到達目標
1.粒子と波動の二重性について理解し、適用方法を説明できる。
2.水素原子のボーアモデルを理解し、不連続スペクトルを定量的に説明できる。
3.シュレディンガー波動方程式の意味を理解し、簡単な量子力学の計算ができる。
4.原子核の構造と放射能について説明できる。
5.固体の結晶構造を理解し、その物性との関連を説明できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安(可) | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 粒子と波動の二重性について理解し、基礎的な適用方法を応用できる。 | 粒子と波動の二重性について理解し、基本的な適用方法を説明できる。 | 粒子と波動の二重性について理解できず、基本的な適用方法を説明できない。 |
評価項目2 | 水素原子のボーアモデルを理解し、不連続スペクトルを定量的に説明できるとともに、その矛盾点を議論できる。 | 水素原子のボーアモデルを理解し、不連続スペクトルを定量的に説明できる。 | 水素原子のボーアモデルを理解できず、不連続スペクトルを定量的に説明できない。 |
評価項目3 | シュレディンガー波動方程式の意味を理解し、高度な量子力学の計算ができる。 | シュレディンガー波動方程式の意味を理解し、簡単な量子力学の計算ができる。 | シュレディンガー波動方程式の意味を理解できず、簡単な量子力学の計算ができない。 |
評価項目4 | 原子核の構造と放射能について詳細に説明できる | 原子核の構造と放射能について説明できる | 原子核の構造と放射能について説明できない |
評価項目5 | 固体の結晶構造を熟知し、その物性との関連を5つ以上の例について説明できる | 固体の結晶構造を概ね理解し、その物性との関連を3つ以上の例について説明できる | 固体の結晶構造を理解できず、物性との関連を説明できない |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
物理化学は、種々の物質の構造と特性について、巨視的および微視的な2つの立場から理解しようとするものである。物理化学1〜3では「新しい基礎物理化学(三共出版)」をテキストとして用い、主に巨視的な立場から物理化学現象を説明した。本講義では、ニュートンの古典力学と量子力学の相違点を認識した後、量子論的な考え方の基礎とその簡単な応用について修得する。また、原子核構造と放射能についても概説する。
授業の進め方・方法:
資料を配付し、演習問題を解いて理解を深める。授業中に数値計算を課すので関数電卓は必ず持参すること(定期試験にも電卓持込みとする)。なお、専門用語の英語訳は将来的に極めて重要であると考え、早いうちから慣れておくことを必須課題とする。主要となる専門用語の英単語はすべて必修とし、定期試験に出題する。
注意点:
物理化学の理解には数式の取扱いが必須であり、これまで数学で学んだ微積分、幾何学などを活用していくことになる。
数学が苦手だった学生には、嫌々復習するのではなく、自然の法則が数式によって記述されることに新鮮な感動を覚え、自身の計算で科学現象を導く醍醐味を味わってほしい。
1.関数電卓の使い方に慣れ、単純な計算でも必ず実行して最終結果まで自身で導くこと。
2.計算時、必ず「単位」に留意せよ。異なる単位同士の足し算・引き算はあり得ない。異なる単位の掛け算・割り算によって別の単位が生成する。
3.紙とエンピツによる数式の手計算も重要である一方、エクセル等のPCソフトの活用は極めて有効であると心得よ。
本講義の中にも随所に数学の基礎知識を確認する演習等を行うが、到達目標に達しない場合は追加課題を与える。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
概要説明 |
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2週 |
光と波の二重性① |
既に学んだ古典力学の基礎を再確認し、量子力学との相違を明確にする
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3週 |
光と波の二重性② |
量子力学の基本式を理解し、基本的な単位換算に慣れる。光電効果および電子の回折現象について理解する
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4週 |
前期量子論① |
黒体放射の現象をプランクの量子仮説で説明でき、水素の原子半径をボーアモデルによって説明できる
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5週 |
前期量子論② |
水素の不連続スペクトルをボーアモデルによって説明できる
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6週 |
波動方程式① |
シュレディンガーの波動方程式を導出することができ、その物理的な意味を説明できる
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7週 |
波動方程式② |
井戸型ポテンシャルにおける波動方程式を解くことができる
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8週 |
中間試験 |
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4thQ |
9週 |
試験返却 |
中間試験範囲で理解不十分であった点を認識する。理解できていた点についても別解法や多面的な理解を深める。
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10週 |
原子核構造と放射能 |
放射能の種類と性質を理解し、放射性元素の半減期と安定性を説明できるとともに核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる
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11週 |
固体化学① |
結合様式の違いにより結晶を分類でき、材料特性との関連を説明できる
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12週 |
固体化学② |
ミラー指数によって結晶面を記述でき、晶系と対称性について説明できる
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13週 |
固体化学③ |
固体電解質のイオン伝導性と結晶構造の関連を説明できる
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14週 |
固体化学④ |
固体の電子伝導性と電子構造の関連を説明できる
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15週 |
期末試験 |
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16週 |
試験返却 |
期末試験範囲で理解不十分であった点を認識する。理解できていた点についても別解法や多角的な理解を深める。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系 | 無機化学 | 主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。 | 2 | |
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。 | 2 | |
代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。 | 2 | |
物理化学 | 放射線の種類と性質を説明できる。 | 4 | |
放射性元素の半減期と安定性を説明できる。 | 4 | |
年代測定の例として、C13による時代考証ができる。 | 4 | |
核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる。 | 4 | |
ボーアの水素モデルを説明できる。 | 4 | |
1次元波動方程式を解くことができる。 | 4 | |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 90 | 0 | 0 | 0 | 10 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 90 | 0 | 0 | 0 | 10 | 0 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |