到達目標
物質(主に気体)の性質を巨視的および微視的な観点の両方から理解すること。具体的には、
①気体の法則を理解して、その状態方程式を説明し、活用できる。
②熱力学第一法則を理解して、仕事、熱量、内部エネルギー変化、エンタルピー変化を計算できる。
③熱力学第二法則および第三法則を理解して、エントロピー変化を計算できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安(可) | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 気体分子運動論から圧力を定義し、理想気体の状態方程式を説明できる。実在気体の理論的取扱いを説明できる。 | 気体の法則を理解して、理想気体の状態方程式を説明し、活用できる。実在気体の理論的取扱いを説明できる。 | 気体の法則を理解して、理想気体の状態方程式を説明できない。 |
評価項目2 | 熱力学第一法則を理解し、種々の状態変化に伴う仕事、熱量、内部エネルギー変化、エンタルピー変化を計算できる。 | 状態変化に伴う仕事、熱量、内部エネルギー変化、エンタルピー変化を計算できる。 | 状態変化に伴う仕事、熱量、内部エネルギー変化、エンタルピー変化を計算できない。 |
評価項目3 | 熱力学第二法則および第三法則を理解して、種々の状態変化に伴うエントロピー変化を計算できる。 | 状態変化に伴うエントロピー変化を計算できる。 | 状態変化に伴うエントロピー変化を計算できない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
物理化学は、種々の物質の構造と特性について、巨視的および微視的な2つの立場から理解しようとするものである。物理化学Iでは、主に気体に注目してその性質を定量的に議論し、熱力学の基礎となる概念と物理量の取扱いを修得する。
授業の進め方・方法:
使用テキスト「アトキンス物理化学要論(第6版)」に準拠し、講義形式を基本として進める。物理化学(I)においては序章(基本概念)から第4章までを学ぶ。必要に応じて資料を配付し、演習問題を解いて理解を深める。授業中に数値計算を課すので関数電卓は必ず持参すること(定期試験にも電卓持込みとする)。なお、専門用語の英語訳は将来的に極めて重要であると考え、早いうちから慣れておくことを必須課題とする。具体的にはテキスト脚注の英単語はすべて必修とし、定期試験に出題する。
注意点:
物理化学の理解には数式の取扱いが必須であり、これまで数学で学んだ微積分、幾何学などを活用していくことになる。
数学が苦手だった学生には、嫌々復習するのではなく、自然の法則が数式によって記述されることに新鮮な感動を覚え、自身の計算で科学現象を導く醍醐味を味わってほしい。
1.関数電卓の使い方に慣れ、単純な計算でも必ず実行して最終結果まで自身で導くこと。
2.計算時、必ず「単位」に留意せよ。異なる単位同士の足し算・引き算はあり得ない。異なる単位の掛け算・割り算によって別の単位が生成する。
3.紙とエンピツによる数式の手計算も重要である一方、エクセル等のPCソフトの活用は極めて有効であると心得よ。
本講義の中にも随所に数学の基礎知識を確認する演習等を行うが、到達目標に達しない場合は追加課題を与える。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
基本概念①(質量・体積・密度・圧力) |
基本となる7つの国際単位を知り、その組み合わせで種々の物理量が表せることを理解する。
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2週 |
基本概念②(エネルギーと波) |
運動エネルギーおよびポテンシャルエネルギーの数式表現に慣れ、その微分形が力になることを理解する。
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3週 |
気体の性質① |
理想気体の状態方程式を理解し説明できる。分圧の計算ができる。
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4週 |
気体の性質② |
気体の分子論モデルから圧力を定義し、気体分子の速度を説明できる。
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5週 |
気体の性質③ |
理想気体と実在気体の違いを理解し、ファンデルワールスの状態方程式を説明できる
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6週 |
気体の性質④ |
臨界現象と臨界点近傍の特徴を説明できる。
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7週 |
気体の性質⑤ |
熱力学を学ぶ上での必要な用語と基本的事項を説明できる。
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8週 |
中間試験 |
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2ndQ |
9週 |
試験返却 |
中間試験範囲で理解不十分であった点を認識する。理解できていた点についても別解法や多面的な理解を深める。
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10週 |
熱力学第一法則① |
仕事、熱量、熱容量、内部エネルギーの定義を説明でき、与えられた条件下での数値計算ができる。
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11週 |
熱力学第一法則② |
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。
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12週 |
熱力学第一法則③ |
エンタルピーの温度依存性を説明できる。
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13週 |
熱力学第一法則④ |
等温可逆変化に伴うエンタルピー変化を説明できる。
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14週 |
熱力学第一法則⑤ |
断熱可逆変化および断熱不可逆変化に伴うエンタルピー変化を説明できる。
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15週 |
期末試験 |
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16週 |
試験返却 |
期末試験範囲で理解不十分であった点を認識する。理解できていた点についても別解法や多角的な理解を深める。
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後期 |
3rdQ |
1週 |
基本概念③ |
前期の内容に含まれる物理量の単位を総括し、エネルギーの保存について説明できる。
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2週 |
熱力学第一法則の応用① |
相転移のエンタルピーについて説明できる。
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3週 |
熱力学第一法則の応用② |
原子や分子の変化に伴うエンタルピー変化について説明できる。
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4週 |
熱力学第一法則の応用③ |
化学変化に伴うエンタルピー変化を説明でき、ヘスの法則により熱化学方程式の計算ができる。
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5週 |
熱力学第一法則の応用④ |
標準生成エンタルピーの定義と適用方法を説明でき、反応エンタルピーの温度依存性を説明できる。
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6週 |
熱力学第二法則① |
エントロピーを定義し、その物理的な意味を説明できる。
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7週 |
熱力学第二法則② |
純物質の絶対エントロピーを計算できる
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8週 |
中間試験 |
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4thQ |
9週 |
試験返却 |
中間試験範囲で理解不十分であった点を認識する。理解できていた点についても別解法や多角的な理解を深める。
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10週 |
熱力学第二法則③ |
膨張、加熱におけるエントロピー変化を計算できる。
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11週 |
熱力学第二法則④ |
化学反応におけるエントロピー変化を計算できる。
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12週 |
熱力学第二法則⑤ |
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。
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13週 |
熱力学第二法則⑥ |
エントロピーの分子論的な解釈について説明できる。
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14週 |
熱力学第二法則⑦ |
反応における自由エネルギー変化より平衡定数の計算ができ、その温度依存性を説明できる。
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15週 |
期末試験 |
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16週 |
試験返却 |
期末試験範囲で理解不十分であった点を認識する。理解できていた点についても別解法や多角的な理解を深める。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 物理化学 | 気体の法則を理解して、理想気体の方程式を説明できる。 | 4 | |
気体の分子速度論から、圧力を定義して、理想気体の方程式を証明できる。 | 4 | |
実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。 | 4 | |
臨界現象と臨界点近傍の特徴を説明できる。 | 4 | |
混合気体の分圧の計算ができる。 | 4 | |
熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。 | 4 | |
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。 | 4 | |
化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。 | 4 | |
エンタルピーの温度依存性を計算できる。 | 4 | |
内部エネルギー、熱容量の定義と適用方法を説明できる。 | 4 | |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 90 | 0 | 0 | 0 | 10 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 90 | 0 | 0 | 0 | 10 | 0 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |