到達目標
1.標準電極電位とネルンストの式を理解し、電気化学反応について説明できる。
2.電気化学の応用として、pHメータの測定原理、燃料電池の作動原理を説明できる。
3.基礎的な反応速度モデルを理解し、微分方程式から反応速度を計算できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安(可) | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 標準電極電位とネルンストの式の基礎と応用を理解し、複雑な電気化学反応について説明できる。 | 標準電極電位とネルンストの式を理解し、電気化学反応について説明できる。 | 標準電極電位とネルンストの式を理解できず、電気化学反応について説明できない。 |
評価項目2 | 電気化学の応用として、pHメータの測定原理、燃料電池の作動原理を詳細に説明できる。 | 電気化学の応用として、pHメータの測定原理、燃料電池の作動原理を説明できる。 | 電気化学の応用として、pHメータの測定原理、燃料電池の作動原理を説明できない。 |
評価項目3 | 多様な反応速度モデルを理解し、高度な微分方程式を解いて反応速度を計算できる。 | 基礎的な反応速度モデルを理解し、微分方程式から反応速度を計算できる。 | 基礎的な反応速度モデルを理解できず、微分方程式から反応速度を計算できない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
物理化学1および物理化学2で学んだ熱力学においては、十分に時間が経過した後の平衡状態における物質変化の基礎を学んだ。すなわち、標準ギブス自由エネルギーという概念の導入により、反応系(出発物質)から生成系(最終物質)に至る速度や経路は注視せず、変化前と変化後の差が主たる議論の題材であった。本講義の前半は、酸化還元反応に伴う電子の授受に熱力学を適用し、標準ギブス自由エネルギーが標準電極電位と直接に繋がることを解説する。その結果、pH測定、腐食、二次電池、燃料電池など身近な実用例が統一的に理解される。本講義の後半は、反応系から生成系に至る速度や経路に注目し、特に「時間」を変数とする微分方程式により反応速度を記述する。
授業の進め方・方法:
使用テキスト「新しい基礎物理化学(三共出版)」に準拠し、講義形式で進める。物理化学3においては第8章および第9章を学ぶ。必要に応じて資料を配付し、演習問題を解いて理解を深める。授業中に数値計算を課すので関数電卓は必ず持参すること(定期試験にも電卓持込みとする)。なお、専門用語の英語訳は将来的に極めて重要であると考え、早いうちから慣れておくことを必須課題とする。具体的にはテキスト脚注の英単語はすべて必修とし、定期試験に出題する。
注意点:
物理化学の理解には数式の取扱いが必須であり、これまで数学で学んだ微積分、幾何学などを活用していくことになる。
数学が苦手だった学生には、嫌々復習するのではなく、自然の法則が数式によって記述されることに新鮮な感動を覚え、自身の計算で科学現象を導く醍醐味を味わってほしい。
1.関数電卓の使い方に慣れ、単純な計算でも必ず実行して最終結果まで自身で導くこと。
2.計算時、必ず「単位」に留意せよ。異なる単位同士の足し算・引き算はあり得ない。異なる単位の掛け算・割り算によって別の単位が生成する。
3.紙とエンピツによる数式の手計算も重要である一方、エクセル等のPCソフトの活用は極めて有効であると心得よ。
本講義の中にも随所に数学の基礎知識を確認する演習等を行うが、到達目標に達しない場合は追加課題を与える。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
概要説明 |
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2週 |
電気化学① |
溶液の熱力学および酸化還元に関する基礎事項を概観し、不明瞭な点を明らかにする
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3週 |
電気化学② |
ギブス標準自由エネルギーと標準電極電位を説明できる
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4週 |
電気化学③ |
ネルンストの式を用いて化学電池の起電力を計算できる
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5週 |
電気化学④ |
電池反応と電気分解を理解し、実用例を説明できる
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6週 |
電気化学⑤ |
腐食と防食について電気化学的観点から説明できる
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7週 |
電気化学⑥ |
固体電解質について理解し、その実用例を説明できる
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8週 |
中間試験 |
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2ndQ |
9週 |
試験返却 |
中間試験範囲で理解不十分であった点を認識する。理解できていた点についても別解法や多面的な理解を深める。
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10週 |
反応速度論① |
反応速度の定義を理解し、実験的決定方法を説明できる
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11週 |
反応速度論② |
反応次数の概念を理解し、反応速度式を立てて解くことができる
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12週 |
反応速度論③ |
1次反応、2次反応の半減期を求めることができる
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13週 |
反応速度論④ |
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる
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14週 |
反応速度論⑤ |
活性化エネルギーを理解し、アレニウスプロットを説明できる
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15週 |
期末試験 |
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16週 |
試験返却 |
期末試験範囲で理解不十分であった点を認識する。理解できていた点についても別解法や多角的な理解を深める。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 化学(一般) | 化学(一般) | 酸化還元反応について説明できる。 | 3 | |
イオン化傾向について説明できる。 | 3 | |
金属の反応性についてイオン化傾向に基づき説明できる。 | 3 | |
ダニエル電池についてその反応が説明できる。 | 3 | |
鉛蓄電池についてその反応が説明できる。 | 3 | |
一次電池の種類を知っている。 | 3 | |
二次電池の種類を知っている。 | 3 | |
電気分解反応を説明できる。 | 3 | |
電気分解の利用として、たとえば電解めっき、銅の精錬、金属のリサイクルへの適用など、実社会における技術の利用例を説明できる。 | 3 | |
ファラデーの法則による計算ができる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系 | 物理化学 | 平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。 | 4 | |
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。 | 4 | |
反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。 | 4 | |
微分式と積分式が相互に変換できて半減期が求められる。 | 4 | |
連続反応、可逆反応、併発反応等を理解している。 | 4 | |
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる。 | 4 | |
衝突理論を理解して、アレニウスプロットを説明できる。 | 4 | |
ネルンストの式を用いて、起電力、自由エネルギー、平衡定数の関係が説明できる。 | 4 | |
電池反応と電気分解を理解し、実用例を説明できる。 | 4 | |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 90 | 0 | 0 | 0 | 10 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 90 | 0 | 0 | 0 | 10 | 0 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |