到達目標
1.酵素反応を物理化学的の観点で理解する。
2.酵素の構造を分子レベル(ナノレベル)で理解する。
3.酵素に関する実験、研究について原理、方法、成果を理解する。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 酵素反応を物理化学的観点で説明でき、分子構造と関連付けて説明できる。 | 酵素反応を物理化学的観点で説明できる。 | 酵素反応を物理化学的観点で説明できない。 |
評価項目2 | 酵素の構造を分子レベルで説明でき、熱力学と関連付けて説明できる。 | 酵素の構造を分子レベルで説明できる。 | 酵素の構造を分子レベルで説明できない。 |
評価項目3 | 酵素に関する実験、研究について原理、方法、成果のそれぞれを関連付けて説明できる。 | 酵素に関する実験、研究について原理、方法、成果を説明できる。 | 酵素に関する実験、研究について原理、方法、成果を説明できない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
われわれ生命は,生体内でさまざまな化学反応が必要に応じて,適切に行われることで成り立っている。酵素は,生体内でおこる化学反応の「触媒」としてはたらく「タンパク質」である。本科目では,2年生の基礎生物、3年生の生物化学Ⅰで修得したタンパク質および酵素に関する理解を深める。具体的には,酵素の機能,構造を分子レベルで,物理化学的側面で理解し,酵素反応(酵素の機能)が酵素の構造と密接に関連していることを理解する。また,酵素に関する初歩から最先端までの実験、研究を紹介・理解し,酵素反応の意義,酵素の応用についてその理解を深める。
授業の進め方・方法:
教科書の「Essential 細胞生物学第4版」に準拠し、講義形式で進める。酵素化学では第2章から第4章が主に該当する。また,必要に応じて資料や問題を配布する。授業中に教科書の問題,章末の演習問題,配布プリントの問題を解いて理解を深める。時間的制約からすべてを授業中に解くことはできないので,自主的にこれらの問題を解いて理解を深める。また,一部またはすべてをレポート課題とするので,指定した期日までに提出すること。化学・生物分野では、専門用語の英語は極めて重要である。専門用語の英語は早いうちから慣れておくことを必須課題とする。具体的には、テキスト本文に並列して記してある英単語は必須とし、その意味の説明も含めて定期試験に出題する。
注意点:
酵素化学(酵素のナノレベルの理解)には,分子の性質,構造の理解が不可欠であり,その理解のうえに成り立っているといっても過言ではない。2年生の化学基礎,3年生の無機化学Ⅰ,有機化学Ⅰの理解を確実なものにしておくことが重要であるので,これらの科目の弱点は克服しておいて欲しい。また,酵素をエネルギーの立場,速度論的立場での理解には,熱力学の理解,数式の変形が不可欠であり,その理解のうえに成り立っているといっても過言ではない。1~3年生の数学,3年生の物理化学Ⅰの理解を確実なものにしておくことが重要であるので,これらの科目の弱点は克服しておいて欲しい。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス 酵素 |
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pHなど)について説明できる。
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2週 |
細胞と細胞の化学成分 |
細胞の化学結合(弱い結合と強い結合)について説明できる。 細胞内の小分子(糖質、脂質、タンパク質、核酸)について説明できる。
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3週 |
細胞のエネルギー利用① |
熱力学第1、第2法則を説明できる。 代謝(同化と異化)とエネルギーについて説明できる。 生物のエネルギーと活性運搬体について説明できる。
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4週 |
細胞のエネルギー利用② |
酵素反応について理解する①酵素反応をエネルギーの観点から説明でき、酵素反応の平衡定数、自由エネルギー変化を計算できる。
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5週 |
細胞のエネルギー利用③ |
酵素反応について理解する②酵素反応速度論についての計算ができるⅠ。
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6週 |
細胞のエネルギー利用④ |
酵素反応について理解する③酵素反応速度論についての計算ができるⅡ。
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7週 |
中間試験 |
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8週 |
試験返却 細胞のエネルギー利用⑤ |
中間試験の範囲で理解不足であった点を認識する。理解できていた点でも別解法や多面的な理解を深める。 酵素反応について理解する④基質レベルのリン酸化について説明できるⅠ
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2ndQ |
9週 |
細胞のエネルギー利用⑥ |
酵素反応について理解する⑤基質レベルのリン酸化について説明できるⅡ
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10週 |
タンパク質の構造と機能① |
タンパク質、ペプチド、アミノ酸について説明できる。 タンパク質の階層構造について理解する①一次構造、二次構造を説明できる。
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11週 |
タンパク質の構造と機能② |
タンパク質の階層構造について理解する②三次構造、四次構造を説明できる。 酵素の反応と分類を理解する。
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12週 |
タンパク質の構造と機能③ |
タンパク質の研究に関して説明できる①酵素の単離・精製について説明できるⅠ
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13週 |
タンパク質の構造と機能④ |
タンパク質の研究に関して説明できる②酵素の単離・精製について説明できるⅡ。酵素の構造決定について説明できるⅠ。
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14週 |
タンパク質の構造と機能⑤ |
タンパク質の研究に関して説明できる③酵素の構造決定について説明できるⅡ。④酵素の応用について説明できる。
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15週 |
期末試験 |
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16週 |
試験返却 酵素化学のまとめ |
期末試験の範囲で理解不足であった点を認識する。理解できていた点でも別解法や多面的な理解を深める。 酵素化学の概要が説明できる。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 生物化学 | タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。 | 4 | 前2 |
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。 | 4 | 前2 |
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。 | 4 | 前1 |
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。 | 4 | 前10 |
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。 | 4 | 前10 |
タンパク質の高次構造について説明できる。 | 4 | 前10,前11 |
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。 | 4 | 前1,前5,前6 |
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。 | 4 | 前1 |
解糖系の概要を説明できる。 | 4 | 前8 |
クエン酸回路の概要を説明できる。 | 4 | 前9 |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 0 | 0 | 0 | 20 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 80 | 0 | 0 | 0 | 20 | 0 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |