応用化学実験Ⅱ

科目基礎情報

学校 有明工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 応用化学実験Ⅱ
科目番号 0029 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 創造工学科(応用化学コース) 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 後期:2
教科書/教材 教科書: 物理化学実験法;千原秀昭・徂徠道夫編 東京化学同人 / 教材:配布プリント
担当教員 榎本 尚也,出口 智昭,大河平 紀司

到達目標

1.物理化学・生物工学実験における基本操作を習得し、計画的に実験を行うことができる
2.実験から得られた結果を正しく理解し、文献等に記載されている値と適宜比較を行う等のデータ処理を正しく行うことができる
3.実験から得られた結果について工学的な考察を行い、図表を用いて論理的にまとめることができる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1物理化学・生物工学実験における基本操作を習得し、正確な実験を計画的に行うことができる物理化学・生物工学実験における基本操作を習得し、実験を行うことができる物理化学・生物工学実験における基本操作を習得できず、実験を行うことができない
評価項目2実験から得られた結果を正確に理解し、文献等に記載されている適切な値と適宜比較を行う等のデータ処理を正しく行うことができる実験から得られた結果をある程度理解し、文献等に記載されている値と比較を行う等のデータ処理を行うことができる実験から得られた結果を理解できず、文献等に記載されている値と比較を行う等のデータ処理を行うことができない
評価項目3実験から得られた結果について工学的な考察を行い、適切な図表を用いて論理的にまとめることができる実験から得られた結果について考察を行い、図表を用いてまとめることができる実験から得られた結果について考察を行うことができず、図表を用いてまとめることができない

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
自主性を発揮し、自らをためす絶好の機会が実験である。したがって、実験内容の予習はもちろんのこと、器具の種類や使用方法についても十分な準備が必要である。もちろん、実験においては、尊大な先入観をもって自然が与える解答を求めるものではなく、すなおな心で観察することが重要である。
 本実験の各課題は、物理化学・生物工学の基本的な分野から精選したものであり、これらの実験を行うことで物理化学・生物工学を単なる知識としてではなく、体験として学ぶ。
 第1の目標は、物理化学・生物工学実験における基本操作を身につけることである。実験をはじめるにあたっては、実験はどのような計画で、どのような器具を使えば期待している答えが得られるかを慎重に考えなければならない。
 第2の目標は、データの処理の方法を身につけることである。実験結果を理論式にあてはめ導かれた化学的数量がどのような意味をもつか、他の類似のデータを文献から探して比較検討できるようにする。
 第3の目標は、レポートのまとめ方を身につけることである。レポートは研究論文に相当するものである。したがって、研究論文にしたがった実験レポートの書き方について習得する。特に、得られた結果に対してどう考察したかが重要であるので、きちんと考察できるようにする。
授業の進め方・方法:
全体を6つの班に分け、9テーマある実験をローテーションしながら実施する。また、それぞれの実験テーマに関して試験を行うので、しっかりと学習しておくこと。
注意点:
本実験は、化学系における専門の基礎となる実験であるため、これまでに学んだすべての専門科目の基礎知識を必要とする。また、座学では習っていない内容も先行して行うため、それらの実験テーマに関しては予習が必要である。
各実験テーマで実施場所が異なる場合があるため、第一週目のオリエンテーションでの説明をしっかり聞いておくこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 オリエンテーション 実験のスケジュール、実験の心得、注意事項、各テーマにおける課題について知る。
2週 【テーマ1】密度と屈折率 エタノール水溶液の密度と溶液中のエタノールの重量分率の関係を理解する。溶液を構成する各成分の部分モル体積について理解する。エタノール水溶液の屈折率と溶液中のエタノールの重量分率の関係を理解する。エタノール水溶液の密度と屈折率の測定値からエタノールと水のモル分率に関して、混合の分子屈折の加成性が成立するかどうか検討する。
3週 【テーマ2】固体の溶解度と溶解熱 純粋な固体物質が、その溶液と平衡にあるとき、その溶液を飽和溶液という。飽和溶液中にある溶質の濃度を溶解度といい、この実験では、安息香酸を水に溶かし、さまざまな温度で安息香酸の溶解度を決定する。溶解度と温度から溶解熱が求められることを理解する。
4週 【テーマ3】反応速度定数 ショ糖がブドウ糖と果糖に分解する反応速度を測定する実験を行う。反応速度が反応物質の濃度に比例することを理解し、一次反応か二次反応か決定する。また、時間に対する反応液の量の変化から反応速度定数を決定するが、この定数と反応の活性化エネルギーとの関係を理解する。
5週 課題 与えられた課題に関して、自ら調査してまとめる。
6週 【テーマ4】凝固点降下 ナフタレンをシクロヘキサンに溶かすとシクロヘキサンの凝固点が降下する。測定値から凝固点降下とナフタレンの重量モル濃度の関係を理解する。また、ナフタレンの質量と凝固点降下を図示することで、その傾きから分子量が求まる理由について理解する。
7週 【テーマ5】粘度 高分子を溶媒に溶かすとその溶液はかなり高い粘性を示す。この実験では、ポリビニルアルコールを水に溶解させ、溶液粘度を測定する。得られた測定値からポリビニルアルコールの分子量や溶液中でのポリビニルアルコール分子の広がりなどの情報が得られることを理解する。
8週 【テーマ6】反応熱 すべての化学反応はエネルギー変化をともなう。この実験では、希薄な水酸化ナトリウム水溶液に希薄な塩酸を混合するときの熱量変化を定量的に求め、中和熱を決定する。ここでは、化学変化における反応熱が熱力学第1法則に関係していることを理解する。
4thQ
9週 課題 与えられた課題に関して、自ら調査してまとめる。
10週 【テーマ7】培地作成及び無菌操作 微生物を培養するための培地調製及び無菌操作ができる。
11週 【テーマ8】微生物の培養 微生物を培養し,その増殖を測定できる。
12週 【テーマ9】分光光度計を用いたグルコースの定量 GOD・ムタロターゼ法によりグルコースを定量するための検量線が作成できる.与えられた未知試料のグルコース濃度が測定できる。
13週 課題 与えられた課題に関して、自ら調査してまとめる。
14週 試験 各実験の原理・結果・考察に関して試験を行う。
15週
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。2
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。2
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。2
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。2
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。2
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。2
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。2
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。2
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。2
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。2
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。2
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】物理化学実験温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。4後2
各種密度計(ゲールサック、オストワルド等)を用いて、液体および固体の正確な密度を測定し、測定原理を説明できる。4後2
粘度計を用いて、各種液体・溶液の粘度を測定し、濃度依存性を説明できる。4後7
熱に関する測定(溶解熱、燃焼熱等)をして、定量的に説明できる。4後3,後8
分子量の測定(浸透圧、沸点上昇、凝固点降下、粘度測定法等)により、束一的性質から分子量を求めることができる。4後6
相平衡(液体の蒸気圧、固体の溶解度、液体の相互溶解度等)を理解して、平衡の概念を説明できる。4後3
反応速度定数の温度依存性から活性化エネルギーを決定できる。4後4
生物工学実験光学顕微鏡を取り扱うことができ、生物試料を顕微鏡下で観察することができる。4後11
滅菌・無菌操作をして、微生物を培養することができる。4後10
分光分析法を用いて、生体物質を定量することができる。4後12
分野横断的能力態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。3
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。3
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。3
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。3
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。3
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。3
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている3
法令やルールを遵守した行動をとれる。3
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合30000700100
基礎的能力1000020030
専門的能力2000050070
分野横断的能力0000000