概要:
本科目では、以下に示す構造系,生産系,環境系の実験 4 種類を,各実験に 3週間かけて実施する.
( 1 )RC梁実験:4年次に作製した RC 梁を使って曲げせん断実験を行うことにより,RC 部材の基本的な力学的性状を理解する.
( 2 )鋼構造骨組実験:筋かいつきラーメンに水平力を加えることにより, 筋かいの形状やその配置の違いによる復元力特性の差異を理解する.
( 3 )建築測量:測量に用いる機器・器具を使用して測定作業を行い, 測定結果を計算して,その精度を調べることで,建築工事を行う上で必要な測量の基礎知識を得る.
( 4 )温熱環境と照度分布の測定:教室の温熱環境と照度分布の測定を行い,測定結果を考察することで温熱環境や照度分布について理解する.
*SDGsの目標9と11に関連
授業の進め方・方法:
4 班に分かれ,上記のテーマをローテーションしながら,班ごとに 3 週で 1 つのテーマに取り組む.なお,班内でもグループに分かれてそれぞれの実験を行うことがある.限られた時間の中で,実験をより身のあるものにするためには,各実験のテーマの予習を行うことが必要である.それぞれのテーマでレポートを提出するので,計画的にレポートを作成する.また,一部の実験では,後日計測等を行うこともあるので,それについては適宜指示をする.
最終週には実験の発表を行う.
注意点:
実験実習は,実験をすることにより物理現象等を自分の目で確かめ,授業で学んだ種々の理論を確認することが主要な目的である.本科目では構造系,生産系,環境系の実験を4 種類行うが,これらの項目は構造力学・材料力学・RC構造・鋼構造・建築生産・建築環境工学の授業科目と対応しているので,予習および復習しておくことが大切である.
※1 レポートは,「密度(量)」,「説明や図表,比較・考察の適切さ・分かりやすさ・工夫」で評価する.
※2 発表は,「発表資料および発表の適切さ・分かりやすさ・工夫」,「質問回答の適切さ」で評価する.
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
実験ガイダンス,安全教育 |
各実験の概要を知るとともに,実験における安全事項および注意事項を理解できる.
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2週 |
テーマ 1:RC梁実験(第 1 週) |
ひずみゲージの貼付,コンクリート圧縮強度試験,RC 梁の強度予測の計算など,載荷実験にむけての準備ができる
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3週 |
テーマ 1:RC梁実験(第 2 週) |
載荷実験により,ひび割れの発生・進展を観察できる.さらに,予測値との対応を確認できる.
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4週 |
テーマ 1:RC梁実験(第 3 週) |
本実験の結果を考察し,レポートにまとめることができる.
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5週 |
テーマ 2:鋼構造実験(第 1 週) |
実験内容の説明および試験体の耐力計算をすることができる.
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6週 |
テーマ 2:鋼構造実験(第 2 週) |
静的繰返し載荷実験を行うことができる.
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7週 |
テーマ 2:鋼構造実験(第 3 週) |
実験結果を比較・検討することができる.
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8週 |
テーマ 3:建築測量(第 1 週) |
水準測量に必要な機器・器具の取り扱いおよび測定方法を理解して,土地の高低差を測定することができる.
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2ndQ |
9週 |
テーマ 3:建築測量(第 2 週) |
距離測量および角測量に必要な機器・器具の取り扱いおよび測定方法を理解して,距離および角度を測定することができる.
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10週 |
テーマ 3:建築測量(第 3 週) |
得られた測定結果を整理して,比較検討することができる.
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11週 |
テーマ 4:光環境実験(第 1 週) |
教室の照度分布を測定することができる.
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12週 |
テーマ 4:温熱環境実験(第 2 週) |
教室の温熱環境を測定することができる.
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13週 |
テーマ 4:光環境及び温熱環境実験(第 3 週) |
得られた教室の光環境と温熱環境の測定結果について考察し,レポートにまとめることができる.
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14週 |
発表準備 |
発表のための準備を行うことができる.
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15週 |
発表会 |
発表を行うことができる.
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の工学実験・実習能力 | 建築系分野【実験・実習能力】 | 建築系【実験実習】 | 実験の目的と方法を説明できる。 | 4 | 前1,前2,前4,前5,前7,前15 |
構造材料(例えば木、コンクリート、金属など)によるいずれかの構造形式(ラーメン、トラスなど)の試験体を用い、載荷実験を行い、破壊形状と変形の性状を観察することができる。 | 4 | 前3,前6 |
実験結果を整理し、考察できる。 | 4 | 前4,前7,前15 |
実験の目的と方法を説明できる。 | 4 | 前1,前11,前12,前13,前15 |
建築を取巻く環境(例えば音、光、温度、湿度、振動など)を実験により把握できる。 | 4 | 前11,前12 |
実験結果を整理し、考察できる。 | 4 | 前13,前15 |
建築生産で利用されている測量(例えば、レベル、トランシット、トータルステーション、GPS測量など)について機器の取り扱いができる。 | 4 | 前8,前9 |
測量の結果を整理できる。 | 4 | 前10,前15 |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 他者の意見を聞き合意形成することができる。 | 3 | 前14 |
合意形成のために会話を成立させることができる。 | 3 | 前14 |
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。 | 3 | 前14 |
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。 | 3 | 前4,前7,前10,前11,前12,前13 |
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。 | 3 | 前14,前15 |
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。 | 3 | 前14,前15 |
事実をもとに論理や考察を展開できる。 | 3 | 前4,前7,前10,前13 |
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。 | 3 | 前4,前7,前10,前13 |
態度・志向性(人間力) | 態度・志向性 | 態度・志向性 | チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。 | 3 | 前2,前5,前8,前11,前12 |
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。 | 3 | 前2,前5,前8,前11,前12 |
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。 | 3 | 前2,前5,前8,前11,前12 |
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。 | 3 | 前2,前5,前8,前11,前12 |
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。 | 3 | 前14 |
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。 | 3 | 前14 |
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている | 3 | 前14 |