応用化学基礎実験

科目基礎情報

学校 有明工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 応用化学基礎実験
科目番号 0006 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 創造工学科(応用化学コース) 対象学年 2
開設期 後期 週時間数 後期:2
教科書/教材 配布プリント、化学のレポートと論文の書き方(泉美治ら監修、化学同人)
担当教員 小林 正幸,劉 丹,田中 康徳,出口 智昭,近藤 満,藤本 大輔,大河平 紀司,内田 雅也,冨永 伸明,榎本 尚也,伊原 伸治

到達目標

1.実験における安全とはどのようなことかを理解し、安全性に注意を払って実験をおこなうことができる。
2.実験で使用する基本的な実験器具・装置の名称がわかり、これらを正しく使用できる。
3.日本語による文章や、 図表を用いて論理的に説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1実験における安全とはどのようなことかを理解し、安全に実験をおこなうことができる。実験における安全とはどのようなことかを理解し、安全性に注意を払って実験をおこなうことができる。実験における安全とはどのようなことかを理解していない。安全性に注意を払って実験ができない。
評価項目2各実験で使用する基本的な実験器具・装置の名称が正確にわかり、これらを正しく使用できる。一部に軽微な誤りはあるが各実験で使用する基本的な実験器具・装置の名称がわかり、これらを正しく使用できる。各実験で使用する基本的な実験器具・装置の名称、使用方法がわからない。また、これらの器具・装置を正しく使用できない。
評価項目3得られた成果を正しい日本語による文章や,言いたいことが分かる図表を用いて論理的に説明できる得られた成果を日本語による文章や、 図表を用いて論理的に説明できる得られた成果を,日本語による文章や, 図表を用いて論理的に説明できない

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
新しい発見・発明をすることで化学(生物)分野は進歩してきた。実験は新しい発見・発明には欠かすことのできないことである。今後、今までにない発見・発明(奇異な実験データ)に遭遇した時、それが新しい発見・発明であるかもしれないし、単なるデータの取得ミス(実験の失敗)かもしれない。これらをはっきりさせるには、正しい能力、技術を身に付けるしかなく、これは、あらかじめどうなるかが分かっている実験器具・装置を使用し、正しい結果を出すということを繰り返していくことでしか培われない。本実験の目的は、今後の実験(卒業研究を含む)において必ず使用する基本的な器具や装置を正確に使い、正確なデータを得る能力を身に付けることである。
授業の進め方・方法:
3週目までは、講義と演習形式となる。4週目以降は、4~5人で1グループとして実験を行う。
各実験の目的、手法と注意事項、予想される結果に関する十分な予習を行うこと。また、適宜レポートに関する調査を書籍,文献やインターネットで行うこと。報告書の作成時間は講義時間中にはとれないので、時間外にも行うこと。また、実験内容および操作に関する試験を行うので学習しておくこと。
注意点:
1. 化学実験は危険であるという観点に立ち、化学実験を行うことは非常に重要である。このことは、自身が危険にさらされる行為は、周囲の人間を危険にさらしていることと同じであることを十分認識してほしい。危険はおそれるだけでは、化学の進歩はない。危険性を先人により積み重ねられた経験を理解し、実践することで、十分軽減することがをできる。本実験をこなすという観点ではなく、身に付けるという観点でのぞんで欲しい。
2. 実験の目的,実験操作の概要を把握し,ノートにまとめておくこと.
3. レポートに関しては,読む者が理解しやすいように工夫して書くことが重要です.そのためには,課外の図書館における参考書調べなど必要となります.
4. 指定するレポート期限を厳守すること

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 概要説明
レポートについて
安全教育(1)

レポートの書き方、提出方法について説明する
事故が起こった時の対応について理解する
2週 安全教育(2) 廃液処理の方法について理解する
3週 安全教育(3)
試験
放射線が関係する実験(放射性元素の取り扱いを含む)の注意点を理解する
バイオハザード実験における注意点を理解する
4週 実験に使用する器具の確認とその名称
定性分析実験(1)
実験に使用する器具の名称がわかる。
器具に応じた洗浄ができる。
試薬の取り方とその注意点、五感を使った検出法とその注意点がわかり、それらの操作の意味を理解する。
5週 定性分析実験(2)
(炎色反応実験)
加熱を行う実験に必要な器具の名称がわかる。
加熱操作を行い、そのために必要な器具の使用方法、使用上の注意点がわかり、その操作の意味を理解する。
6週 実験器具、装置の使い方(1) 液体試薬の取り扱いに必要な器具の名称がわかる。
液体試薬を取り扱い、そのために必要な器具の使用方法、使用上の注意点がわかり、その操作の意味を理解する。
7週 実験器具、装置の使い方(2) 固体試薬の取り扱いに必要な器具の名称がわかる。
固体試薬を取り扱い、そのために必要な器具の使用方法、使用上の注意点がわかり、その操作の意味を理解する。
ろ過するために必要な器具の名称がわかり,それらの使用方法,使用上の注意がわかり,その操作の意味を理解する。
8週 酸・塩基滴定実験(1) 目的の濃度の溶液を作成する実験に必要な器具の名称がわかる。
目的の濃度の溶液を作製し、そのために必要な器具の使用方法、使用上の注意点がわかり、その操作の意味を理解する。
4thQ
9週 酸・塩基滴定実験(2) 中和滴定実験に必要な器具の名称がわかる。
中和滴定実験を行い、そのために必要な器具の使用方法、使用上の注意点がわかり、その操作の意味を理解する。
10週 レポート整理日
11週 定性分析実験(3)
(光合成色素の分離実験)
マイクロピペットの使い方がわかり、正確に使用できる。
光合成色素について理解する。
光合成色素の分離実験(ペーパークロマトグラフィー)に必要な器具の名称がわかり、その器具の使用方法、使用上の注意がわかり、その操作の意味を理解し、結果を正確に記録することができる。
12週 定性分析実験(4)
(酵素反応実験)
酵素について理解する。
酵素反応による変化を観察し、その様子を正確に記録することができる。
酵素活性がどのような要因でどのように変わったかを正確に記録することができる。
13週 実験器具、装置の使い方(3)
顕微鏡観察
光学顕微鏡を使用して拡大観察実験を行う。
そのために必要な操作方法、使用上の注意点がわかり、その操作の意味を理解する。
観察結果を正確に記録することができる。
14週 実験器具、装置の使い方(4)
顕微鏡観察
光学顕微鏡を使用して拡大観察実験を行う。
そのために必要な操作方法、使用上の注意点がわかり、その操作の意味を理解する。
観察結果を正確に記録することができる。
15週 試験、レポート整理日
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。1
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。1
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。1
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。1
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。1
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。1
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。1
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。1
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。1
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。1
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。1
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】分析化学実験中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。4後8,後9
物理化学実験温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。1後4,後5,後6,後7,後8,後9
生物工学実験光学顕微鏡を取り扱うことができ、生物試料を顕微鏡下で観察することができる。1後13,後14
適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。1後11,後12
クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。1後11
酵素の活性を定量的または定性的に調べることができる。1後12
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。1
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。1
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。1
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。1
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。1
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。1
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。1
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。1
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。1
事実をもとに論理や考察を展開できる。1
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。1
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。1
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。1
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。1
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。1
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。1
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。1
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている1
法令やルールを遵守した行動をとれる。1
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。1

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合20000800100
基礎的能力0000000
専門的能力20000800100
分野横断的能力0000000