応用化学実験Ⅰ

科目基礎情報

学校 有明工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 応用化学実験Ⅰ
科目番号 0013 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 創造工学科(応用化学コース) 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 前期:2
教科書/教材 配布プリント
担当教員 劉 丹,田中 康徳,内田 雅也

到達目標

1.実験における安全とはどのようなことかを理解し、安全性に注意を払って実験をおこなうことができる。
2.実験で使用する基本的な実験器具・装置の名称がわかり、これらを正しく使用できる。
3.分析化学、無機化学、生物学分野の基礎的テーマについて、その原理を理解し実験を遂行できる。
4.日本語による文章や、 図表を用いて論理的に説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1実験における安全とはどのようなことかを理解し、安全に実験をおこなうことができる。実験における安全とはどのようなことかを理解し、安全性に注意を払って実験をおこなうことができる。実験における安全とはどのようなことかを理解していない。安全性に注意を払って実験ができない。
評価項目2各実験で使用する基本的な実験器具・装置の名称が正確にわかり、これらを正しく使用できる。一部に軽微な誤りはあるが各実験で使用する基本的な実験器具・装置の名称がわかり、これらを正しく使用できる。各実験で使用する基本的な実験器具・装置の名称、使用方法がわからない。また、これらの器具・装置を正しく使用できない。
評価項目3分析化学、無機化学、生物学分野の基礎的テーマについて、その原理を理解し説明できる。また、実験を計画的に遂行できる。分析化学、無機化学、生物学分野の基礎的テーマについて、その原理を理解し実験を遂行できる。分析化学、無機化学、生物学分野の基礎的テーマについて、その原理が理解できない。また、実験を遂行できない。
評価項目4得られた成果を正しい日本語による文章や,言いたいことが分かる図表を用いて論理的に説明できる得られた成果を日本語による文章や、 図表を用いて論理的に説明できる得られた成果を,日本語による文章や, 図表を用いて論理的に説明できない

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
新しい発見・発明をすることで化学(生物)分野は進歩してきた。実験は新しい発見・発明には欠かすことのできないことである。今後、今までにない発見・発明(奇異な実験データ)に遭遇した時、それが新しい発見・発明であるかもしれないし、単なるデータの取得ミス(実験の失敗)かもしれない。これらをはっきりさせるには、正しい能力、技術を身に付けるしかなく、これは、あらかじめどうなるかが分かっている実験器具・装置を使用し、正しい結果を出すということを繰り返していくことでしか培われない。本実験の目的は、今後の実験(卒業研究を含む)において必ず使用する基本的な器具や装置を正確に使い、正確なデータを得る能力を身に付けることである。
授業の進め方・方法:
3週目までは、講義と演習形式となる。4週目以降は、4~5人で1グループとして実験を行う。CコースおよびLコースを混合して8つのグループ分けを実施する。グループ1〜4は課題1から4を全グループ同時進行で実施する。残りのグループは課題5から8を各グループで異なる実験をローテーションで実施する。第9週からグループを入れ替え、同様に実施する。
各実験の目的、手法と注意事項、予想される結果に関する十分な予習を行うこと。また、適宜レポートに関する調査を書籍,文献やインターネットで行うこと。報告書の作成時間は講義時間中にはとれないので、時間外にも行うこと。また、実験内容および操作に関する試験を行うので学習しておくこと。
注意点:
1. 化学実験は危険であるという観点に立ち、化学実験を行うことは非常に重要である。このことは、自身が危険にさらされる行為は、周囲の人間を危険にさらしていることと同じであることを十分認識してほしい。危険はおそれるだけでは、化学の進歩はない。危険性を先人により積み重ねられた経験を理解し、実践することで、十分軽減することがをできる。本実験をこなすという観点ではなく、身に付けるという観点でのぞんで欲しい。
2. 実験の目的,実験操作の概要を把握し,ノートにまとめておくこと.
3. レポートに関しては,読む者が理解しやすいように工夫して書くことが重要です.そのためには,課外の図書館における参考書調べなど必要となります.
4. 指定するレポート期限を厳守すること

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 オリエンテーション
講義1
本実験の概要や、注意事項、進め方等を知る。
各実験に関する講義を行う。各実験の原理および注意点を説明できる。
2週 講義2 各実験に関する講義を行う。各実験の原理および注意点を説明できる。
3週 講義3 各実験に関する講義を行う。各実験の原理および注意点を説明できる。
4週 [ 課題1] NaOHとNa2CO3の混合物定量(中和滴定) HCl標準液を用いて、混合塩基の定量分析ができる。
5週 [ 課題 2 ] 過マンガン酸カリウム滴定(酸化還元滴定) シュウ酸ナトリウムを用いて、過マンガン酸カリウムの標定ができる。
6週 [ 課題 3 ] 水硬度の測定(キレート滴定) キレート剤(EDTA2Na)を利用し、水の全硬度、カルシウム硬度、マグネシウム硬度を求めることができる。
7週 [ 課題 4 ] 陽イオンの定性分析 いくつかの陽イオンの定性分析法を説明できる。また、未知イオンを含む溶液を定性分析できる。
8週 レポート作成
4週から7週についてのレポートを作成する。提出期限はこの日の授業終了時とする。
2ndQ
9週 【課題5】タンパク質、アミノ酸の定性 タンパク質とアミノ酸の定性を行い、その原理について説明できる。
10週 【課題6】比色分析
1,10-フェナントロリンによる鉄の定量を行い,比色分析法及び装置の原理,さらに検量線の作成法とその利用法を理解できる。
11週 【課題7】水の電気分解 水の電気分解を実施し,理論分解電圧,水素過電圧,酸素過電圧を説明できる。
12週 【課題8】ダニエル電池起電力測定と濃淡電池 単極電位およびダニエル電池の起電力測定を行う。また銀イオンの濃淡電池の起電力から塩化銀の溶解度を求める。電池に関しての基礎理論とその応用について理解できる。
13週 レポート作成
9週から12週についてのレポートを作成する。提出期限はこの日の授業終了時とする。
14週 テスト
各実験に関する試験を実施する。
15週 テスト返却
テスト結果を確認し,身についていない事項について再度学習する。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。2
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。2
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。2
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。2
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。2
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。2
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。2
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。2
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。2
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。2
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。2
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】分析化学実験中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。4前4
酸化還元滴定法を理解し、酸化剤あるいは還元剤の濃度計算ができる。4前5
キレート滴定を理解し、錯体の濃度の計算ができる。4前6
陽イオンおよび陰イオンのいずれかについて、分離のための定性分析ができる。4前7
代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。4前10
物理化学実験基本的な金属単極電位(半電池)を組み合わせ、代表的なダニエル電池の起電力を測定できる。また、水の電気分解を測定し、理論分解電圧と水素・酸素過電圧についても説明できる。4前11,前12
分野横断的能力態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。3
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。3
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。3
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。3
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。3
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。3
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている3
法令やルールを遵守した行動をとれる。3
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合20000800100
基礎的能力0000000
専門的能力20000800100
分野横断的能力0000000