概要:
建築構造技術者は,構造解析ソフトを的確に運用しなければならない。その際必要となることは,実際の構造物の適切なモデル化と,解析結果の適切な評価である。本授業では,前半は構造解析ソフト(SS7)を使って,構造物の基本的な性状を理解する。後半は,有限要素解析ソフト(Marc)を使って,本科5年次に実験を行った鋼構造骨組を対象にモデル化,解析を用うことで,有限要素法による解析結果,古典力学による計算結果,実験結果との比較を行うことで,解析によって実験をどのように捉えることができるのか学習する.
なお,評価項目1が前半の授業内容,評価項目2が後半の授業内容である.筆記試験は行わず,レポートによって評価し,下記総合評価の合計点が60点以上の場合,合格となる.
授業の進め方・方法:
構造解析ソフト(SS7)および有限要素解析ソフト(Marc)の使用可能な環境を与える.そのソフトウエアを使って,個人あるいはグループで各課題に取り組む.
注意点:
構造力学および材料力学の知識が必要である.解析ソフトの使用法用,結果の整理・分析等,時間外での実施が必要となる.
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 建築系分野 | 構造 | 力の定義、単位、成分について説明できる。 | 5 | |
力のモーメントなどを用い、力のつり合い(合成と分解)に関する計算ができる。 | 5 | |
断面一次モーメントを理解し、図心を計算できる。 | 5 | |
断面二次モーメント、断面相乗モーメント、断面係数や断面二次半径などの断面諸量を計算できる。 | 5 | |
弾性状態における応力とひずみの定義、力と変形の関係を説明でき、それらを計算できる。 | 5 | |
曲げモーメントによる断面に生じる応力(引張、圧縮)とひずみの関係を理解し、それらを計算できる。 | 5 | |
はり断面内のせん断応力分布について説明できる。 | 5 | |
骨組構造物の安定・不安定の判定ができる。 | 5 | |
トラスの種類を説明でき、トラスの部材力の意味について説明できる。 | 5 | |
節点法や切断法を用いて、トラスの部材応力を計算できる。 | 5 | |
はりの支点の種類、対応する支点反力、およびはりの種類やその安定性について説明できる。 | 5 | |
はりの断面に作用する内力としての応力(軸力、せん断力、曲げモーメント)、応力図(軸力図、せん断力図、曲げモーメント図)について説明することができる。 | 5 | |
応力と荷重の関係、応力と変形の関係を用いてはりのたわみの微分方程式を用い、幾何学的境界条件と力学的境界条件について説明でき、たわみやたわみ角を計算できる。 | 5 | |
不静定構造物の解法の基本となる応力と変形関係について説明できる。 | 5 | |
はり(単純ばり、片持ちはり)の応力を計算し、応力図を描くことができる。 | 5 | |
圧縮力を受ける柱の分類(短柱・長柱)が出来、各種支持条件に対するEuler座屈荷重を計算できる。 | 5 | |
偏心圧縮柱の応力状態を説明できる。 | 5 | |
ラーメンやその種類について説明できる。 | 5 | |
ラーメンの支点反力、応力(軸力、せん断力、曲げモーメント)を計算し、その応力図(軸力図、せん断力図、曲げモーメント図)をかくことができる。 | 5 | |
構造力学における仕事やひずみエネルギーの概念について説明できる。 | 5 | |
仕事やエネルギーの概念を用いて、構造物(例えば梁、ラーメン、トラスなど)の支点反力、応力(図)、変形(たわみ、たわみ角)を計算できる。 | 5 | |
構造物の安定性、静定・不静定の物理的意味と判別式の誘導ができ、不静定次数を計算できる。 | 5 | |
静定基本系(例えば、仮想仕事法など)を用い、不静定構造物の応力と、支点反力を求めることができる。 | 5 | |
いずれかの方法(変位法(たわみ角法)、固定モーメント法など)により、不静定構造物の支点反力、応力(図)を計算できる。 | 5 | |