物理化学特論

科目基礎情報

学校 有明工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 物理化学特論
科目番号 0072 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 後期:1
教科書/教材 資料を配付する。
担当教員 榎本 尚也

到達目標

1.粒子と波動の二重性について理解し、適用方法を説明できる。
2.水素原子のボーアモデルを理解し、不連続スペクトルを定量的に説明できる。
3.シュレディンガー波動方程式の意味を理解し、簡単な量子力学の計算ができる。
4.原子核の構造と放射能について説明できる。
5.固体の結晶構造を理解し、その物性との関連を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目1粒子と波動の二重性について理解し、基礎的な適用方法を応用できる。粒子と波動の二重性について理解し、基本的な適用方法を説明できる。粒子と波動の二重性について理解できず、基本的な適用方法を説明できない。
評価項目2水素原子のボーアモデルを理解し、不連続スペクトルを定量的に説明できるとともに、その矛盾点を議論できる。水素原子のボーアモデルを理解し、不連続スペクトルを定量的に説明できる。水素原子のボーアモデルを理解できず、不連続スペクトルを定量的に説明できない。
評価項目3シュレディンガー波動方程式の意味を理解し、初歩的な量子力学の計算ができる。シュレディンガー波動方程式の意味を理解し、簡単な量子力学の計算ができる。シュレディンガー波動方程式の意味を理解できず、簡単な量子力学の計算ができない。
評価項目4固体の結晶構造を熟知し、その物性との関連を5つ以上の例について説明できる固体の結晶構造を概ね理解し、その物性との関連を3つ以上の例について説明できる固体の結晶構造を理解できず、物性との関連を説明できない

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
物理化学は、種々の物質の構造と特性について、巨視的および微視的な2つの立場から理解しようとするものである。物理化学1〜3では「新しい基礎物理化学(三共出版)」をテキストとして用い、主に巨視的な立場から物理化学現象を説明した。本講義では、ニュートンの古典力学と量子力学の相違点を認識した後、量子論的な考え方の基礎とその簡単な応用について修得し、固体物性論の初歩と実用まで展開する。なお、この科目は企業で無機固体材料の機能開発に携わっていた教員が、その経験を活かし、機能性および構造セラミックスの特性、最新の設計手法等について講じるものである。
授業の進め方・方法:
資料を配付し、演習問題を解いて理解を深める。授業中に数値計算を課すので関数電卓は必ず持参すること(定期試験にも電卓持込みとする)。なお、専門用語の英語訳は将来的に極めて重要であると考え、早いうちから慣れておくことを必須課題とする。主要となる専門用語の英単語はすべて必修とし、定期試験に出題する。
注意点:
物理化学の理解には数式の取扱いが必須であり、これまで数学で学んだ微積分、幾何学などを活用していくことになる。
数学が苦手だった学生には、嫌々復習するのではなく、自然の法則が数式によって記述されることに新鮮な感動を覚え、自身の計算で科学現象を導く醍醐味を味わってほしい。
 1.関数電卓の使い方に慣れ、単純な計算でも必ず実行して最終結果まで自身で導くこと。
 2.計算時、必ず「単位」に留意せよ。異なる単位同士の足し算・引き算はあり得ない。異なる単位の掛け算・割り算によって別の単位が生成する。
 3.紙とエンピツによる数式の手計算も重要である一方、エクセル等のPCソフトの活用は極めて有効であると心得よ。
本講義の中にも随所に数学の基礎知識を確認する演習等を行うが、到達目標に達しない場合は追加課題を与える。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 概要説明
2週 光と波の二重性① 既に学んだ古典力学の基礎を再確認し、量子力学との相違を明確にする
3週 光と波の二重性② 量子力学の基本式を理解し、基本的な単位換算に慣れる。光電効果および電子の回折現象について理解する
4週 前期量子論① 黒体放射の現象をプランクの量子仮説で説明でき、水素の原子半径をボーアモデルによって説明できる
5週 前期量子論② 水素の不連続スペクトルをボーアモデルによって説明できる
6週 波動方程式① シュレディンガーの波動方程式を導出することができ、その物理的な意味を説明できる
7週 波動方程式② 井戸型ポテンシャルにおける波動方程式を解くことができる
8週 中間試験
4thQ
9週 試験返却 中間試験範囲で理解不十分であった点を認識する。理解できていた点についても別解法や多面的な理解を深める。
10週 固体化学① 結合様式の違いにより結晶を分類でき、材料特性との関連を説明できる
11週 固体化学② ミラー指数によって結晶面を記述でき、晶系と対称性について説明できる
12週 固体化学③ 固体電解質のイオン伝導性と結晶構造の関連を説明できる
13週 固体化学④ 固体の電子伝導性と電子構造の関連を説明できる
14週 固体化学⑤ 固体の熱特性、誘電特性について結晶構造の観点から説明できる
15週 期末試験
16週 試験返却 期末試験範囲で理解不十分であった点を認識する。理解できていた点についても別解法や多角的な理解を深める。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。4
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。5
イオン結合と共有結合について説明できる。4
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。4
金属結合の形成について理解できる。4
代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。4
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。4
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。4
代表的な元素の単体と化合物の性質を説明できる。5
物理化学電池反応と電気分解を理解し、実用例を説明できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合90000100100
基礎的能力0000000
専門的能力90000100100
分野横断的能力0000000