概要:
ディジタル技術が優れていることは古くから知られていましたが、その当時、真空管などの素子を大量に必要とするディジタル回路は、ごく限られた電子機器でしか実現されていませんでした。ところが、近年、半導体素子技術の発達で集積回路の性能が著しく向上し、それまでのアナログ技術の領域をディジタル技術で実現できるようになったり、新しくディジタル技術の分野が開発されてディジタル技術の時代になりました。
論理回路はコンピュータなどのディジタルシステムの設計に必要な基礎理論です。論理回路では、入力信号と出力信号の関係を2値の論理変数および論理式で表します。論理回路には、大きく分けて組み合わせ回路と順序回路があります。
授業の進め方・方法:
て演習問題をさせる。
内容は、次の項目を設定する。
はじめに、数と符号の表現法、基本論理演算およびその回路記号を学習します。組み合わせ回路は、入力が決まると出力が一義的に決まる回路です。その入出力関係は真理値表で表現されます。実現しようとする 論理回路の真理値表から論理関数を導く方法を学習し、論理関数の簡単化法などを学習した後、デコーダなどのいくつかの基本的な組み合わせ回路の設計法を学習します。順序回路は、入力とそのときの回路の状態によって出力が決まる回路です。その動作は状態遷移図や状態 遷移表で表されます。その動作を実現するためには基本論理演算素子に加えてフリップフロップ(FF)と呼ばれる記憶素子が必要です。フリップフロップの基本的動作を学習した後、状態遷移表から回路動作を表現するいくつかの方程式の導き方を学習し、基本的な順序回路であるカウンタなどの設計法を学びます。
SDGs 17:9.「産業と技術革新の基盤をつくろう」
注意点:
この授業は、コンピュータのしくみについて学習する「計算機工学」の基礎となります。また、「電子回 路」「ディジタルデータ処理」や「情報理論」などの科目との関連が深いといえます。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
論理回路の紹介 |
論理回路はどのようなものか説明できる。
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2週 |
2進数と10進数: *数の体系:2進数、8進数、16進数 *2進数、8進数と16進数の相互変換 *2進数と10進数の相互変換
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2進数の体系を説明できる。 2進数と10進数の相互変換を行うことができる。
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3週 |
2進数と10進数: *補数 *負の数の表現 *固定小数点
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値の1の補数と2補数を求めることができる。 2の補数を用いて、負の数の表現を説明できる。 固定小数を用いて実数の表現を説明できる。
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4週 |
2進数と10進数: *符号拡張 *2の補数表現された 2進数の加減算
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符号拡張を用いて、2進数のビット幅を変更できる。 2の補数表現された2進数の加算及び減算を行うことができる。
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5週 |
2進数と10進数: *2の補数表現された 2進数の乗算
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2の補数表現された2進数の乗算を行うことができる。
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6週 |
論理関数とその簡単化: *論理関数と基本演算 *論理関数の等価性 *論理関数の双対性と 代表的な公式
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論理関数はどのようなことか説明できる。 真理値表を求めて、二つの論理関数の等価性を証明できる。 論理関数の相対性を用いて、論理式の関係の相対を求めることができる。
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7週 |
論理関数とその簡単化: *ベン図による公理の証明 *代表的な公式
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論理関数の式からベン図を描くことができ、ベン図から論理関数の式を求めることができる。 論理体系を定義する公式及び代表的な公式を覚える。
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8週 |
【前期中間試験】 |
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2ndQ |
9週 |
論理関数とその簡単化: *標準形 *真理値表からの標準形の導出
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論理関数の式から加法標準形及び乗法標準形を求めることができる。 論理関数の真理値表から加法標準形及び乗法標準形を求めることができる。
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10週 |
論理関数とその簡単化: *論理式の簡単化 *カルノー図
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論理式の簡単化はどのことか説明できる。 論理関数のカルノー図を描くことができる。
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11週 |
論理関数とその簡単化: *カルノー図による 論理関数の簡単化 の手順(1)
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カルノー図を用いて論理関数の簡単化の手順を適用できる。
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12週 |
論理関数とその簡単化: *カルノー図による 論理関数の簡単化 の手順(2) *グレイコード
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カルノー図を用いて必須のみを含む論理関数の簡単化をできる。 グレイコードの性質を説明できる。
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13週 |
論理関数とその簡単化: *カルノー図法の 適用例
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カルノー図を用いて論理関数の簡単化をできる。
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14週 |
論理関数とその簡単化: *その他の論理関数
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代表的な論理関数の記号と真理値を覚える。
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15週 |
【前期末試験】 |
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16週 |
テスト返却と解説 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
論理関数とその簡単化: *不完全定義論理 関数
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カルノー図を用不完全定義論理関数の簡単化をできる。
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2週 |
組み合わせ回路: *組み合わせ回路とは *基本的な論理素子 (1)
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組み合わせ回路はどのものか説明できる。 AND、OR、NOTゲートの記号と対応論理関数を覚える。
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3週 |
組み合わせ回路: *基本的な論理素子 (2) *論理関数から 組み合わせ回路の図 の作成
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NAND、NOR、ExOR、ExNORゲートの記号と対応論理関数を覚える。 論理関数から組み合わせ回路の図を描くことができる。
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4週 |
組み合わせ回路: *マルチプレクサ *一致比較器
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マルチプレクサの仕込みと動作を説明できる。 一致比較器の仕込みと動作を説明できる。
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5週 |
組み合わせ回路: *加算回路
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半加算金と全加算器の真理値表を覚え、仕込みを説明できる。 リップルキャリー加算回路の仕込みと動作を説明できる。
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6週 |
組み合わせ回路: *減算回路 *加減算回路
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加算回路から、減算回路と加減算回路の仕込みと動作を説明できる。
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7週 |
組み合わせ回路: *プログラム可能 な回路
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プログラム可能な回路の仕込みと動作を説明できる。
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8週 |
【後期中間試験】 |
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4thQ |
9週 |
順序回路: *組み合わせ回路と順 序回路
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順序回路はどのものか説明できる。 順序回路の構成を説明できる。
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10週 |
順序回路: *記憶回路を構成する 素子 *フリップフロップの動 作を表すタイム チャート
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基本のフリップフロップの動作を説明できる。論理関数のタイムチャートを描くことができる。
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11週 |
順序回路: *各種フリップフロップ の動作の比較
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入力信号を示すフリップフロップのタイムチャートを完成できる。
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12週 |
順序回路: *同期式順序回路と状 態遷移図
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状態遷移図から順序回路を設計できる(回路図まで)。
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13週 |
順序回路: *代表的な順序回路のゼロからの設計の例
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状態遷移図から順序回路を設計でき、対応タイムチャートを描くことができる。
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14週 |
順序回路: *カウンタ *レジスタとシフト レジスタ
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カウンタの動作を説明できる。 レジスタの仕込みと動作を説明できる。 シフトレジスタの動作を説明できる。
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15週 |
【後期末試験】 |
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16週 |
テスト返却と解説 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 情報系分野 | 計算機工学 | 整数を2進数、10進数、16進数で表現できる。 | 4 | 前2 |
小数を2進数、10進数、16進数で表現できる。 | 4 | 前3 |
整数・小数をコンピュータのメモリ上でディジタル表現する方法を説明できる。 | 4 | 前2,前4,前5 |
基数が異なる数の間で相互に変換できる。 | 4 | 前2 |
基本的な論理演算を行うことができる。 | 4 | 前6,前14 |
基本的な論理演算を組合わせて、論理関数を論理式として表現できる。 | 4 | 前6,前7,前14 |
論理式の簡単化の概念を説明できる。 | 4 | 前9,前10,前12,前13,後1 |
簡単化の手法を用いて、与えられた論理関数を簡単化することができる。 | 4 | 前10,前11,前12,前13,後1 |
論理ゲートを用いて論理式を組合せ論理回路として表現することができる。 | 4 | 後2 |
与えられた組合せ論理回路の機能を説明することができる。 | 4 | 前1,後2,後3,後4,後5,後6,後7 |
組合せ論理回路を設計することができる。 | 4 | 後3 |
フリップフロップなどの順序回路の基本素子について、その動作と特性を説明することができる。 | 4 | 後9,後10,後11 |
レジスタやカウンタなどの基本的な順序回路の動作について説明できる。 | 4 | 後14 |
与えられた順序回路の機能を説明することができる。 | 4 | 後12,後13 |
順序回路を設計することができる。 | 4 | 後12,後13 |
分野別の工学実験・実習能力 | 情報系分野【実験・実習能力】 | 情報系【実験・実習】 | 基礎的な論理回路を構築し、指定された基本的な動作を実現できる。 | 4 | 後13 |
与えられた仕様に合致した組合せ論理回路や順序回路を設計できる。 | 4 | 後13 |