶構造の空間充填率や密度などの計算ができる.
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7週 |
結晶構造(7) |
X線回折とそれを用いた結晶構造の解析方法について説明できる.
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8週 |
中間試験 |
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2ndQ |
9週 |
試験答案返却と解説 格子振動(1) |
1種類の原子からなる1次元格子振動の分散関係を導出することができる.
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10週 |
格子振動(2) |
2種類の原子からなる1次元格子振動の分散関係を導出することができる.また,振動モードの特徴について定性的に説明できる.
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11週 |
格子振動(3) |
フォノンの概念について説明できる.
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12週 |
固体の熱的性質(1) |
固体の比熱に関する古典論およびアインシュタイン理論について説明できる.
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13週 |
固体の熱的性質(2) |
固体の比熱に関するデバイ理論について説明できる.また,格子振動による熱伝導現象について説明できる.
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14週 |
古典的電子伝導モデル |
古典論を用いた固体内の電子伝導について説明できる.また,ドリフト速度,移動度,緩和時間および導電率などの計算ができる.
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15週 |
期末試験 |
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16週 |
試験答案返却と解説 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
量子力学の基礎(1) |
光および物質の二重性について理解し,エネルギーや波長,波数などの計算ができる.
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2週 |
量子力学の基礎(2) |
量子力学の考え方について概要の説明ができる.
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3週 |
量子力学の基礎(3) |
井戸型ポテンシャル中の電子の挙動について説明できる.
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4週 |
量子力学の基礎(4) |
トンネル効果について説明できる. パウリの排他律を理解し,原子内の電子配置について説明できる.
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5週 |
固体のエネルギーバンド理論(1) |
金属の自由電子モデルを用い,金属内の電子の状態密度がどのようになるか説明できる.
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6週 |
固体のエネルギーバンド理論(2) |
フェルミ分布および金属内の電子密度分布について把握できる.またフェルミ準位と電子密度の関係について説明できる.
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7週 |
固体のエネルギーバンド理論(3) |
クローニッヒ・ペニーのモデルによりエネルギーバンドの形成が理論的に導かれることを理解できる.
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8週 |
中間試験 |
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4thQ |
9週 |
試験答案返却と解説 固体のエネルギーバンド理論(4) |
固体内の電子の有効質量について説明できる.
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10週 |
半導体 |
半導体の基礎的な性質や特徴について説明できる.
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11週 |
ホール効果 |
ホール効果について説明できる.また,ホール効果の観測により半導体の伝導型,移動度およびキャリヤ密度などが算出できることを理解し,これらの計算ができる.
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12週 |
固体の光学的性質(1) |
固体における光の吸収・反射について説明できる.また,光吸収機構や基礎吸収について理解できる.
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13週 |
固体の光学的性質(2) |
いくつかの光デバイスについて,原理や特徴などを説明できる.
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14週 |
超伝導現象 |
超伝導体が示す完全導電性およびマイスナー効果について説明できる.
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15週 |
期末試験 |
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16週 |
試験答案返却と解説 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電子工学 | 電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。 | 4 | 後9 |
原子の構造を説明できる。 | 4 | 前1 |
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。 | 4 | 後4 |
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。 | 4 | 後5,後6,後7 |
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。 | 4 | 前14 |
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。 | 4 | 後7 |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 100 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 100 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |