卒業設計

科目基礎情報

学校 有明工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 卒業設計
科目番号 0043 科目区分 専門 / 必修
授業形態 演習 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 建築学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 前期:2 後期:2
教科書/教材
担当教員 加藤 浩司,松岡 高弘,正木 哲

到達目標

1. 現代社会の動きを的確に捉え,そこに課題を見出し,自らが見出した課題に対し,創造的・独創的で,かつ主張性のある解(提案)を導き出せること。
2. 定められた期限内に,自分の提案を説明・表現するのに相応しい手段を用いて作品としてまとめられること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目1現代社会の動きを的確に捉え,そこに明確な課題を見出し,自らが見出した課題に対し,創造的・独創的で,かつ主張性のある解を導き出せること。現代社会の動きを捉え,そこに課題を見出し,自らが見出した課題に対し,創造的・独創的で,かつ主張性のある解を導き出せること。現代社会の動きを捉え,そこに課題を見出し,自らが見出した課題に対し,創造的・独創的で,かつ主張性のある解を導き出すことができない。
評価項目2定められた期限内に,自分の提案を説明・表現するのに相応しい手段を用いて成熟度が高い作品としてまとめられること。定められた期限内に,自分の提案を説明・表現するのに相応しい手段を用いて作品としてまとめられること。定められた期限内に,自分の提案を説明・表現するのに相応しい手段を用いて作品としてまとめることができない。
評価項目3

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-3 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 C-1 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 C-2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 これまで,建築の専門分野ごとに理論を学習してきたが,個々の理論の認識だけにとどまり「モノづくり」などの技術で重要な総合化された認識になっていない部分がある。もちろん,建築設計演習はその総合化のための教科であるが,課題や条件が与えられた枠の中での総合化である。しかし,創造的な「モノづくり」の本質は,この課題を自らが見つけ出し,それに対する独自の解を提示することにある。もちろん,社会で活躍をしている建築家も同様であり,それぞれ時代観や問題意識を持ち,日々新しい空間づくりに取り組んでいる。
 そこで,本科目では,建築の専門分野毎の個々の理論を総合化するだけでなく,理論に裏付けられた実践的技術を“学生自らの手”で獲得することをねらいとする。具体的な授業目標は,取り組む課題を学生自身で見出すこと,今までにない,あるいは見落とされている新しい空間や施設の提案ができることである。
授業の進め方・方法:
 本教科の性格から,授業時間外(例えば,放課後や休日,あるいは夏休みなど)の時間を,資料の収集や調査などに率先してあてる必要がある。
授業では,担当教員とのミーティングを重ねつつ,課題の発見から,その課題に対する解の提示に至る一連の過程に,学生主体で取り組む。
この間,中間発表会を4回(スケジュール次第で実施回数が変わることもある)実施する。中間発表では,個々の進行状況を確認するとともに,課題の妥当性やコンセプトの適切性を担当教員全員で指導する(A1用紙1~2枚程度以内にまとめて発表)。
また,卒業設計展の見学もできる限り実施する(場合によっては実施できないこともある)。他校学生の作品などを見ることで卒業設計に対する認識を深めて欲しいからである。
前期末には,前期での取り組みのまとめとして,第1回発表会を行い,最終発表会での発表可否を決める。
作品提出は,11月中~12月初旬を予定する。そして,最終発表会を行った後,個々の作品についての評価を行う(最優秀作品は日本建築学会の全国大学・高専卒業設計展に学校代表として出展する)。

<卒業設計に要求されるもの >
卒業設計は要求される内容の点で,あるいはそれに費やす時間の点でも課題設計とは大きく異なる。以下,要求される主要な項目をあげる。
・課題性
 違いの一つは,課題及び設計条件等がいっさい与えられない点である。
 建築とはそもそも社会性が非常に強い分野である。そこで,諸君は現代社会において何が課題であるのか,または課題となりうるのかを概念的に構築することから始めねばならない。作品の出来不出来は,表現力とともにこの課題の設定に大きく左右される。したがって,種々の情報を収集し課題性を高めること。独りよがりの自己満足に終わってはいけない。
・主張性
 二つ目の違いは,明確な主張を持つことでありそれを表現することである。つまり,課題に対する自分なりの解を強く訴えること。学生諸君は,これを往々にして文章だけで表現しがちであるが,卒業設計では「所定の枚数を使って言いたいことを視覚的に表現すること」が求められる。例えば,概念図を描くなどの工夫が必要である。
・独創性,創造性
 課題の設定やその解決及び表現において独創性,創造性を持つことである。誰かのコピーでは困る。
・密度とプレゼンテーション
 表現手段は特定しないが,自分の表現したいものに適した手段(道具)を使う。そして,君たち自身が「高専5年間の中で一番充実していた」「思いっきりやれて悔いはない」と言える取り組みにして欲しい。我々のみならず見る者すべてに感動を与えて欲しい。

<作品の提出 >
・表現内容は,自由であり図面等の特定もない。
・原則としてA1版の用紙6枚以上を使って表現すること。用紙は連結させない。
・表現は,手書きの場合はインキングする。縮尺は対象の規模による。
・各用紙にタイトル,氏名,用紙番号を入れる。但し,日本建築学会の卒業設計展に学校代表で出品される者は学会の標題欄を右上に張り付けることになるので注意する。
注意点:
 卒業設計では,これまでに学習した知識や技術をベースにしつつ,さらに独創性と創造性のある作品を提案しなければならない。
 卒業設計は,テーマを決めるところから始まる。その際は自分で興味が持てるテーマを探し,そのテーマにどのような問題があるかを明らかにしなければならない。したがって,授業で学習したことだけでなく,建築界はもちろん,日常の社会的問題や環境問題あるいは文化的問題など,こと人間の生活全般にわたる問題に常日頃から目を向けることが求められる。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 オリエンテーション 本科目の目的と構成,進め方,ならびに評価方法等を知る。
2週 作品研究 卒業設計での他者の作品について研究し,課題の種類,課題設定の方法,ならびに解の導き出し方等を理解できること。
3週 ミーティング 現代社会の動きを的確に捉え,そこに明確な課題を見出し,自らが見出した課題に対し,創造的・独創的で,かつ主張性のある解を導き出せること。
4週 同上 同上
5週 中間発表 自分が設定する課題の妥当性等を理解し,改善点を見いだせること。
6週 ミーティング 現代社会の動きを的確に捉え,そこに明確な課題を見出し,自らが見出した課題に対し,創造的・独創的で,かつ主張性のある解を導き出せること。
7週 同上 同上
8週 同上 同上
2ndQ
9週 中間発表 自分が設定する課題の妥当性,および課題解決方法の妥当性等を理解し,改善点を見いだせること。
10週 ミーティング 現代社会の動きを的確に捉え,そこに明確な課題を見出し,自らが見出した課題に対し,創造的・独創的で,かつ主張性のある解を導き出せること。
11週 同上 同上
12週 同上 同上
13週 同上 同上
14週 同上 同上
15週 第1回発表会 現代社会の動きを的確に捉え,そこに明確な課題を見出し,自らが見出した課題に対し,創造的・独創的で,かつ主張性のある解を導き出せること。
16週 予備
後期
3rdQ
1週 ミーティング 現代社会の動きを的確に捉え,そこに明確な課題を見出し,自らが見出した課題に対し,創造的・独創的で,かつ主張性のある解を導き出せること。
2週 同上 同上
3週 中間発表 自分が設定する課題の妥当性,および課題解決方法の妥当性等を理解し,改善点を見いだせること。
4週 ミーティング 現代社会の動きを的確に捉え,そこに明確な課題を見出し,自らが見出した課題に対し,創造的・独創的で,かつ主張性のある解を導き出せること。
5週 作品づくり 定められた期限内に,自分の提案を説明・表現するのに相応しい手段を用いて作品としてまとめられること。
6週 同上 同上
7週 同上 同上
8週 同上 同上
4thQ
9週 同上 同上
10週 同上 同上
11週 同上 同上
12週 同上 同上
13週 同上 同上
14週 同上 同上
15週 最終発表会と最終総括 制限時間内に,各自の提案をわかりやすく説明できること。質疑応答や講評等を通じ,各自の達成度を確認できること。
16週 予備

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
分野横断的能力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。4前15,後15

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合00001000100
基礎的能力0000000
専門的能力000080080
分野横断的能力000020020