応用数理Ⅱ

科目基礎情報

学校 有明工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 応用数理Ⅱ
科目番号 006 科目区分 一般 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 建築学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 後期:1
教科書/教材 プリント等
担当教員 村岡 良紀

到達目標

1.フーリエ級数・変換について説明でき、その計算ができる。
2.1次元の波動方程式・熱伝導方程式の導出について理解している。変数分離法、フーリエ級数・変換を用いてそれらの解を求めることができる。これらの微分方程式によって記述される現象について説明できる。
3.微分方程式のべき級数解法を説明でき、それを用い微分方程式の一般解を求めることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1フーリエ変換・逆変換に関連する関係式を理解している。フーリエ級数・変換について説明でき、その計算ができる。フーリエ級数・変換について説明できない。その計算ができない。
評価項目22次元の波動方程式の変数分離解の導出方法を理解している。1次元の波動方程式・熱伝導方程式の導出について理解している。変数分離法、フーリエ級数・変換を用いてそれらの解を求めることができる。これらの微分方程式によって記述される現象について説明できる。1次元の波動方程式・熱伝導方程式の導出について理解していない。変数分離法、フーリエ級数・変換を用いてそれらの解を求めることができない。これらの微分方程式によって記述される現象について説明できない。
評価項目3べき級数の収束半径について理解し、計算できる。微分方程式のべき級数解法を説明でき、それを用いて微分方程式の一般解を求めることができること。微分方程式のべき級数解法を説明できない。それを用いて微分方程式の一般解を求めることができるない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-1 説明 閉じる
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教育方法等

概要:
 偏微分方程式は常微分方程式の多変数への拡張として数学的に興味深いばかりではなく、多くの自然現象が偏微分方程式を用いて記述されることを見ても明らかなように、広く理工学において中心的な重要性を持っている。
 この科目の第1の目標は、学生が理工学において最も頻繁にあらわれ応用上非常に重要な意味を持つ2階の線形偏微分方程式を理解することである。具体的に述べるならば、学生が代表的な2階の線形偏微分方程式である波動方程式・熱伝導(拡散)方程式等がその元となる物理現象からどのようにして導出されるかを理解し、その上でそれぞれの偏微分方程式の解の持つ定性的な性質を理解することである。学生が解の性質を常識として持っておくことは現実問題に出会ったとき、それに正しく対処する上で非常に重要と考えられる。
 第2の目標は、学生が変数分離法を用いて2階の偏微分方程式の境界条件・初期条件を満足する解を求めることができることである。波動方程式・熱伝導(拡散)方程式を解く場合には、本科4年の「応用数学」において学習した常微分方程式の解法に 加えてフーリエ級数の知識も必要となり、学生はフーリエ級数に関する必要最低限の事項についても学習し、様々な関数のフーリエ級数の導出ができること。1次元および2次元の波動方程式の解として得られた固有振動を図示することにより、学生は波動方程式によって記述されている現象の理解を深めること。
 第3の目標はべき級数法の理解である。境界条件によっては、極座標・球面座標・円筒座標等の座標系を採用することになるが、これらの座標系に変換した2階の偏微分方程式を変数分離法で解くときルジャンドルの微分方程式・ベッセルの微分方程式等と呼ばれている微分方程式が現れる。これら応用上重要な微分方程式の中には、求積法・演算子法により解くことができない場合および解が初等関数で表現できない場合がある。また、微分方程式の解として近似解が求められれば 十分な場合もある。学生はこのような場合の微分方程式の解法であるべき級数法の基本を理解し、微分方程式のべき級数解を導出できること。
授業の進め方・方法:
この科目は学修単位科目のため,毎回事後学習としてレポート等を課します。
講義形式、グループワーク等による授業および問題演習
注意点:
本科1〜4年生迄の学習内容に基づき授業を行います。
内容の理解と定着をはかるため、演習問題を適宜レポートとして解答・提出してもらいます。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 授業の概要説明
フーリエ級数の定義
・定義にしたがって、簡単な周期関数に対してフーリエ級数を求めることができること。
2週 フーリエ余弦級数・正弦級数、一般の周期関数のフーリエ級数 ・偶関数・奇関数に対してフーリエ余弦級数・正弦級数を求めることができること。
・一般の周期関数に対してフーリエ級数を求めることができること。
3週 複素形式のフーリエ級数 ・簡単な周期関数に対して複素形式のフーリエ級数を求めることができること。
4週 フーリエ変換の定義、フーリエ余弦変換・正弦変換 ・定義にしたがって、簡単な周期関数に対してフーリエ変換を求めることができること。
・偶関数・奇関数に対してフーリエ余弦変換・正弦変換を求めることができること。
5週 フーリエ変換の性質 ・フーリエ変換の性質を理解し,利用できること。
・フーリエ変換のたたみこみ積分定理を理解すること。
6週 偏微分方程式概説 ・偏微分方程式に基本事項を理解すること。
・偏微分方程式の一般解について理解すること。
7週 座標変換 ・極座標・球面座標等を理解すること。
・デカルト座標で表された偏微分方程式を極座標・球面座標等で表すことができること。
8週 中間試験
4thQ
9週 テスト返却と解説
波動方程式の導出
・弦の微小振動を記述する運動方程式から1次元波動方程式が導かれることを理解すること。
・マックスウェルの方程式から3次元波動方程式が導かれることを理解すること。
10週 1次元波動方程式の変数分離解 ・初期条件のフーリエ級数より初期条件を満たす1次元波動方程式の解が得られることを理解すること。
11週 2次元波動方程式(円型薄膜)の変数分離解 ・2次元波動方程式(円型薄膜)に対しては極座標への変換が有効であることを理解すること。
・極座標への変換された2次元波動方程式(円型薄膜)の変数分離解による解法を理解すること。
12週 1次元熱伝導方程式の変数分離解
無限長の棒の熱伝導
・有限長の棒の熱伝導の変数分離解による解法を理解すること。
・無限長の棒の1次元熱伝導方程式に対するフーリエ変換を用いた解法を理解すること。
・初期条件がディラックのデルタ関数で与えられた場合について理解すること。
13週 べき級数の性質・べき級数法 ・べき級数の性質を理解すること。
・べき級数法による微分方程式の解法を理解すること。
14週 べき級数法 ・べき級数法を用いて微分方程式の一般解が求められること。
15週 期末試験
16週 テスト返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。4後1,後2
合成関数の偏微分法を利用して、偏導関数を求めることができる。4後6,後7
簡単な関数について、2次までの偏導関数を求めることができる。4後6,後7
2重積分の定義を理解し、簡単な2重積分を累次積分に直して求めることができる。4後4,後5
微分方程式の意味を理解し、簡単な変数分離形の微分方程式を解くことができる。4後7,後14
簡単な1階線形微分方程式を解くことができる。4後11
定数係数2階斉次線形微分方程式を解くことができる。4後10
簡単な1変数関数の局所的な1次近似式を求めることができる。4後9,後11
1変数関数のテイラー展開を理解し、基本的な関数のマクローリン展開を求めることができる。4後9,後11,後13
オイラーの公式を用いて、複素数変数の指数関数の簡単な計算ができる。4後3,後4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合60000400100
基礎的能力60000400100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000