溶融加工

科目基礎情報

学校 有明工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 溶融加工
科目番号 5M007 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 創造工学科(メカニクスコース) 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 前期:1
教科書/教材 機械製作法Ⅰ:千々岩健児著/コロナ社,溶融加工学:大中逸雄,荒木孝雄共著/コロナ社,鋳造工学:中江秀雄著/産業図書,鋳物のおはなし:加山延太郎著/日本規格協会,溶接のはなし:手塚敬三著/日本規格協会
担当教員 南 明宏

到達目標

1.鋳造における基礎理論(鋳造方案等)や基礎的事項および溶解に関する事項を理解し,説明できる.
2.各種精密鋳造法の原理,長短所,用途を理解し,説明できる.
3.アーク溶接を中心とした溶接の歴史,時代背景,基礎および現在の溶接法の種類を理解し,説明できる.
4.エレクトロスラグ溶接,電子ビーム溶接,超音波溶接,高周波溶接,摩擦溶接,テルミット溶接,ろう付け,レーザ溶接等の各種溶接法の原理,特徴(長短所),用途を理解し,説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1鋳造の基礎理論(鋳造方案等)や基礎的事項および溶解を理解し,正しい語句を使用して詳細に説明できる.鋳造の基礎理論(鋳造方案等)や基礎的事項および溶解を理解し,説明できる.鋳造の基礎理論(鋳造方案等)や基礎的事項および溶解を理解していない.あるいは説明できない.
評価項目2各種精密鋳造法の原理,長短所,用途を理解し,正しい語句を使用して詳細に説明できる.各種精密鋳造法の原理,長短所,用途を理解し,説明できる.各種精密鋳造法の原理,長短所,用途を理解していない.あるいは説明できない.
評価項目3アーク溶接を中心とした歴史,時代背景,基礎および現在の溶接法の種類を理解し, 正しい語句を使用して詳細に説明できる.アーク溶接を中心とした歴史,時代背景,基礎および現在の溶接法の種類を理解し,説明できる.アーク溶接を中心とした歴史,時代背景,基礎および現在の溶接法の種類を理解していない.あるいは説明できない.
評価項目4電子ビーム溶接,超音波溶接,テルミット溶接,レーザ溶接等の各種溶接法の原理,特徴(長短所),用途を理解し,正しい語句を使用して詳細に説明できる.電子ビーム溶接,超音波溶接,テルミット溶接,レーザ溶接等の各種溶接法の原理,特徴(長短所),用途を理解し,説明できる.電子ビーム溶接,超音波溶接,テルミット溶接,レーザ溶接等の各種溶接法の原理,特徴(長短所),用途を理解していない.あるいは説明できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
自動車,航空機・宇宙ロケット,鉄道車両,船舶,重機械,工作機械,家電製品,家電モーター,OA機器,携帯電話等の機械構造物・機械部品の製造や接合には鋳造法や溶接法が多用されている.鋳造法と溶接法はいずれも金属の融解と凝固が大きく関与してくるため,本教科目名である溶融加工という造語が作られ1つの学問体系となっている.この溶融加工では前半部(主に前期)と後半部(後期)に大きく分け,前半を鋳造関連,後半を溶接関連の講義を行う.
 鋳造関連の主な目標は以下のとおりである.
 第一の目標は鋳造の基礎的事項(鋳造方案等)および溶解[炉内の化学反応,誘導電気炉,アーク溶解炉,最新の溶解法(真空誘導溶解,電子ビーム溶解等)]に関する内容を理解できること.
 第二の目標は各種精密鋳造法〔遠心鋳造法,ダイカスト鋳造法,低加圧鋳造法,シェルモールド法,ロストワックス法,重力金型鋳造法〕等の原理,長短所,用途が理解できることである.
 一方,溶接関連の主な目標は以下のとおりである.
 第一の目標は1800年以降に開発が活発化したアーク溶接を中心とした溶接の歴史,時代背景,基礎(溶融池,溶接金属,熱影響部,溶接棒・溶接機等),および現在の標準的な溶接法の種類(TIG,MIG,炭酸ガス溶接,サブマージアーク溶接等)を理解できることである.
 第二の目標はエレクトロスラグ溶接,電子ビーム溶接,超音波溶接,高周波溶接,摩擦溶接,テルミット溶接,ろう付け(銀ろう,洋銀ろう,金ろう等),レーザ溶接等の各種溶接法の原理,特徴(長短所),用途を理解できることである.
本科目はSDGsの12番目の目標「つくる責任 つかう責任」に関する内容を学びます.


授業の進め方・方法:
この講義ではパワーポイント(以後,PPTと呼ぶ)を中心に用いて授業を進める.授業内容を学生用に編集したPPTを配付し,授業中に書き込むような形式にしている.学習内容が進展した段階で適宜,授業後半に課題プリントや演習問題を解き,提出させる.
注意点:
溶融加工は2年次後期~3年次まで行ってきたものづくり基礎ⅠおよびⅡにおける鋳造や溶接の実技経験で得た知識を基礎としてさらに学問的に理解を深めていくのでこれらの実習を確実に行っておく必要がある.また,鋳造後の組織変化や溶接時の機械的性質を議論するには3,4年次で開講されている材料学Ⅰ,ⅡそしてⅢ等の知識が必要であり,また,注湯時の湯の速度等を評価するためにはベルヌ-イの定理等を利用するので物理学,水力学に関する基礎知識も必要である.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 溶融加工の位置付けと導入 溶融加工の学問としての位置付けを理解し,年間の授業流れの概要を把握できること.
2週 砂型鋳造(鋳造品の材質,模型,鋳型,造型,鋳造方案) 鋳造品の材質,模型・鋳型の材質や種類,鋳物の製作方法が理解でき,説明できること.造型の種類が理解できること.鋳造方案について理解できること.
3週 溶解(キュポラ,各種電気溶解炉,特殊溶解法) 熱風・冷風,酸性・水冷キュポラの特徴や構造,低周波・高周波電気炉,エルー式溶解炉等の構造や特徴および用途を理解できること.特殊溶解法の特徴や用途を理解できること.
4週 特殊鋳造法(ダイカスト鋳造,低圧鋳造,シェルモールド,ロストワックス)) 熱加圧式・冷加圧式ダイカスト,シェルモールド,ロストワックス等の鋳造法の歴史,鋳造方法やつくり方の原理や特徴および用途を理解し,説明できること.
5週 特殊鋳造法(重力金型,Vプロセス,遠心鋳造) 重力金型,Vプロセス,遠心鋳造(砂型,金型,レジンサンド,立て型)の原理や特徴および用途を理解できること.
6週 鋳物の欠陥と検査 鋳物の欠陥とその検査方法について説明できること.
7週 前期中間試験
8週 アーク溶接の基本現象(極性,金属移行,溶け込み,アークブロー,スパッタ等) アーク溶接時の極性,金属の移行,溶け込み(アンダーカット,オーバーラップ,アークブロー,スパッタ等について理解できること.
2ndQ
9週 アーク溶接の基本現象(アーク溶接機,溶接に関する計算) 溶接機の種類や特徴を理解できること.また,溶接時間,溶接棒の温度上昇,発生する応力の計算ができること.
10週 イナートガス溶接(TIG,MIG,MAG) TIG,MIG,MAGの各種溶接法の原理,特徴,装置,用途を理解し,説明できること.
11週 炭酸ガスアークおよびサブマージアーク溶接 炭酸ガスおよびサブマージアーク溶接法の原理,特徴,装置,用途を理解し,説明できること.
12週 ガス溶接の概要,酸素アセチレン,ガス溶接施工,ガス溶接装置,ガス圧接 ガス溶接の接合方法とその特徴を説明できること.ガスとガス溶接装置、ガス溶接棒とフラックスを説明できること.
13週 各種溶接法1(エレクトロスラグ溶接,電子ビーム,超音波,高周波,摩擦,テルミット) エレクトロスラグ溶接,電子ビーム溶接,高周波溶接(誘導,抵抗),摩擦溶接およびテルミット溶接の原理,特徴(長短所),用途を説明できること.
14週 各種溶接法2(ろう付け,レーザ,拡散,爆発) ろう付けの原理,特徴(長短所),用途を説明できること.レーザ溶接の種類(炭酸ガス,YAG,半導体等)の原理,特徴(長短所),用途を説明できること.
15週 期末試験
16週 テスト返却と解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野工作鋳物の作り方、鋳型の要件、構造および種類を説明できる。4前1,前2,前3
精密鋳造法、ダイカスト法およびその他の鋳造法における鋳物の作り方を説明できる。4前4,前5
鋳物の欠陥について説明できる。4前6
溶接法を分類できる。4前1,前13,前14
ガス溶接の接合方法とその特徴、ガスとガス溶接装置、ガス溶接棒とフラックスを説明できる。4前12
アーク溶接の接合方法とその特徴、アーク溶接の種類、アーク溶接棒を説明できる。4前8,前9
サブマージアーク溶接、イナートガスアーク溶接、炭酸ガスアーク溶接で用いられる装置と溶接のしくみを説明できる。4前10,前11

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合75000250100
基礎的能力0000000
専門的能力75000250100
分野横断的能力0000000