概要:
専門的知識や技術を学ぶ学生にとって,それが現実の世界にどのような影響を与えるのかを考えることは,非常に重要な意味を持つ。この科目では,一般的な「倫理」とは異なる,専門的工業技術者教育の一部門としての「技術者倫理」を取り扱う。すなわち技術的に可能かどうかという基準とは別に,社会や公共の福祉の面から見て,それがどう働くのかという基準があること。また,従来は存在しなかった問題がテクノロジーの発展とともに生み出されていることを意識し,それらにどう対処していくのかという技術者の責任などについて,具体的な事例を交えて学んでいく。
授業の進め方・方法:
教科書をベースにした講義形式だが,毎回のトピックについて意見を求め対話式の授業を展開する。非常勤による授業では講義形式の他,学生側が意見をまとめ発表するグループ討議形式も予定している。日常的に「技術者倫理」に直面している企業の方2名を非常勤講師として迎え,実務の上での「技術者倫理」についての授業をお願いする。
注意点:
授業分担は堀田が9回,非常勤講師2名が各3回を分担し,計15回となる。試験は実施せずレポート,グループ討議への貢献度などによって評価する。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
導入:技術者倫理とは |
この授業全体の枠組みについて理解できる
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2週 |
技術者倫理の視点 |
経営者の視点との比較から技術者倫理の視点とはどのようなものかを理解できる
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3週 |
倫理と法―技術者倫理による考察の範囲 |
倫理と法の違いは何か,コンプライアンスの2つの解釈を説明できる
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4週 |
公衆の安全,健康,福利 |
なぜ倫理規定が必要なのかを理解できる
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5週 |
費用便益分析と製造物責任法 |
フォード・ピント事件で問題になったのはどんな点か説明できる
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6週 |
組織の問題 |
企業倫理を考える際に必要なポイントが何かを理解できる
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7週 |
公益通報―内部告発 |
映画「ギルベイン・ゴールド」を元にして内部告発に関わる問題を理解できる
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8週 |
優れた技術者をめざして |
集団思考の意味とそのメリット・デメリットを理解できる
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4thQ |
9週 |
安全性とリスク1 |
安全とは「危険性ゼロ」ではないという考え方を理解できる
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10週 |
安全性とリスク2 |
フェイルセーフがなぜ必要なのかを説明できる
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11週 |
安全性とリスク3 |
具体的な事故事例について問題点へのアプローチを理解できる
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12週 |
倫理問題の特徴1 |
倫理的な問題に対して複数の解決策を考えることができる
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13週 |
倫理問題の特徴2 |
線引き問題で必要な前提は何かを理解できる
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14週 |
倫理問題の特徴3 |
合意の形成のためには何が必要なのかを理解できる
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15週 |
まとめ |
授業全体の通じての取り組みを体系的に考えることができる
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 技術者倫理 | 技術者倫理 | 技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を理解し、社会における技術者の役割と責任を説明できる。 | 4 | |
説明責任、内部告発、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的事項を理解し、説明できる。 | 4 | |
技術者を目指す者として、社会での行動規範としての技術者倫理を理解し、問題への適切な対応力(どうのように問題を捉え、考え、行動するか)を身に付けて、課題解決のプロセスを実践できる。 | 4 | |
情報技術の進展が社会に及ぼす影響、及び個人情報保護法、著作権などの法律との関連について理解できる。 | 3 | |
高度情報通信ネットワーク社会の中核にある情報通信技術と倫理との関わりを理解できる。 | 3 | |
技術者を目指す者として、環境問題について配慮することができる。 | 4 | |
技術者を目指す者として、社会と地域について配慮することができる。 | 4 | |
技術者を目指す者として、知的財産に関する知識(関連法案を含む)、技能、態度を身につける。 | 3 | |
知的財産の社会的意義や重要性を技術者として理解し、知的創造サイクルを支えることができる。 | 3 | |
技術者を目指す者として、知的財産を意識した創造性を発揮できる。 | 3 | |
技術者を目指す者として各国・各地域での活動において、各国・各地域の文化、慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令などを守ることができる。 | 3 | |
社会性、社会的責任、コンプライアンスが強く求められている時代の変化の中で、技術者として信用失墜の禁止と公益の確保が考慮することができる。 | 4 | |
技術者を目指す者として持続可能な開発を通じて全ての人々が安心して暮らせる未来を実現するために配慮することができる。 | 4 | |
技術者を目指す者として、さまざまな課題に力を合わせて取り組んでいくことができる。 | 4 | |