ものづくり基礎Ⅱ

科目基礎情報

学校 有明工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 ものづくり基礎Ⅱ
科目番号 3M004 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 創造工学科(メカニクスコース) 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 前期:2 後期:2
教科書/教材 新版機械実習1および新版機械実習2(実教出版)
担当教員 南 明宏

到達目標

1.前期実習においては,1年での創造工学実験実習,2年でのものづくり基礎Ⅰで習得した技術を基礎にして,与えられた実習テーマに対し,製作した物の寸法等を正確に測定できる.
2.前期実習においては,1年での創造工学実験実習,2年でのものづくり基礎Ⅰで習得した技術を基礎にして,与えられた実習テーマに対し,より精度よく製作することができる.
3.後期実習においては,履修者各々が自身の判断と責任の下で作業工程を考えることができる.
4.後期実習においては,履修者が製作した製品の良否から作業工程の適否を考察することができる.
5.作業工程設計,考察を含めた実習報告書の作成ができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1与えられた実習テーマに対し、製作した物を正確に、かつ迅速に測定できる. 与えられた実習テーマに対し、製作した物をある程度正確に、かつ所定の時間内に測定できる.与えられた実習テーマに対し、製作した物を不正確に、かつ所定の時間内に測定できない.
評価項目2与えられた実習テーマに対し,より精度よく,かつ制限された時間内に製作することができる.与えられた実習テーマに対し,ある程度精度よく,かつほぼ制限された時間内に製作することができる.与えられた実習テーマに対し,精度不良および制限された時間内に製作することもできない.
評価項目3履修者各々が自身の判断と責任の下で作業工程を十分に考えることができる.履修者各々が自身の判断と責任の下で作業工程を考えることができる.履修者各々が自身の判断と責任の下で作業工程を考えることができない.
評価項目4履修者が製作した製品の良否から作業工程の適否を的確に考察することができる.履修者が製作した製品の良否から作業工程の適否を考察することができる.履修者が製作した製品の良否から作業工程の適否を考察することがない.
評価項目5作業行程設計,考察を十分に含めた実習報告書の作成ができる.作業行程設計,考察を含めた実習報告書の作成ができる.作業行程設計,考察を含めた実習報告書の作成ができない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
液晶テレビ,オーディオ機器,洗濯機,冷蔵庫,掃除機,携帯電話,PC(パーソナルコンピュータ),タブレットなどの各種家電製品からガソリン・ハイブリッド・電気自動車,航空機,船舶等の乗り物に至るまで,私たちの身の回りの工業製品は,優れた生産技術なくしては普及し得ない.これら工業製品の生産においては,形状,精度,強度,動作,価格,安全性,リサイクル性といった要求される様々な機能を,納期という制約の中で実現しなければならない.
本実習の目的は,のちに行うべき機械設計のために必要な知見を,工作実習を通して習得することである.
機械設計のために必要な知見とは,例えば上述の製品の形状をいかにして実現するかの工程設計を行うために,あるいは図面に書き込むべき情報を判断して指示するために必要な知見のことである.
したがって,優れた製品設計をするためには,加工技術を中心とした生産技術に関しての幅広い知識と経験が求められる.
本ものづくり基礎Ⅱにおいては,まず加工および計測技術に関して履修者に課題提示を行う.そして,1・2年時の創造工学実験実習、ものづくり基礎Ⅰ,課題研究ⅠおよびⅡ等で学習した内容を基礎として,履修者各々が自身の判断と責任の下で作業工程を考え,課題達成を図ることを行う.そして,実習後は製品の良否から作業工程の適否を考察する.このような一連の作業を通し,履修者は合理的な考えの下で工程が設計できるセンスを涵養する.
授業の進め方・方法:
毎回与えられたテーマの実習を行い,その内容に沿った実習報告書を作成し,提出する.
1年間の前期および後期をそれぞれ5パートに分けて下記のテーマをローテーションする.
前期:旋盤,NC工作機械,フライス盤,手仕上げ,溶接・鋳造 
後期:旋盤,溶接,手仕上げ,特殊機械,NC工作機械
注意点:
本ものづくり基礎Ⅱでは,1,2年次の創造工学実験実習,ものづくり基礎Ⅰ,課題研究ⅠおよびⅡ,1年次製図,2年次の機械基礎製図Ⅰで学んだ知識,3年次からの開講科目である材料学Ⅰ,精密加工,機構と要素等の知識も必要である.後期においては,4・5年次の機械工学の学習と連結の強いテーマが提示される.
したがって,本ものづくり基礎Ⅱで習得する技術や知見は,専門分野の授業理解をより具体性をもって促すこととなる.
成績は実習の実技点50%の①50点満点,ポートフォリオ50%は②実習ノート通年30回分を50点満点に換算,①+②=100点満点で評価する.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 旋盤作業[丸棒材段付き削り] センター穴ドリル加工ができること.丸棒の荒削り,中仕上げ,本仕上げができること.
2週 旋盤作業[ねじ切り] ねじ切り加工ができること.
3週 旋盤作業[曲面削り] Rゲージ合わせによる曲面加工ができること.
4週 NC工作機械[NCフライス盤の基礎,NCプログラミングの基礎,プログラム作成(ト音記号)] NCフライス盤の仕組みが理解できること.
5週 NC工作機械[プログラム作成(溝加工)] 簡単なNCプログラムが作成できること.
6週 NC工作機械(NCフライス盤による加工) NCフライス盤の基本的な作業ができること.
7週 フライス盤[立てフライス盤(段削り)] 立てフライス盤を使って,材料に段付き加工をすることができること.
8週 フライス盤[横フライス盤(ラック加工)] 横フライス盤を使って,材料にラック加工をすることができること.
2ndQ
9週 フライス盤[立てフライス盤(段削り)] 立てフライス盤を使って,材料に決まった寸法の段付き加工をすることができること.
10週 手仕上げ[ケガキ作業,穴あけ作業,タップ立て作業]


穴あけ作業ができること.
タップ立て作業ができること.
11週 手仕上げ[ネジ立て,ダイス加工] オネジ加工ができること.
12週 手仕上げ[きさげ作業] きさげ(赤当たり)作業を理解できること.
13週 溶接・鋳造[鋳造]
木枠と鋳物砂を使って砂型を製作できること.
14週 溶接・鋳造[鋳造,被覆アーク溶接] モールディングマシンを使って砂型を製作できること.
アルミの鋳造作業ができること.薄板の角溶接・隅肉溶接ができること.
15週 溶接・鋳造[四角柱のアーク溶接] 薄板の角,隅肉溶接ができること.
16週
後期
3rdQ
1週 旋盤[外径・端面切削(1)] 単動チャックの動作と使い方が理解できること.
端面加工ができること.
2週 旋盤[外径・端面切削(2)] トースカン,ダイヤルゲージを用いて心出しができること.
3週 旋盤[中ぐり加工] 穴あけ,中ぐり加工ができること.
4週 NC工作機械[NCプログラム作成(NCフライス盤)]
工具補正を考慮したプログラムを作成できること.
5週 NC工作機械[NCフライス盤による加工] NCフライス盤作業の基本的な流れと操作を理解し,基本操作ができるkと.
6週 NC工作機械[マシニングセンタの基礎,マシニングセンタによる加工] マシニングセンタ作業の基本的な流れを理解し,NC工作機械の特徴と種類について理解できること.
7週 特殊機械[立てフライス盤(溝加工)] 立てフライス盤を使って,材料に溝加工をすることができること.
8週 特殊機械[ホブ盤(歯車加工)] ホブ盤による歯車加工のしくみを理解することができること.
4thQ
9週 特殊機械[立てフライス盤(溝加工)] フライス盤を使って,材料に決まった寸法の溝加工をすることができること.
10週 手仕上げ[L型金具加工] 図面(穴の精度を教示)を理解できること.
SS400材の塑性変形,弾性変形が理解できること.
11週 手仕上げ[組立部品加工(1)] 直角度を出す作業ができること.
面出しができること.
12週 手仕上げ[組立部品加工(2)] 直角度を出す作業ができる.
面出しができる.
13週 溶接[角タンクの溶接(1)] 素材の仮付け作業ができること.
14週 溶接[角タンクの溶接(2)] 隅肉溶接ができること.角溶接ができること.
15週 溶接[角タンクの溶接(3),水圧テスト] 溶接部品の補修溶接作業ができること.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の工学実験・実習能力機械系分野(実験・実習能力)機械系分野(実験・実習能力)実験・実習の目標と心構えを理解し、実践できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
災害防止と安全確保のためにすべきことを理解し、実践できる。3前1,前2,前3,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後15
レポートの作成の仕方を理解し、実践できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
ノギスの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。4前1,前2,前3,前4,前6,前7,前8,前11,前15,後6,後7,後8
マイクロメータの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。4前1,前2,前3,前6,前7,前8,前9,前10,前11,後1,後9,後12
ダイヤルゲージ、ハイトゲージ、デプスゲージなどの使い方を理解し、計測できる。4前1,前2,前3,前7,前8,前9,後2,後3,後8,後11,後12,後13
けがき工具を用いてけがき線をかくことができる。4前10,前11,前12,後11
やすりを用いて平面仕上げができる。4前12,後10,後11,後12
ねじ立て工具を用いてねじを切ることができる。4前10,前11
アーク溶接の原理を理解し、アーク溶接機、アーク溶接器具、アーク溶接棒の扱い方を理解し、実践できる。4前10,前13,後1
アーク溶接の基本作業ができる。4前15,後14,後15
旋盤主要部の構造と機能を説明できる。4前1,前2,前3,前12,後1,後2,後14
旋盤の基本操作を習得し、外丸削り、端面削り、段付削り、ねじ切り、テ―パ削り、穴あけ、中ぐりなどの作業ができる。4前1,前2,前3,後1,後2
フライス盤主要部の構造と機能を説明できる。4前7,前8,後7,後9
フライス盤の基本操作を習得し、平面削りや側面削りなどの作業ができる。4前7,前8,前9,後3,後7,後9
ボール盤の基本操作を習得し、穴あけなどの作業ができる。4前10,前11,前13
NC工作機械の特徴と種類、制御の原理、NCの方式、プログラミングの流れを説明できる。4前4,前5,前6,後10
少なくとも一つのNC工作機械について、各部の名称と機能、作業の基本的な流れと操作を理解し、プログラミングと基本作業ができる。4前4,前5,前6,後5,後6
実験の内容をレポートにまとめることができ、口頭でも説明できる。1

評価割合

試験発表相互評価実技ポートフォリオその他合計
総合評価割合00050500100
基礎的能力0000000
専門的能力00050500100
分野横断的能力0000000