概要:
本科目では,主として,静力学の基礎知識および静定構造物の応力について理解し,計算できることを目的としている.具体的には以下のことを行う.
1. 静力学の基礎知識として,力とその単位,力の表示,複数の力の合成および分解,力のつり合い条件式,外力と反力,応力について理解し,計算する.
2. 静定構造物の応力として,構造物の種類,構造物の静定および不静定,トラス構造の解法,静定梁の応力算定,静定構造物の応力算定について理解し,計算する.
3. 構造物の崩壊につながる基本的な問題である構造物の安定・不安定,および,安定構造物の静定・不静定を,構造物の解法理論にもとづいて判定する.
4. 曲げモーメントによる変形を求めるためのたわみ曲線の微分方程式,および,モールの定理を理解し,それらにより,梁のたわみやたわみ角を計算する.
なお、この科目は企業(設計コンサルタント)で構造物の実務設計を担当していた教員が、その経験を活かし、構造物に作用する荷重、荷重による構造物の応力・変位および構造物の支点反力の計算手法等について講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
講義を中心とするが,前回学んだ内容の復習をかねて,講義開始直後に小テストを実施する.小テストは後日返却するので,不合格の小テストは解きなおして提出すること.この提出物はレポートとして評価する.また,必要に応じて宿題を出すこともあり,その結果もレポートとして評価する.
注意点:
三角関数などの数学的知識を必要とする。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス |
構造力学を学ぶ意義や構造力学 I と構造力学 II との違いなどについて理解できる.力の定義および力のモーメントについて理解できる.図解法による力の合成について理解できる.
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2週 |
力1
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図解法により力の合成や分解ができる.
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3週 |
力2
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算式法により力の合成や分解ができる.
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4週 |
力3
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構造物の支点と節点の種類,構造物の種類,荷重の種類および力のつりあい条件式について理解できる.
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5週 |
力4
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梁の反力計算ができる.
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6週 |
力5
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梁の反力計算ができる.
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7週 |
静的構造物の反力1
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ラーメンの反力計算が理解できる.
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8週 |
中間テスト |
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2ndQ |
9週 |
静的構造物の応力2 |
静定梁および静定ラーメンにおける応力の種類,応力の符号および各応力間の関係について理解できる.力のつりあい条件式を利用した静定構造物の応力計算の概説を理解できる.
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10週 |
静的構造物の応力3
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単純梁の応力計算ができる.
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11週 |
静的構造物の応力4
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片持ち梁の応力計算ができる.
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12週 |
静的構造物の応力5
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単純梁型ラーメンの応力計算ができる.
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13週 |
静的構造物の応力6
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片持ち梁型ラーメンの応力計算ができる.
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14週 |
静的構造物の応力7 |
各種構造物の応力計算ができる.
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15週 |
期末試験 |
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16週 |
テスト返却および解説 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
曲げモーメントによる応力度1 |
曲げモーメントによる応力度の関係式を誘導できる(4.4.1).
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2週 |
曲げモーメントによる応力度2 |
曲げモーメントによる応力度を計算できる(4.4.1).
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3週 |
せん断応力度 |
せん断応力分布について説明でき,せん断応力度を計算できる(4.4.2).
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4週 |
静的構造物の応力8 |
トラス構造物における応力の種類,応力の符号および各応力間の関係について理解できる(3.5.1).
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5週 |
静的構造物の応力9 |
節点法によるトラス構造物の応力計算ができる(3.5.5).
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6週 |
静的構造物の応力10 |
切断法によるトラス構造物の応力計算ができる(3.5.6).
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7週 |
静的構造物の応力11 |
クレモナの図解法によるトラス構造物の応力算定ができる(3.5.4).
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8週 |
中間テスト |
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4thQ |
9週 |
たわみ曲線の微分方程式 |
曲げモーメントによる変形を求めるためのたわみ曲線の微分方程式の誘導を理解できる(5.1).
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10週 |
たわみ曲線の微分方程式によるたわみ計算1 |
たわみ曲線の微分方程式をつかってたわみを計算できる(5.1).
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11週 |
たわみ曲線の微分方程式によるたわみ計算2
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たわみ曲線の微分方程式をつかってたわみを計算できる(5.1).
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12週 |
モールの定理1
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モールの定理による解法を理解できる(5.2).
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13週 |
モールの定理2 |
モールの定理を用いてたわみを計算できる(5.2).
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14週 |
構造物の安定・不安定・静定・不静定 |
構造物の安定と不安定および静定と不静定について理解し,これらを判別できる(2.2).
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15週 |
期末試験 |
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16週 |
テスト返却および解説 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 建築系分野 | 構造 | 力の定義、単位、成分について説明できる。 | 4 | 前1,前2 |
力のモーメントなどを用い、力のつり合い(合成と分解)に関する計算ができる。 | 4 | 前3,前4,前6 |
曲げモーメントによる断面に生じる応力(引張、圧縮)とひずみの関係を理解し、それらを計算できる。 | 4 | 後7 |
はり断面内のせん断応力分布について説明できる。 | 4 | 前9 |
骨組構造物の安定・不安定の判定ができる。 | 4 | 後14 |
トラスの種類を説明でき、トラスの部材力の意味について説明できる。 | 4 | 後4,後5,後6 |
節点法や切断法を用いて、トラスの部材応力を計算できる。 | 4 | 後5,後6 |
はりの支点の種類、対応する支点反力、およびはりの種類やその安定性について説明できる。 | 4 | 前5,前6,前7,前8 |
はりの断面に作用する内力としての応力(軸力、せん断力、曲げモーメント)、応力図(軸力図、せん断力図、曲げモーメント図)について説明することができる。 | 4 | 前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3 |
はり(単純ばり、片持ちはり)の応力を計算し、応力図を描くことができる。 | 4 | 前9,前10,前11,前14,後1,後3 |
応力と荷重の関係、応力と変形の関係を用いてはりのたわみの微分方程式を用い、幾何学的境界条件と力学的境界条件について説明でき、たわみやたわみ角を計算できる。 | 4 | 後1,後2,後9,後10,後11,後12,後13 |
ラーメンやその種類について説明できる。 | 4 | 前7,前9,前12,前13,後5 |
ラーメンの支点反力、応力(軸力、せん断力、曲げモーメント)を計算し、その応力図(軸力図、せん断力図、曲げモーメント図)をかくことができる。 | 4 | 前7,前8,前9,前12,前13,前14,後5,後6,後7 |
構造物の安定性、静定・不静定の物理的意味と判別式の誘導ができ、不静定次数を計算できる。 | 4 | 後14 |