到達目標
1.機器分析の基本原理・操作を習得し、実験を行うことができる
2.得られた結果を理解し、文献等に記載されている値と適宜比較を行う等のデータ処理を行うことができる
3.得られた結果について工学的な考察を行い、図表を用いてまとめることができる
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 機器分析の基本原理・操作正確に習得し、自ら計画的に的確な実験を行うことができる | 機器分析の基本原理・操作をある程度習得し、実験を行うことができる | 機器分析の基本原理・操作を習得できず、実験を行うことができない |
評価項目2 | 得られた結果を正確に理解し、文献等に記載されている適切な値と適宜比較を行う等のデータ処理を正しく行うことができる | 得られた結果をある程度理解し、文献等に記載されている値と比較を行う等のデータ処理を行うことができる | 得られた結果を理解できず、文献等に記載されている値と比較を行う等のデータ処理を行うことができない |
評価項目3 | 得られた結果について工学的な考察を行い、適切な図表を用いて論理的にまとめることができる | 得られた結果について考察を行い、図表を用いてまとめることができる | 得られた結果について考察を行うことができず、図表を用いてまとめることができない |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
電子工学の発展を背景とした各種の高性能分析機器の発達がめざましい。これらの分析機器の原理、測定法、解析法に習熟することは、物質工学科の学生にとって卒研をする上だけでなく就職後でも極めて重要である。分析機器は便利なもので容易に結果を出してくれるが、操作を機械的に行うのではなく熟慮して測定を行い、結果を注意深く解析する必要がある。
この科目の授業目標は、主に次の通りである。
1)走査型電子顕微鏡の観察については基本的な操作法ができ、さらに原理も説明できる。熱分析法(TG-DTA)では、測定データから化合物の熱的変化が考察できること。
2)原子吸光法の基礎操作ができ、さらに未知溶液中のイオン濃度の測定ができる。X線回析法についても基本的な操作と未知物質の同定ができる。pH計による中和滴定では滴定曲線の作成と未知濃度の測定ができること。
3)紫外・可視吸収スペクトル(UV-VIS)、核磁気共鳴分析(NMR)、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)の各測定において、基本的な操作法を習得すること。また与えられた未知試料について、NMR及びHPLC測定より化合物の同定ができる。HPLCにおいてはさらに未知試料の濃度が決定できる。UV-VISにより酸解離定数の測定ができること。
授業の進め方・方法:
週のうち、2コマは実験、1コマはデータ整理およびレポート作成の時間とする。全体を3つの班に分け(担当教員によってはさらに細分化する)、8つあるテーマのうち、割り当てられたテーマの実験をローテーションしながら実施する。レポート作成の時間を設けているが完成させるには時間が足らないため、時間外にも自主的・計画的に行う必要がある。
注意点:
機器分析学をはじめ、一般化学、有機化学、無機化学、材料工学といった複数の専門科目の知識が必要となる。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
オリエンテーション |
実験のスケジュール、実験の心得、注意事項、各テーマにおける内容・課題について知る。
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2週 |
【テーマ1】走査型電子顕微鏡(SEM)による形状観察 |
SEMによるプラスチック粉末の観察方法、および基本的な操作法と原理を理解する。
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3週 |
【テーマ1(2週目)】走査型電子顕微鏡(SEM)による形状観察 |
EMによるプラスチック粉末の観察方法、および基本的な操作法と原理を理解する。
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4週 |
【テーマ2】熱分析法(TG-DTA)による化合物の分析 |
基本的な操作法と原理を理解し、熱重量分析(TG)および示差熱分析(DTA)の同時分析を行い、測定データから化合物の熱的変化を理解する。
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5週 |
【テーマ2(2週目)】熱分析法(TG-DTA)による化合物の分析 |
基本的な操作法と原理を理解し、熱重量分析(TG)および示差熱分析(DTA)の同時分析を行い、測定データから化合物の熱的変化を理解する。
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6週 |
【テーマ3】原子吸光法によるイオンの定量分析 |
イオン標準溶液を用いて検量線の作成を行い、未知溶液中のイオン濃度を測定する。これより、原子吸光法の基礎操作と原理を理解する。
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7週 |
【テーマ4】X線回折法による物質の定性分析 |
未知試料の定性分析を行う。X線回析法の基本的な操作と原理を理解する。
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8週 |
【テーマ5】pH計による中和滴定 |
塩酸、酢酸の定量を行い、滴定曲線の作成法とその解釈を学ぶ。また計算から理論滴定曲線作成し、実験値と比較できる。
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4thQ |
9週 |
【課題1】 |
テーマ3、4、5、に関して与えられた課題を解くことで、各テーマに関する理解度を深める。
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10週 |
【テーマ6】紫外・可視吸収スペクトル(UV-VIS)測定による酸解離定数の決定 |
各pHで調製した有機化合物含有水溶液のUV-VIS測定を行い、酸解離定数を決定する。物質の構造変化が吸収帯にどう影響するのかを理論も含めて理解する。
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11週 |
【テーマ7】核磁気共鳴(NMR)分析法による有機化合物の分析 |
簡単な有機化合物を合成し、出発原料および生成物のNMR測定を行う。基本的な操作法のみならずNMRの仕組みや原理、スペクトルの帰属法も含めて理解する。
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12週 |
【テーマ8】高速液体クロマトグラフィ(HPLC)測定による有機化合物の定量 |
HPLC測定を行い、未知試料中に含まれる目的物の同定および絶対検量線法を用いた定量分析を行う。基本的な操作法のみならずクロマトグラフィの仕組みや原理を理解する。
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13週 |
【課題2】 |
テーマ3、4、5、に関して与えられた課題を解くことで、各テーマに関する理解度を深める。
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14週 |
【課題3】 |
全ての実験テーマについて振り返り、複数の分析機器を用いた研究について調査することで実践的な知識を習得する。
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15週 |
評価通知と解説 |
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16週 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の工学実験・実習能力 | 化学・生物系【実験実習】 | 分析化学実験 | 中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算できる。 | 4 | |
酸化還元滴定法を理解し、酸化剤あるいは還元剤の濃度計算できる。 | 4 | |
代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、携帯観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。 | 4 | |
固体、液体、気体の定性・定量・構造解析・組成分析等に関して必要な特定の分析装置に関して測定条件を選定し、得られたデータから考察をすることができる。 | 4 | |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 30 | 0 | 30 |
専門的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 60 | 0 | 60 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 10 | 0 | 10 |