居住地計画論

科目基礎情報

学校 有明工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 居住地計画論
科目番号 0025 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 建築学専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 前期:1
教科書/教材 「集まって住むことは楽しいナ」;延藤安弘著/鹿島出版会 必要に応じて教科書以外にも参考になる資料を各自探してレポートする。
担当教員 正木 哲

到達目標

1.コーポラティブ以前の集合住宅におけるコミュニティ形成の技法を説明できる。
2.集住の意味、集住システムを説明できる。
3.居住者参加の集住-コーポラティブ住宅をはじめ、現代の集住のありようを説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目1コーポラティブ以前の集合住宅におけるコミュニティ形成の技法を十分に説明できる。コーポラティブ以前の集合住宅におけるコミュニティ形成の技法を説明できる。コーポラティブ以前の集合住宅におけるコミュニティ形成の技法を説明できない。
評価項目2集住の意味、集住システムを十分に説明できる。集住の意味、集住システムを説明できる。集住の意味、集住システムを説明できない。
評価項目3居住者参加の集住-コーポラティブ住宅をはじめ、現代の集住のありようを十分に説明できる。居住者参加の集住-コーポラティブ住宅をはじめ、現代の集住のありようを説明できる。居住者参加の集住-コーポラティブ住宅をはじめ、現代の集住のありようを説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習教育到達目標 B-2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
これまでの不特定多数という計画理念による、主体なき、極論すれば、単なるモノづくり的居住地計画は行き詰まり、世界的にも各地で破綻をきたしている。これを打開する方策としては、集住主体を何らかの形で育成すること、つまり、居住者がどれだけ居住地の主体になりうるかが鍵と考えられ、この集住主体を居住地計画に取り込めるプランナーとしての自覚を促すことが本教科の目標である。そもそも、建築技術者は利用主体の要求を捉え、それに応じた空間を創造することが使命であるが、実際には利用主体の要求自体が明確でない場合が多い。つまり、言い換えると利用主体自体が生活をイメージできていない。したがって、これまでのように利用者の顕在化した要求を捉えて空間を創造するという論理では対応しきれなくなっており、さらに一歩論理を進めて利用者とともに潜在的要求を顕在化させる必要がある。
 この潜在的要求を顕在化させるということは共に生活を創ることにほかならない。したがって、居住地計画に限らず、建築技術者は利用主体とともに生活を創り上げることに関わらねばならなくなっており、この資質を育成する意味は大きい。
 集合住宅の計画はすでに本科3年の住環境計画で学習しているが、それはこれまでの近代住居理論に基づき居住者の生活を静的に捉え、集合形式や平面・断面構成など建物のありようを中心にしたものである。本教科はその発展であるが、むしろ、住民の集合生活(集住)そのものを問題にしている。その意味では、建築計画で学習した他施設についてもその発展として位置づけることができる。
授業の進め方・方法:
学生のレポート中心にゼミ形式で確認してゆく。
注意点:
本科で学んだ住環境計画の知識は前提条件として必要である。建築の他の専門科目の知識はそれほど必要なく、人の集団形成を対象とするので、むしろ、教養の社会学、都市社会学、心理学などの知識を必要とし、また、各地のまちづくり運動の実践例なども参考になる。学生のレポートを中心にゼミ形式で進めるので、必ず予習し、レポートすること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 [1] オリエンテーション
 授業の目標と計画を説明し、授業の進め方を決める。基本的には、学生が分担した教科書の範囲をレポートにまとめ発表し、それについて全員で討論する形式をとる。
授業の目標と計画を理解し、説明できる。
2週 [2] これまでの集合住宅計画の変遷と到達点
 これまでのモノづくりに偏した集合住宅計画について、集住主体の形成がどの程度考えられていたかを再点検する。
施設の段階的構成論、住棟配置、コモンスペース配置、通路形式、住戸平面について確認できるが、結果的にそれら空間の仕掛けのみでは、コミュニティ形成の主体的条件の育成というよりも生活問題の消極的あるいは回避的解決しかもたらさず、集住のサポート的役割でしかなかったことを説明できる
3週 [2] これまでの集合住宅計画の変遷と到達点
 これまでのモノづくりに偏した集合住宅計画について、集住主体の形成がどの程度考えられていたかを再点検する。
施設の段階的構成論、住棟配置、コモンスペース配置、通路形式、住戸平面について確認できるが、結果的にそれら空間の仕掛けのみでは、コミュニティ形成の主体的条件の育成というよりも生活問題の消極的あるいは回避的解決しかもたらさず、集住のサポート的役割でしかなかったことを説明できる
4週 [2] これまでの集合住宅計画の変遷と到達点
 これまでのモノづくりに偏した集合住宅計画について、集住主体の形成がどの程度考えられていたかを再点検する。
施設の段階的構成論、住棟配置、コモンスペース配置、通路形式、住戸平面について確認できるが、結果的にそれら空間の仕掛けのみでは、コミュニティ形成の主体的条件の育成というよりも生活問題の消極的あるいは回避的解決しかもたらさず、集住のサポート的役割でしかなかったことを説明できる
5週 [3] 集住の意味と共同性
 集住は人間が獲得した住文化であり、その良さと困難さ(集住の楽しさと煩わしさ)を考える。
絵本にみる住文化の創造と現実とのギャップ、ペット飼育、生活騒音、ゴミ処理などに始まり共有物の利用方法など、個人生活が規制的に半ば強制的に管理される中で、集住の生活様式の共通性を確立することが求められていること、また、集住の良さには助け合いとしての相互扶助の側面と集団で暮らす楽しさがあり、共住のライフスタイルを編み出す積極的な態度が醸成されれば、空間構成要素の様々な演出(仕掛け)の力を借りて種々の集団的楽しさが演出できることを知り、これらを踏まえ、今後どのような集住システム(住宅の管理とコミュニティ形成)が求められるかを考え、説明できる。
6週 [3] 集住の意味と共同性
 集住は人間が獲得した住文化であり、その良さと困難さ(集住の楽しさと煩わしさ)を考える。
絵本にみる住文化の創造と現実とのギャップ、ペット飼育、生活騒音、ゴミ処理などに始まり共有物の利用方法など、個人生活が規制的に半ば強制的に管理される中で、集住の生活様式の共通性を確立することが求められていること、また、集住の良さには助け合いとしての相互扶助の側面と集団で暮らす楽しさがあり、共住のライフスタイルを編み出す積極的な態度が醸成されれば、空間構成要素の様々な演出(仕掛け)の力を借りて種々の集団的楽しさが演出できることを知り、これらを踏まえ、今後どのような集住システム(住宅の管理とコミュニティ形成)が求められるかを考え、説明できる。
7週 [3] 集住の意味と共同性
 集住は人間が獲得した住文化であり、その良さと困難さ(集住の楽しさと煩わしさ)を考える。
絵本にみる住文化の創造と現実とのギャップ、ペット飼育、生活騒音、ゴミ処理などに始まり共有物の利用方法など、個人生活が規制的に半ば強制的に管理される中で、集住の生活様式の共通性を確立することが求められていること、また、集住の良さには助け合いとしての相互扶助の側面と集団で暮らす楽しさがあり、共住のライフスタイルを編み出す積極的な態度が醸成されれば、空間構成要素の様々な演出(仕掛け)の力を借りて種々の集団的楽しさが演出できることを知り、これらを踏まえ、今後どのような集住システム(住宅の管理とコミュニティ形成)が求められるかを考え、説明できる。
8週 [4] 居住者参加型としてのコーポラティブ住宅
住民参加型の居住地計画の事例としてコーポラティブ住宅の建設前から竣工後までの実践例を学習する。
居住主体相互、居住主体とプランナー相互、居住主体と地域相互の働きかけを学ぶ中からプランナーと集住主体との関わりを考え、説明できる。
2ndQ
9週 [4] 居住者参加型としてのコーポラティブ住宅
住民参加型の居住地計画の事例としてコーポラティブ住宅の建設前から竣工後までの実践例を学習する。
居住主体相互、居住主体とプランナー相互、居住主体と地域相互の働きかけを学ぶ中からプランナーと集住主体との関わりを考え、説明できる。
10週 [4] 居住者参加型としてのコーポラティブ住宅
住民参加型の居住地計画の事例としてコーポラティブ住宅の建設前から竣工後までの実践例を学習する。
居住主体相互、居住主体とプランナー相互、居住主体と地域相互の働きかけを学ぶ中からプランナーと集住主体との関わりを考え、説明できる。
11週 [4] 居住者参加型としてのコーポラティブ住宅
住民参加型の居住地計画の事例としてコーポラティブ住宅の建設前から竣工後までの実践例を学習する。
居住主体相互、居住主体とプランナー相互、居住主体と地域相互の働きかけを学ぶ中からプランナーと集住主体との関わりを考え、説明できる。
12週 コーポラティブ住宅の実例を調べる。 コーポラティブ住宅が広く普及しつつあり、また、様々な種類、形式が生み出されていることを理解し、説明できる。
13週 コーポラティブ住宅の実例を調べる。 コーポラティブ住宅が広く普及しつつあり、また、様々な種類、形式が生み出されていることを理解し、説明できる。
14週 コーポラティブ住宅の実例を調べる。 コーポラティブ住宅が広く普及しつつあり、また、様々な種類、形式が生み出されていることを理解し、説明できる。
15週 期末試験 期末試験
16週 テスト返却と解説 テスト返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建築系分野計画・歴史居住系施設(例えば、独立住宅、集合住宅など)の計画について説明できる。5
企画の手法について理解できる。5
ゾーニングについて説明できる。5
現代におけるコミュニティの役割について説明できる。5
参加協働によるコミュニティ開発について説明できる。5

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力0000000
専門的能力10000000100
分野横断的能力0000000