応用化学実験Ⅲ

科目基礎情報

学校 有明工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 応用化学実験Ⅲ
科目番号 4C009 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 創造工学科(応用化学コース) 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 前期:1
教科書/教材 教科書: 物理化学実験法;千原秀昭・徂徠道夫編 東京化学同人 / 教材:配布プリント
担当教員 小林 正幸,藤本 大輔,石川 元人

到達目標

1.物理化学・有機化学実験における基本操作を習得し、計画的に実験を行うことができる
2.実験から得られた結果を正しく理解し、文献等に記載されている値と適宜比較を行う等のデータ処理を行うことができる
3.実験から得られた結果について図表を用いて論理的にまとめること、工学的な考察を行うことができる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1物理化学・有機化学実験における基本操作を習得し、計画的に正しく実験を行うことができる物理化学・有機化学実験における基本操作を習得し、正しく実験を実験行うことができる物理化学・有機化学実験における基本操作を習得できず、正しく実験を行うことができない
評価項目2実験から得られた結果を正しく理解し、正しくデータ処理・解析を行うことができる。また、文献等に記載されている値と適宜比較を行う等の考察展開ができる。実験から得られた結果を正しく理解し、正しくデータ処理・解析を行うことができる実験から得られた結果を正しく理 解し、正しくデータ処理・解析を行うことができない。 実験の正否を議論する。
評価項目3実験から得られた結果について、図表を用いて正しく論理的にまとめること、工学的な考察を論理的に展開することができる。実験から得られた結果について図表を用いてまとめること、論理的な考察を行うことができる。実験から得られた結果を図表を用いてまとめること、論理的な考察を行うことができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
自主性を発揮し、自らをためす絶好の機会が実験である。したがって、実験内容の予習はもちろんのこと、器具の種類や使用方法についても十分な準備が必要である。もちろん、実験においては、尊大な先入観をもって自然が与える解答を求めるものではなく、すなおな心で観察することが重要である。
本実験の各課題は、物理化学・有機化学の基本的な分野から精選したものであり、これらの実験を行うことで物理化学・有機化学を単なる知識としてではなく、体験として学び、正確な実験操作を身に付け、得られるであろう結果を得るようになり、その結果を発展させる議論ができることである。したがって、得られるであろう結果が得られなかった場合(実験が失敗した場合)は再実験となる。
 第1の目標は、物理化学・有機化学実験における基本操作を身につけることである。実験をはじめるにあたっては、実験はどのような計画で、どのような器具を使えば期待している答えが得られるかを慎重に考えておかなければならない。実験器具を正しく使い、正しい測定結果を得るようになることは、今後の未知実験を行ううえでは非常に重要なことである。
 第2の目標は、正しいデータ処理の方法を身につけることである。まず、実験の正否を議論することは無意味であり、その認識をもってデータ処理をしなければならない。得られた実験結果はそのままで使用できることは少なく、理論式にあてはめて化学的数量を導き出し、その化学的数量がどのような意味をもつかを理解することは非常に重要である。また、類似のデータを文献から探して比較検討できるようになることも重要である。
 第3の目標は、レポートのまとめ方を身につけることである。レポートは研究論文に相当するものである。したがって、研究論文にしたがった実験レポートの書き方について習得する。特に、得られた結果に対してどう考察したかが重要であるので、きちんと考察できるようになる。実験レポートとしてまとめる段階で実験の失敗が気付くことのないように実験を進めておくことも重要である。
授業の進め方・方法:
前半は有機化学分野、後半は物理化学分野の実験を行う。3~7人程度のグループを作り、グループで実験を行う。
注意点:
実験は、予習が一番重要である。予習をどこまで行ってきたかが実験の成否や実験時間を決定づけると言っても過言ではない。『実験室に入り、実験テキストを初めて開ける』、『実験書を読みながら実験を進める』ということがないように真剣に実験を行うこと。また、予習が自分、仲間の安全を左右していることを強く認識して欲しい。
1.必ず実験ノートを作り、データを記載すること。実験のフロー図をノートに記載して実験にのぞむことを強く勧めする。データ(数値)でなくても、目の前で起こっている現象、気付いたこと等をノートに記載しておくと良い。
2. 化学実験は危険であるという観点に立ち、化学実験を行うことは非常に重要である。このことは、自身が危険にさらされる行為は、周囲の人間を危険にさらしていることと同じであることを十分認識してほしい。危険はおそれるだけでは、化学の進歩はない。危険性を先人により積み重ねられた経験を理解し、実践することで、十分軽減することがをできる。本実験をこなすという観点ではなく、身に付けるという観点でのぞんで欲しい。
3. 実験の目的,実験操作の概要を把握し,ノートにまとめておくこと.
4. レポートに関しては,読む者が理解しやすいように工夫して自分の言葉で書くことが重要です.そのためには,課外の図書館における参考書調べなど必要となります.自分のためにならないので他人のレポートを写す、インターネットや参考書を丸写しするような行為は行わないこと。また、実験の正否を論じることはレポートの体をなさないので、そのようなレポートを書かないように注意すること。
5. 指定するレポート期限を厳守すること

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
2週 【テーマ1】酢酸エチルの合成 実験操作(加熱還流、分液漏斗による抽出)を正しく行うことができる。収率の計算ができる。沸点から生成物の確認と純度の検討ができる。酢酸エチルの反応のメカニズムを説明できる。
3週 【テーマ2】アニリンの合成 実験操作(加熱還流、蒸留による精製)を正しく行うことができる。収率の計算ができる。アニリンの反応のメカニズムを説明できる。
4週 【テーマ2】ヨードベンゼンの合成 実験操作(加熱還流、蒸留による精製、分液漏斗による抽出)を正しく行うことができる。ヨードベンゼンの反応のメカニズムを説明できる。
5週 【テーマ3】アセトアニリドの合成 実験操作(加熱還流、吸引ろ過)を正しく行うことができる。アセトアニリドの反応のメカニズムを説明できる。
6週 【テーマ3】p-ニトロアニリンの合成 実験操作(加熱還流、吸引ろ過)を正しく行うことができる。収率の計算ができる。 p-ニトロアニリンの反応のメカニズムを説明できる。
7週 【テーマ4】有機化合物の分析 実験操作(再結晶による精製、薄層クロマトグラフィによる反応の追跡)を正しく行うことができる。融点から生成物の確認と純度の検討ができる。収率の計算ができる。
8週 レポート作成(データ整理)
2ndQ
9週 【テーマ4】束一的性質(第1週)
溶液と純溶媒が半透膜で隔てたとき、溶媒が溶液側へと通り抜けるが、溶媒の流れを食い止めるために溶液側にかけるべき圧力を浸透圧とよぶ。浸透圧と溶液の濃度を図示し、その切片、傾きから溶質の分子量を求める。また分子量が求まる理由について理解する。
10週 【テーマ4】束一的性質(第2週)
溶液と純溶媒が半透膜で隔てたとき、溶媒が溶液側へと通り抜けるが、溶媒の流れを食い止めるために溶液側にかけるべき圧力を浸透圧とよぶ。浸透圧と溶液の濃度を図示し、その切片、傾きから溶質の分子量を求める。また分子量が求まる理由について理解する。
11週 【テーマ5】反応速度定数(第1週) 酸性ホスファターゼの酵素反応(パラニトロフェニルリン酸をパラニトロフェノールに加水分解(脱リン酸化)する酵素)の活性測定実験を行う。生成物量の時間変化から、反応速度および反応速度定数を決定し、酵素反応の定量的調査を理解する。また、酵素反応の速度定数の温度依存性とこの反応の活性化エネルギーとの関係を理解する。
12週 【テーマ5】反応速度定数(第2週) 酸性ホスファターゼの酵素反応(パラニトロフェニルリン酸をパラニトロフェノールに加水分解(脱リン酸化)する酵素)の活性測定実験を行う。生成物量の時間変化から、反応速度および反応速度定数を決定し、酵素反応の定量的調査を理解する。また、酵素反応の速度定数の温度依存性とこの反応の活性化エネルギーとの関係を理解する。
13週 【テーマ6】粘度(第1週) 高分子を溶媒に溶かすとその溶液はかなり高い粘性を示す。この実験では、ポリビニルアルコールを水に溶解させ、溶液粘度を測定する。得られた測定値からポリビニルアルコールの分子量や溶液中でのポリビニルアルコール分子の広がりなどの情報が得られることを理解する。
14週 【テーマ6】粘度(第2週) 高分子を溶媒に溶かすとその溶液はかなり高い粘性を示す。この実験では、ポリビニルアルコールを水に溶解させ、溶液粘度を測定する。得られた測定値からポリビニルアルコールの分子量や溶液中でのポリビニルアルコール分子の広がりなどの情報が得られることを理解する。
15週 レポート作成(データ整理)
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合00001000100
基礎的能力0000000
専門的能力00001000100
分野横断的能力0000000