到達目標
1.フーリエ級数・変換について説明でき、その計算ができる。
2.1次元の波動方程式・熱伝導方程式の導出について理解している。変数分離法、フーリエ級数・変換を用いてそれらの解を求めることができる。これらの微分方程式によって記述される現象について説明できる。
3.微分方程式の巾級数解法を説明でき、それを用い微分方程式の一般解を求めることができる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | フーリエ変換・逆変換に関連する関係式を理解している。 | フーリエ級数・変換について説明でき、その計算ができる。 | フーリエ級数・変換について説明できない。その計算ができない。 |
評価項目2 | 1次元の波動方程式の一般解であるダランベールの解を導出できる。 | 1次元の波動方程式・熱伝導方程式の導出について理解している。変数分離法、フーリエ級数・変換を用いてそれらの解を求めることができる。これらの微分方程式によって記述される現象について説明できる。 | 1次元の波動方程式・熱伝導方程式の導出について理解していない。変数分離法、フーリエ級数・変換を用いてそれらの解を求めることができない。これらの微分方程式によって記述される現象について説明できない。 |
評価項目3 | 巾級数の収束半径について理解し、計算できる。 | 微分方程式の巾級数解法を説明でき、それを用いて微分方程式の一般解を求めることができること。 | 微分方程式の巾級数解法を説明できない。それを用いて微分方程式の一般解を求めることができるない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
偏微分方程式は常微分方程式の多変数への拡張として数学的に興味深いばかりではなく、多くの自然現象が偏微分方程式を用いて記述されることを見ても明らかなように、広く理工学において中心的な重要性を持っている。
この科目の第1の目標は、学生が理工学において最も頻繁にあらわれ応用上非常に重要な意味を持つ2階の線形偏微分方程式を理解することである。具体的に述べるならば、学生が代表的な2階の線形偏微分方程式である波動方程式・熱伝導(拡散)方程式等がその元となる物理現象からどのようにして導出されるかを理解し、その上でそれぞれの偏微分方程式の解の持つ定性的な性質を理解することである。学生が解の性質を常識として持っておくことは現実問題に出会ったとき、それに正しく対処する上で非常に重要と考えられる。
第2の目標は、学生が変数分離法を用いて2階の偏微分方程式の境界条件・初期条件を満足する解を求めることができることである。波動方程式・熱伝導(拡散)方程式を解く場合には、本科4年の「応用数学」において学習した常微分方程式の解法に 加えてフーリエ級数の知識も必要となり、学生はフーリエ級数に関する必要最低限の事項についても学習し、様々な関数のフーリエ級数の導出ができること。1次元および2次元の波動方程式の解として得られた固有振動を図示することにより、学生は波動方程式によって記述されている現象の理解を深めること。
第3の目標は巾級数法の理解である。境界条件によっては、極座標・球面座標・円筒座標等の座標系を採用することになるが、これらの座標系に変換した2階の偏微分方程式を変数分離法で解くときルジャンドルの微分方程式・ベッセルの微分方程式等と呼ばれている微分方程式が現れる。これら応用上重要な微分方程式の中には、求積法・演算子法により解くことができない場合および解が初等関数で表現できない場合がある。また、微分方程式の解として近似解が求められれば 十分な場合もある。学生はこのような場合の微分方程式の解法である巾級数法の基本を理解し、微分方程式の巾級数解を導出できること。
授業の進め方・方法:
講義形式、グループワーク等による授業および問題演習
注意点:
本科1〜4年生迄の学習内容に基づき授業を行います。
内容の理解と定着をはかるため、演習問題を適宜レポートとして解答・提出してもらいます。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
授業の概要説明 |
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2週 |
フーリエ級数の定義 |
・定義にしたがって、簡単な周期関数に対してフーリエ級数を求めることができること。
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3週 |
フーリエ余弦級数・正弦級数、一般の周期関数のフーリエ級数 |
・偶関数・奇関数に対してフーリエ余弦級数・正弦級数を求めることができること。 ・一般の周期関数に対してフーリエ級数を求めることができること。
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4週 |
近似式としてのフーリエ多項式、複素形式のフーリエ級数 |
・フーリエ多項式が最小二乗法の意味で最良の近似式であることを理解すること。 ・簡単な周期関数に対して複素形式のフーリエ級数を求めることができること。
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5週 |
フーリエ変換の定義、フーリエ余弦変換・正弦変換 |
・定義にしたがって、簡単な周期関数に対してフーリエ変換を求めることができること。 ・偶関数・奇関数に対してフーリエ余弦変換・正弦変換を求めることができること。
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6週 |
フーリエ変換の性質 |
・フーリエ変換の性質を理解し,利用できること。 ・フーリエ変換のたたみこみ積分定理を理解すること
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7週 |
偏微分方程式概説 |
・偏微分方程式に基本事項を理解すること。 ・偏微分方程式の一般解について理解すること。
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8週 |
中間試験 |
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2ndQ |
9週 |
テスト返却と解説 1次元波動方程式の導出・変数分離解
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・弦の微小振動を記述する運動方程式から1次元波動方程式が導かれることを理解すること。 ・偏微分方程式の変数分離解による解法を理解すること。 ・境界条件を満たす固有関数を求めることができること。
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10週 |
初期条件を満たす1次元波動方程式の解 |
・初期条件のフーリエ級数より初期条件を満たす1次元波動方程式の解が得られることを理解すること。
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11週 |
1次元熱伝導方程式の導出・変数分離解 |
・物体に出入りする熱量が保存することから、1次元熱伝導方程式が導かれることを理解すること。
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12週 |
無限長の棒の熱伝導 |
・無限長の棒の1次元熱伝導方程式に対するフーリエ変換を用いた解法を理解すること。 ・初期条件がディラックデルタ関数で与えられた場合について理解すること。
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13週 |
巾級数の性質・巾級数法 |
・巾級数の性質を理解すること。 ・巾級数法による微分方程式の解法を理解すること。
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14週 |
巾級数法 |
・巾級数法を用いて微分方程式の一般解が求められること。
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15週 |
期末試験 |
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16週 |
テスト返却と解説 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 数学 | 数学 | 数学 | 加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。 | 4 | 前2,前3 |
合成関数の偏微分法を利用した計算ができる。 | 4 | 前7 |
基本的な関数について、2次までの偏導関数を計算できる。 | 4 | 前7 |
2重積分の定義を理解している。 | 4 | 前5,前6 |
微分方程式の意味を理解している。 | 4 | 前7,前14 |
基本的な1階線形微分方程式を解くことができる。 | 4 | 前11 |
定数係数2階斉次線形微分方程式を解くことができる。 | 4 | 前10 |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 60 | 0 | 0 | 0 | 40 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 60 | 0 | 0 | 0 | 40 | 0 | 100 |
専門的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |