無機化学

科目基礎情報

学校 有明工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 無機化学
科目番号 0021 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 物質工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 前期:2 後期:1
教科書/教材 現在の無機化学;合原眞,井手悌,栗原寛人著/三共出版
担当教員 田中 康徳,宮本 信明

到達目標

1 物質を構成する基本単位である様々な元素の性質を理解し、各元素が持つ特異な性質が原子核を取りまく電子の様々な振る舞いによることを周期表と関連付けて
説明できる。 

2 元素の組み合わせからなる様々な無機元素および化合物の構造、結合状態、性質について説明できる。
3 基本的な無機材料に関して用途、構造、合成反応等を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目1 物質を構成する基本単位である様々な元素の性質を理解し、各元素が持つ特異な性質が原子核を取りまく電子の様々な振る舞いによることを周期表と関連付けて正しい語句を使用して詳細に説明できる。  物質を構成する基本単位である様々な元素の性質を理解し、各元素が持つ特異な性質が原子核を取りまく電子の様々な振る舞いによることを周期表と関連付けて説明できる。 物質を構成する基本単位である様々な元素の性質を理解していない。あるいは各元素が持つ特異な性質が原子核を取りまく電子の様々な振る舞いによることを周期表と関連付けて説明できない。
評価項目2 元素の組み合わせからなる様々な無機元素および化合物の構造、結合状態、性質について正しい語句を使用して詳細に説明できる。また,エネルギー,金属原子の充填率,イオン半径比などの計算が正しくできる。 元素の組み合わせからなる様々な無機元素および化合物の構造、結合状態、性質について説明できる。 元素の組み合わせからなる様々な無機元素および化合物の構造、結合状態、性質について説明できない。
評価項目3 学習したほとんどの無機材料に関して用途、構造、合成反応等を詳細に説明できる。 基本的な無機材料に関して用途、構造、合成反応等を説明できる。 基本的な無機材料に関して用途、構造、合成反応等を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習教育到達目標 B-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 無機化学は専門基礎科目の1つで,重要な科目です。この科目は理論的なものから各元素の性質までその内容は広いです。まず原子構造,化学結合,溶液化学,錯体化学などの基礎理論を中心に学びます。さらに基礎理論をもとに,各元素・各種化合物の基本事項を系統的に学習することにより,無機化学に対しての応用力を身につけます。
授業の進め方・方法:
 前期に週1コマを宮本教員が,もう1コマを田中教員が実施する。後期は週1コマを宮本教員が実施する。講義を主体とするが,章末の演習問題のレポートを作成し,授業時間中に発表,質疑応答を実施します。
注意点:
化学,分析化学の基本事項の理解が必要です。前期成績は宮本教員と田中教員の平均として,後期中間成績は,宮本教員の試験の素点として計算します。学年末の最終成績は,宮本教員の通年の4回の試験の平均点と田中教員の前期の2回の平均点を3:2の割合として算出します。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 原子の構造(田中)
水和(宮本)
原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数、原子量を説明できる。 同位体について説明できる。放射線の種類と性質を説明できる。 (田中)
水の基本的性質を説明できる。水和の基本的事項を理解できる。(宮本)
2週 放射能(田中)
酸と塩基(宮本)
放射性元素の半減期と安定性を説明できる。 年代測定の例として、C13による時代考証ができる。 核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる。(田中)
酸と塩基のアレニウス,ブレンステッド,ルイスの各定義を理解できる。弱酸と強酸,弱塩基と強塩基について説明できる。(宮本)
3週 水素の原子模型(田中)
酸と塩基溶液(宮本)
水素の原子スペクトルについて説明できる。(田中)
酸と塩基のアレニウス,ブレンステッド,ルイスの各定義を理解できる。弱酸と強酸,弱塩基と強塩基について説明できる。(宮本)
4週 波動方程式(田中)
塩と緩衝液(宮本)
4つの量子数について説明できる。(田中)
塩と緩衝液の基本事項を説明できる。それら溶液のpH計算を理解できる。(宮本)
5週 電子軌道(田中)
沈殿反応(宮本)
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。 (田中)
難容性塩の溶出反応を説明できる。溶解度積の計算を理解できる。(宮本)
6週 電子配置(田中)
HSAB理論(宮本)
パウリの排他原理、軌道のエネルギー順位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。 (田中)
硬い酸・塩基とやわらかい酸・塩基の基本事項を説明できる。それらの酸塩基反応を理解できる。(宮本)
7週 周期表(田中)
復習と演習(宮本)
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。(田中)
今までの範囲を復習し,教科書の章末問題を解答し,内容を理解できる。(宮本)
8週 【前期中間試験】
2ndQ
9週 化学結合(田中)
イオン伝導(宮本)
イオン結合と共有結合について説明できる。 本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。配位結合の形成について理解している。水素結合について理解している。(田中)
電解質溶液のイオン伝導について説明できる。電気伝導率の計算を理解できる。(宮本)
10週 共有結合(田中)
酸・塩基の解離定数(宮本)
代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。電子配置から混成軌道の形成について説明できる。(田中)
電離平衡定数の測定法を説明できる。さらに計算法を理解できる。(宮本)
11週 イオン結合と結晶(田中)
起電力とGibbsの自由エネルギー(宮本)
イオン結合について説明できる。幾つかの種類のイオン結晶の構造を説明できる。イオン半径比など基本的な計算ができる。(田中)
電池反応を説明できる。可逆電池の基本事項を理解できる。(宮本)
12週 イオン結晶の格子エネルギー(田中)
Nernstの式(宮本)
Born-Landéの式およびBorn−Haber Cycleを用いて格子エネルギーを計算できる。(田中)
各種電極について説明できる。電極電位,起電力を計算できる。(宮本)
13週 金属結合と結晶(田中)
起電力測定の応用(宮本)
金属結合の形成について理解している。幾つかの金属結晶の構造を説明できる。結晶の充填構造と充填率を計算できる。(田中)
起電力測定の応用例を計算法も含めて理解できる。pH計,イオン選択電極について説明できる。(宮本)
14週 共有結晶と分子結晶(田中)
復習と演習(宮本)
共有結晶と分子結晶の性質を説明できる。(田中)
今までの範囲を復習し,教科書の章末問題を解答し,内容を理解できる。(宮本)
15週 【前期末試験】
16週 テスト返却と解説
後期
3rdQ
1週 錯体の定義と命名法 錯体の定義,特徴,利用などを説明できる。その命名法を理解できる。
2週 錯体の構造と異性体 配位数と錯体の構造について理解できる。錯体の異性体について説明できる。
3週 錯体の反応 錯体の反応について説明できる。安定度定数を理解できる。
4週 錯体の理論 錯体の原子価結合理論を説明できる。静電結晶場理論,配位子場理論を説明できる。
5週 生物無機化学 生体内の金属錯体について説明できる。それらの働きについて理解できる。
6週 水素と水素化合物 水素と他元素との水素化合物の基本的事項を理解できる。主な化合物の特徴,用途などについて説明できる。
7週 復習と演習 今までの範囲を復習し,さらに教科書の章末問題を解答し,内容を理解できる。
8週 【後期中間試験】
4thQ
9週 sブロック元素 sブロック元素と化合物について基本的事項を理解できる。主な元素と化合物の特徴,用途などを説明できる。
10週 pブロック元素単体 pブロック元素の単体の基本的事項を理解できる。主な元素の特徴,用途などを説明できる。
11週 pブロック元素化合物 pブロック元素の化合物の基本的事項を理解できる。主な化合物の特徴,用途などを説明できる。
12週 dブロック元素金属 dブロック元素金属の基本的事項を理解できる。主な金属と合金の特徴,用途などを説明できる。
13週 dブロック元素化合物 dブロック元素化合物の基本的事項を理解できる。主な化合物の特徴,用途などを説明できる。
14週 fブロック元素金属と化合物 fブロック元素金属と化合物の基本的事項を理解できる。主な金属と化合物特徴,用途などを説明できる。
15週 【後期末試験】
16週 テスト返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。4
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。4
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。4
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。4
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。4
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。4
イオン結合と共有結合について説明できる。4
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。4
金属結合の形成について理解できる。4
代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。4
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。4
各種無機材料の機能発現や合成反応を結晶構造、化学結合、分子軌道等から説明できる。4
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。4
配位結合の形成について説明できる。4
水素結合について説明できる。4
錯体化学で使用される用語(中心原子、配位子、キレート、配位数など)を説明できる。4
錯体の命名法の基本を説明できる。4
配位数と構造について説明できる。4
代表的な錯体の性質(色、磁性等)を説明できる。4
代表的な元素の単体と化合物の性質を説明できる。4
セラミックス(ガラス、半導体等)、金属材料、炭素材料、半導体材料、複合材料等から、生活及び産業を支えるいくつかの重要な無機材料の用途・製法・構造等について理解している。4
現代を支える代表的な新素材を例に、その機能と合成方法、材料開発による環境や生命(医療)等、現代社会への波及効果について説明できる。4
単結晶化、焼結、薄膜化、微粒子化、多孔質化などのいくつかについて代表的な材料合成法を理解している。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力0000000
専門的能力10000000100
分野横断的能力0000000