生体高分子工学

科目基礎情報

学校 有明工業高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 生体高分子工学
科目番号 0057 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 後期:1
教科書/教材 Essential 細胞生物学/南江堂
担当教員 小林 正幸

到達目標

1.炭水化物、タンパク質、核酸、脂質について、生体内での機能と化学構造・性質を結びつけて理解できる。
2.酵素の役割・性質・構造、生体内における役割を理解できる。
3.物質の変化とエネルギーの出入りを結びつけて理解できる。
4.生体の恒常性を維持するしくみを理解できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1炭水化物、タンパク質、核酸、脂質について、生体内での機能と化学構造・性質を結びつけて理解し、説明できる。炭水化物、タンパク質、核酸、脂質について、生体内での機能と化学構造・性質を結びつけて概ね理解している。炭水化物、タンパク質、核酸、脂質について、生体内での機能と化学構造・性質を結びつけて理解できていない。
評価項目2酵素の役割・性質・構造、生体内における役割を理解し、説明できる。酵素の役割・性質・構造、生体内における役割を概ね理解している。酵素の役割・性質・構造、生体内における役割を理解していない。
評価項目3物質の変化とエネルギーの出入りを結びつけて理解し、説明できる。物質の変化とエネルギーの出入りを結びつけて概ね理解している。物質の変化とエネルギーの出入りを結びつけて理解していない。
評価項目4生体の恒常性を維持するしくみを理解し、説明できる。生体の恒常性を維持するしくみを概ね理解している。生体の恒常性を維持するしくみを理解していない。

学科の到達目標項目との関係

学習教育到達目標 B-2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 生命現象を考えるうえで、生物を構成している物質の構造と機能、生体成分の合成と変換、情報伝達、これらの過程に含まれる生化学的反応制御機構等を明らかにすることは生命現象の本質を知るうえで非常に重要である。生物体を構成する基本的な素材はすべての生物に共通であり、アミノ酸、糖質、脂質、ヌクレオチドとよばれる生体分子であり、これらを基本単位として生体高分子を形成している。
 本科目では、これら生体高分子とそれらの構成要素の化学構造や性質について理解したうえで、生体内でこれらの生体高分子が分子レベルでどのように作用し、機能しているかを理解し、生体における生体高分子の意義、重要性について深く考える知識を得ること目標とする。
授業の進め方・方法:
中間試験までは2年生の生物、3年生の生物化学、生物工学基礎、4年生の生体触媒工学、生物工学と重複する部分もあることからグループワークと講義とで進める。中間試験以降は講義を中心に授業を進める。
シラバスに授業内容、到達目標が記載してあるので、該当箇所は予習して授業に臨むこと。
教科書には該当箇所の問題があるので、各人で解き進めて、内容の理解の定着をはかること。時折、該当箇所の問題を配布するので、各人で解き進めて、内容の理解の定着をはかること。
注意点:
2年生の生物、3年生の生物化学、生物工学基礎、4年生の生体触媒工学、生物工学を基礎とする科目であることから、これらの科目の理解度が低い学生は、これらの科目の理解度を十分にあげておくこと。
また、3年生の有機化学1、物理化学1、4年生の有機化学2、物理化学2の理解度も本科目修得の基礎となるので、これらの科目の理解度が低い学生は、これらの科目の理解度も十分にあげておくこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 イントロダクション
細胞の化学成分(化学結合)

生体物質に重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用等)の化学を理解している。
2週 細胞の化学成分(細胞内の分子:糖質、細胞内の巨大分子:多糖類) 各種単糖の化学構造、各種異性体について理解している。
単糖の直鎖構造と光学異性について理解し、Fischer投影式を用いて説明できる。
3週 細胞の化学成分(細胞内の分子:糖質、細胞内の巨大分子:多糖類) 単糖の環状構造とグリコシド結合の形成について理解し、Haworth式を用いて説明できる。
多糖の構造、機能を説明できる。
4週 細胞の化学成分(細胞内の分子:核酸、細胞内の巨大分子:ポリヌクレオチド) 各種核酸の化学構造を理解している。
ヌクレオチドの構造とホスホジエステル結合の形成について理解し、構造式を用いて説明できる。
ポリヌクレオチドの構造、機能を説明できる。
5週 細胞の化学成分(細胞内の分子:アミノ酸、細胞内の巨大分子:タンパク質)
タンパク質の機能と構造(タンパク質の形と構造)
各種アミノ酸の化学構造、各種異性体について理解している。
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について理解し、構造式を用いて説明できる。
タンパク質の立体構造(一次・二次・三次・四次構造)について理解し、説明できる。
6週 タンパク質の機能と構造(タンパク質のはたらくしくみ) タンパク質の機能について理解している。
酵素の構造と酵素-基質複合体について理解し、酵素のはたらき方について例をあげて説明できる。
7週 タンパク質の機能と構造(タンパク質の研究方法)
細胞の化学成分(細胞内の分子:脂肪酸)
膜の構造(脂質二重層、膜タンパク)
タンパク質の構造機能相関、解析について例をあげて説明できる。

各種脂肪酸の化学構造を理解している。
トリアシルグリセロールの構造、エステル結合の形成、ケン化について理解し、構造式を用いて説明できる。
リン脂質の構造、脂質二重層を説明できる。
膜タンパク質と球状タンパク質の構造についてそれぞれ理解し、それらの違いを説明できる。
8週 中間試験
4thQ
9週 テスト返却
膜輸送(膜輸送の原理、輸送体とその機能)
中間テストの範囲の内容で理解不足であったところ(テストで明確化されたところ)の内容を正確に理解する。
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について理解している。
ポンプとチャネルの輸送原理を理解する。
ポンプの機能について理解し、それらをチャネルの構造と関連付けて説明できる。
10週 膜輸送(イオンチャネルと膜電位) イオンチャネルの機能について理解し、それらをチャネルの構造と関連付けて説明できる。
パッチクランプ法の原理を理解している。
膜電位とエネルギーの関係を理解している。
11週 膜輸送(神経細胞のイオンチャネルとシグナル伝達) 神経細胞のイオンチャネルとシグナル伝達について理解している。
12週 細胞の情報伝達(細胞間シグナル伝達の一般原理) 情報伝達物質とその受容体のはたらきを理解している。
細胞間シグナル伝達(内分泌型・パラクリン型・神経型・接触型)について理解している。
13週 細胞の情報伝達(Gタンパク共役型受容体) 情報伝達物質とその受容体のはたらきを理解している。
Gタンパク共役型受容体のはたらきと情報伝達物質を理解している。
14週 細胞の情報伝達(酵素共役型受容体) 情報伝達物質とその受容体のはたらきを理解している。
酵素共役型受容体のはたらきと情報伝達物質を理解している。
15週 期末試験
16週 テスト返却 期末テストの範囲の内容で理解不足であったところ(テストで明確化されたところ)の内容を正確に理解する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。3後9,後10,後11
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。3後12,後13,後14
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。3後2,後4,後5
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。3後1
単糖と多糖の生物機能を説明できる。3後2
単糖の化学構造を説明でき、各種の異性体について説明できる。3後2
グリコシド結合を説明できる。3後3
多糖の例を説明できる。3後3
脂質の機能を複数あげることができる。3後7
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。3後7
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。3後7
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。3後6
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。3後5
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。3後5
タンパク質の高次構造について説明できる。3後5
ヌクレオチドの構造を説明できる。3後4
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。3後4
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。3後6

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力0000000
専門的能力10000000100
分野横断的能力0000000