鋼構造

科目基礎情報

学校 有明工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 鋼構造
科目番号 0039 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 建築学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 前期:1 後期:1
教科書/教材 鋼構造;嶋津孝之編/森北出版
担当教員 岩下 勉

到達目標

1.鋼構造に関する基本的な用語や特徴を説明することができる.
2.引張材,圧縮材,曲げ材の設計を理解し,計算できる.
3.継手,仕口,柱脚の種類や特徴を説明でき,接合に用いられるボルト接合及び溶接接合の設計法を理解し計算できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目1鋼構造に関する用語や特徴を詳細に説明することができる.鋼構造に関する基本的な用語や特徴を説明できる.鋼構造に関する基本的な用語や特徴を説明できない.
評価項目2引張材,圧縮材,曲げ材の設計の詳細を理解し,計算できる.引張材,圧縮材,曲げ材の設計を理解し,計算できる.引張材,圧縮材,曲げ材の設計ができない.
評価項目3継手,仕口,柱脚の種類や特徴を詳細に説明でき,接合に用いられるボルト接合及び溶接接合の設計法を理解し計算できる.継手,仕口,柱脚の種類や特徴を説明でき,接合に用いられるボルト接合及び溶接接合の設計法を理解し計算できる.継手,仕口,柱脚の種類や特徴を説明でない.また,接合に用いられるボルト接合及び溶接接合の設計ができない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
鋼構造は,低中層の店舗ビルから大空間を有する工場やドーム,超高層ビルまで非常に多くの多岐にわたる建物に用いることができる魅力的な構造である.その一方で学習が進むにつれ鋼構造の設計は複雑に見え,難しいと感じてしまうことがある.そのため,鋼構造の設計を理解する上では設計全体の流れを把握することが大切である.その上で構造物を構成する部材(例えば,柱や梁など)にどのような応力が働くのか,そして,それらの作用する応力に対して,部材が安全であるかどうかを検討しなければならない.これは構造設計において基本かつ重要な点である.本科目ではそのことを念頭に置き,鋼構造建築物の柱,梁,継手などの設計の基礎を身につける.
授業の進め方・方法:
講義中心とした授業であるが,設計(計算)を行う際には,できる限り授業の前半に講義,後半に演習という形をとる.また,講義,演習において適宜グループワークやディスカッション等を入れていく.
注意点:
建築材料における鋼材,建築構法における鉄骨構造が必要な知識となる.また,数学の基礎,構造力学や材料力学を理解しておく必要がある.
内容を深く理解するために,授業で学ぶ内容を予習しておく必要がある.
また,グローバル化や英語の重要性の観点から必要性や内容に応じて,英語での説明,問題提示が行われる.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス,鋼構造物の紹介・魅力 授業における目標や進め方を確認し,いろいろな鋼構造物について認識できる.
2週 鋼材の特徴,鋼構造の特徴・構造形式 鋼材の特徴や鋼構造の特徴・構造形式を理解できる.
3週 鋼材の性質や鋼材の種類 鋼材の性質や破壊形式,鋼材の種類等を理解できる.
4週 引張材1 引張材を受ける部材について理解できる.
5週 引張材2 引張材の設計について理解できる.
6週 引張材3 引張材の設計について計算できる.
7週 前期中間試験
8週 圧縮材1 座屈現象について理解できるとともに,座屈荷重を求める式を把握できる.
2ndQ
9週 圧縮材2 許容圧縮応力の計算できる.
10週 圧縮材3 安全率や有効座屈長さについて理解できる.
11週 曲げ材 横座屈現象や曲げ材の設計を理解し,許容曲げ応力度を計算できる.
12週 圧縮と曲げを受ける部材(柱)1 柱材の設計を理解する.
13週 圧縮と曲げを受ける部材2 柱材の設計ができる.
14週 局部座屈 局部座屈現象やそれを防止するための幅厚比制限について理解し,計算できる.
15週 期末試験
16週 テスト返却と解説
夏休みの課題提示
後期
3rdQ
1週 夏休みの課題発表 夏休みの課題の発表で「魅力ある鋼構造物」を紹介・説明できる
2週 高力ボルト 高力ボルトの種類,許容耐力(摩擦接合,引張接合)について理解できる.
3週 普通ボルト ボルトの破壊形式や普通ボルトの許容耐力(支圧接合,引張接合)について理解し,ボルトの許容耐力を計算できる.
4週 溶接接合,突合せ溶接 溶接接合(主にアーク溶接)の種類や突合せ溶接について理解できる.
5週 隅肉溶接 隅肉溶接について理解する.
6週 溶接耐力 突合せ溶接,隅肉溶接の耐力の計算ができる.
7週 熱応力,溶接欠陥 熱応力(残留応力)の原因や溶接欠陥の種類を理解できる.
8週 後期中間試験
4thQ
9週 構造設計,構造計画 構造設計の流れや鋼構造における構造計画の概要を理解できる.
10週 デッキプレート,柱脚 デッキプレートの種類,柱脚の概要を理解できる.
11週 柱脚 柱脚の形式や種類を理解できる.
12週 接合部 接合部である継手や仕口の種類,施工等について理解できる.
13週 荷重と外力 荷重の種類(積雪荷重,風荷重,地震力等)や建物に作用する力の流れを理解できる.
14週 耐震性の検討 構造物のモデル化,保有水平耐力設計について理解できる.
15週 期末試験
16週 テスト返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建築系分野材料建築用構造用鋼材の種類(SS、SM、SNなど)・性質について説明できる。3
建築用鋼製品(丸鋼・形鋼・板など)の特徴・性質について説明できる。3
構造断面二次モーメント、断面相乗モーメント、断面係数や断面二次半径などの断面諸量を計算できる。3前9,前11,前13
弾性状態における応力とひずみの定義、力と変形の関係を説明でき、それらを計算できる。3前4
曲げモーメントによる断面に生じる応力(引張、圧縮)とひずみの関係を理解し、それらを計算できる。3前11
骨組構造物に作用する荷重の種類について説明できる。3後13
圧縮力を受ける柱の分類(短柱・長柱)が出来、各種支持条件に対するEuler座屈荷重を計算できる。3前8,前9,前10
鋼構造物の復元力特性と設計法の関係について説明できる。3後14
S造の特徴・構造形式について説明できる。3前2
鋼材・溶接の許容応力度について説明できる。3前3,後4
軸力のみを受ける部材の設計の計算ができる。3前4,前9
軸力、曲げを受ける部材の設計の計算ができる。3前13
曲げ材の設計の計算ができる。3前11
継手の設計・計算ができる。2後12
高力ボルト摩擦接合の機構について説明できる。3後2
溶接接合の種類と設計法について説明できる。3後4,後5,後6
仕口の設計方法について説明ができる。2後12
柱脚の種類と設計方法について説明ができる。2後11
施工・法規現場組立て(建方)方法、工法について説明できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合9050050100
基礎的能力0000000
専門的能力900005095
分野横断的能力0500005