到達目標
1.生体物質、生体反応の熱力学的側面を説明できる。
2.酵素の性質、構造について熱力学を用いて説明できる。
3.生体内のエネルギー生産、利用を熱力学的立場から説明できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安(可) | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 生体物質、生体反応を熱力学を用いて説明できる。 | 生体物質、生体反応の熱力学的側面を説明できる。 | 生体物質、生体反応の熱力学的側面から説明できない。 |
評価項目2 | 酵素の性質、構造について熱力学を用いて説明できる。 | 酵素の性質、構造について説明できる。 | 酵素の性質、構造について説明できない。 |
評価項目3 | 生体内のエネルギー生産、利用を熱力学を用いて説明できる。 | 生体内のエネルギー生産、利用を説明できる。 | 生体内のエネルギー獲得、生産、利用を説明できない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
物理化学1および物理化学2では標準ギブス自由エネルギーという概念のを導入し、化学現象、化学反応について、その熱力学の基礎を学んだ。本講義では、物理化学1および物理化学2で学んだ熱力学の考えを生体に導入し、複雑・難解と思われがちな生体の現象、生体内の反応についても熱力学が適用でき、理解できることを学び、生体の現象、反応の理解を深める。
授業の進め方・方法:
講義形式で行う。テキスト「アトキンス物理化学要論第6版」は必要なところを用いるため、テキストではとびとびの場所となるので、授業に集中し、フォローしておくこと。必要に応じて資料、練習問題を配付する。また、演習問題を解いて理解を深める。授業中に数値計算を課すので関数電卓は必ず持参すること(定期試験にも電卓持込みとする)。時間的制約からすべての問題を授業中に解くことはできないので,自主的にこれらの問題を解いて理解を深める。また,一部またはすべてをレポート課題とするので,指定した期日までに提出すること。化学・生物分野では、専門用語の英語は極めて重要である。専門用語の英語は早いうちから慣れておくことを必須課題とする。具体的には、テキスト脚注の英単語は必須とし、その意味の説明も含めて定期試験に出題する。
注意点:
物理化学の理解には数式の取扱いが必須であり、これまで数学で学んだ微積分、幾何学などを活用していくことになる。
数学が苦手だった学生には、嫌々復習するのではなく、自然の法則(本講義では生物の体内で起こる様々な現象)が数式によって記述されることに新鮮な感動を覚え、自身の計算で科学現象を導く醍醐味を味わってほしい。
1.関数電卓の使い方に慣れ、単純な計算でも必ず実行して最終結果まで自身で導くこと。
2.計算時、必ず「単位」に留意せよ。異なる単位同士の足し算・引き算はあり得ない。異なる単位の掛け算・割り算によって別の単位が生成する。
3.紙とエンピツによる数式の手計算も重要である一方、エクセル等のPCソフトの活用は極めて有効であると心得よ。
本講義の中にも随所に数学の基礎知識を確認する演習等を行う。
また、生物の内容も多くを占めるため、生体関連の化合物の名称、構造を復習し、頭に入れて授業にのぞんで欲しい。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
概要説明 |
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2週 |
生体エネルギー序論①熱力学第1法則、熱力学第2法則 |
生命現象とエネルギーの関係を熱力学第1法則、熱力学第2法則の観点で説明できる。(示差走査熱量測定、食物とエネルギー貯蔵、生命現象と熱力学第二法則)
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3週 |
生体エネルギー序論②化学平衡 |
生物の様々な挙動を生物に適応できる。(気体の溶解度と呼吸、ヘモグロビンなどの酸素との結合、血液における緩衝作用)
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4週 |
生体エネルギー序論③自由エネルギー |
生物学的標準状態、生物学的標準ギブズエネルギ―を説明できる。(生化学過程における共役反応)
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5週 |
酵素①酵素について |
酵素の性質、構造について説明できる。
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6週 |
酵素②酵素反応 |
熱力学立場、速度論的立場で酵素反応を説明できる。
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7週 |
生体エネルギー論①嫌気呼吸 |
基質レベルのリン酸化について物理化学的立場から説明できる。 共役反応を説明できる。
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8週 |
中間試験 |
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4thQ |
9週 |
試験返却 |
中間試験範囲で理解不十分であった点を認識する。理解できていた点についても別解法や多面的な理解を深める。
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10週 |
生体エネルギー論②好気呼吸 |
電気化学ポテンシャルについて説明できる。(イオンチャネルとイオンポンプ)
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11週 |
生体エネルギー論③好気呼吸 |
酸化的リン酸化について、物理化学的立場から理解する。(イオンチャネルとイオンポンプ)
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12週 |
生体エネルギー論④光合成 |
光合成色素による光の吸収、利用を理解する。 光の二重性について説明できる。
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13週 |
生体エネルギー論⑤光合成 |
光リン酸化について、物理化学的立場から理解する。
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14週 |
生体エネルギー論⑥光合成 |
二酸化炭素固定反応について理解する。
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15週 |
期末試験 |
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16週 |
試験返却 |
期末試験範囲で理解不十分であった点を認識する。理解できていた点についても別解法や多角的な理解を深める。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 化学(一般) | 化学(一般) | 酸化還元反応について説明できる。 | 3 | |
イオン化傾向について説明できる。 | 3 | |
金属の反応性についてイオン化傾向に基づき説明できる。 | 3 | |
ダニエル電池についてその反応を説明できる。 | 3 | |
鉛蓄電池についてその反応を説明できる。 | 3 | |
一次電池の種類を説明できる。 | 3 | |
二次電池の種類を説明できる。 | 3 | |
電気分解反応を説明できる。 | 3 | |
電気分解の利用として、例えば電解めっき、銅の精錬、金属のリサイクルへの適用など、実社会における技術の利用例を説明できる。 | 3 | |
ファラデーの法則による計算ができる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 物理化学 | 熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。 | 4 | 後2 |
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。 | 4 | 後3 |
熱力学の第二・第三法則の定義と適用方法を説明できる。 | 4 | 後2 |
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。 | 4 | 後4 |
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。 | 4 | 後4 |
衝突理論を理解して、アレニウスプロットを説明できる。 | 4 | |
ネルンストの式を用いて、起電力、自由エネルギー、平衡定数の関係が説明できる。 | 4 | |
電池反応と電気分解を理解し、実用例を説明できる。 | 4 | 後10 |
生物化学 | タンパク質の高次構造について説明できる。 | 4 | 後5 |
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。 | 4 | 後5,後6 |
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。 | 4 | 後5 |
解糖系の概要を説明できる。 | 4 | 後7 |
クエン酸回路の概要を説明できる。 | 4 | 後7 |
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。 | 4 | 後11 |
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。 | 4 | 後7 |
各種の光合成色素の働きを説明できる。 | 4 | 後12 |
光化学反応の仕組みを理解し、その概要を説明できる。 | 4 | 後12,後13 |
炭酸固定の過程を説明できる。 | 4 | 後14 |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 0 | 0 | 0 | 20 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 80 | 0 | 0 | 0 | 20 | 0 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |