到達目標
1.タンパク質、核酸の構造安定性について熱力学側面から説明できる。
2.生体内の緩衝作用、電気化学ポテンシャルを理解し、これらを使って生体内の恒常性を説明できる
3.生体内のエネルギー生産、利用を熱力学的立場から説明できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安(可) | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | タンパク質、核酸の構造およびその安定性について熱力学的側面から説明できる。 | タンパク質、核酸の構造について熱力学的側面から説明できる。 | タンパク質、核酸の構造について熱力学的側面から説明できない。 |
評価項目2 | 生体内の緩衝作用、電気化学ポテンシャルを理解し、これらを使って生体内の恒常性を説明できる。 | 生体内の緩衝作用、電気化学ポテンシャルを理解している。
生体内の恒常性を理解している。 | 生体内の緩衝作用、電気化学ポテンシャルを理解しておらず、生体内の恒常性を説明できない。 |
評価項目3 | 生体内の反応が熱力学の法則にしたがっていることを説明できる。 | 生体内のエネルギー生産、利用を熱力学的立場から説明できる。 | 生体内のエネルギー獲得、生産、利用を熱力学的立場から説明できない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
物理化学1および物理化学2では標準ギブス自由エネルギーという概念のを導入し、化学現象、化学反応についての熱力学の基礎を学んだ。本講義では、物理化学1および物理化学2で学んだ熱力学の考えを生体に導入し、複雑・難解と思われがちな生体の現象、生体内の反応についても熱力学が適用でき、理解できることを学び、生体の現象、反応の理解を深める。
授業の進め方・方法:
前半は使用テキスト「新しい基礎物理化学(三共出版)」に準拠し、後半はプリントを配布して講義形式で進める。物理化学3の前半においては第10章を学ぶ。後半は生体をエネルギーの立場から理解する。必要に応じて資料を配付し、演習問題を解いて理解を深める。授業中に数値計算を課すので関数電卓は必ず持参すること(定期試験にも電卓持込みとする)。なお、専門用語の英語訳は将来的に極めて重要であると考え、早いうちから慣れておくことを必須課題とする。具体的にはテキスト脚注の英単語はすべて必修とし、定期試験に出題する。
注意点:
物理化学の理解には数式の取扱いが必須であり、これまで数学で学んだ微積分、幾何学などを活用していくことになる。
数学が苦手だった学生には、嫌々復習するのではなく、自然の法則(本講義では生物の体内で起こる様々な現象)が数式によって記述されることに新鮮な感動を覚え、自身の計算で科学現象を導く醍醐味を味わってほしい。
1.関数電卓の使い方に慣れ、単純な計算でも必ず実行して最終結果まで自身で導くこと。
2.計算時、必ず「単位」に留意せよ。異なる単位同士の足し算・引き算はあり得ない。異なる単位の掛け算・割り算によって別の単位が生成する。
3.紙とエンピツによる数式の手計算も重要である一方、エクセル等のPCソフトの活用は極めて有効であると心得よ。
本講義の中にも随所に数学の基礎知識を確認する演習等を行うが、到達目標に達しない場合は追加課題を与える。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
概要説明 |
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2週 |
生体と物理化学① |
タンパク質の構造と熱力学について理解する
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3週 |
生体と物理化学② |
核酸の構造と安定性について,熱力学の観点から理解する
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4週 |
生体と物理化学③ |
体液の恒常性と細胞の活動について,物理化学的立場から理解する
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5週 |
生体と物理化学④ |
細胞中での拡散、浸透現象について,物理化学的立場から理解する
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6週 |
生体と物理化学⑤ |
細胞膜での電気化学ポテンシャルについて理解する
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7週 |
生体と物理化学⑥ |
能動輸送、受動輸送について,物理化学的立場から理解する
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8週 |
中間試験 |
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2ndQ |
9週 |
試験返却 |
中間試験範囲で理解不十分であった点を認識する。理解できていた点についても別解法や多面的な理解を深める。
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10週 |
生体エネルギー論① |
細胞のエネルギー利用を理解する 酵素反応とギブスの自由エネルギー変化を理解する
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11週 |
生体エネルギー論② |
酵素反応について物理化学的立場、速度論的立場から理解する
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12週 |
生体エネルギー論③ |
基質レベルのリン酸化について,物理化学的立場から理解する
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13週 |
生体エネルギー論④ |
酸化的リン酸化について,物理化学的立場から理解する
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14週 |
生体エネルギー論⑤ |
光リン酸化について,物理化学的立場から理解する
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15週 |
期末試験 |
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16週 |
試験返却 |
期末試験範囲で理解不十分であった点を認識する。理解できていた点についても別解法や多角的な理解を深める。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 化学(一般) | 化学(一般) | 酸化還元反応について説明できる。 | 3 | |
イオン化傾向について説明できる。 | 3 | |
金属の反応性についてイオン化傾向に基づき説明できる。 | 3 | |
ダニエル電池についてその反応が説明できる。 | 3 | |
鉛蓄電池についてその反応が説明できる。 | 3 | |
一次電池の種類を知っている。 | 3 | |
二次電池の種類を知っている。 | 3 | |
電気分解反応を説明できる。 | 3 | |
電気分解の利用として、たとえば電解めっき、銅の精錬、金属のリサイクルへの適用など、実社会における技術の利用例を説明できる。 | 3 | |
ファラデーの法則による計算ができる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系 | 物理化学 | 熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。 | 4 | 前2,前3 |
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。 | 4 | 前4,前5 |
熱力学の第二・三法則の定義と適用方法を説明できる。 | 4 | 前2,前3 |
化学反応でのエントロピー変化を計算できる。 | 4 | 前2,前3 |
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。 | 4 | 前2,前3 |
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。 | 4 | 前4,前5,前6,前7,前10 |
衝突理論を理解して、アレニウスプロットを説明できる。 | 4 | |
ネルンストの式を用いて、起電力、自由エネルギー、平衡定数の関係が説明できる。 | 4 | |
電池反応と電気分解を理解し、実用例を説明できる。 | 4 | 前6,前7 |
生物化学 | タンパク質の立体構造(一次・二次・三次・四次構造)について説明できる。 | 4 | 前2 |
ヌクレオチドの構造を説明できる。 | 4 | 前3 |
酵素の構造と酵素-基質複合体について理解している。 | 4 | 前2,前11 |
解糖系の概要を説明できる。 | 4 | 前12 |
クエン酸回路の概要を説明できる。 | 4 | 前12 |
電子伝達系におけるATPの合成を説明できる。 | 4 | 前13 |
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵・解糖)の過程を説明できる。 | 4 | 前12 |
各種の光合成色素の働きを説明できる。 | 4 | 前14 |
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。 | 4 | 前14 |
炭酸固定の過程を理解している。 | 4 | 前14 |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 0 | 0 | 0 | 20 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 80 | 0 | 0 | 0 | 20 | 0 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |