解析学Ⅰ

科目基礎情報

学校 有明工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 解析学Ⅰ
科目番号 2Z002 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 創造工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 前期:2 後期:2
教科書/教材 有明高専の数学 第2巻;有明高専数学科編、プリント等
担当教員 髙本 雅裕,田端 亮,西山 治利,村岡 良紀,田中 彰則

到達目標

1.指数関数,対数関数等の関数に関する基本的事項を理解し,それらの計算ができること.
2.数列,数列の極限の概念を理解し,それらの計算ができること.
3.微分・積分の概念を理解し,それらの計算ができること.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1指数関数・対数関数・2次曲線を表す方程式に関する知識を習得し,関連する発展的な問題までも解くことができる.指数関数・対数関数・2 次曲線を表す方程式に関する知識を習得し,関連する基本的な問題を解くことができる.指数関数・対数関数・2 次曲線を表す方程式に関する知識を習得しておらず,関連する基本的な問題を解くことができない.
評価項目2数列・数列の和・それらの極限に関する知識を習得し,関連する発展的な問題までも解くことができる.数列・数列の和・それらの極限に関する知識を習得し,関連する基本的な問題を解くことができること.数列・数列の和・それらの極限に関する知識を習得しておらず,関連する基本的な問題を解くことができない.
評価項目3関数の極限・微分・積分に関する知識を習得し,関連する発展的な問題までも解くとができる.関数の極限・微分・積分に関する知識を習得し,関連する基本的な問題を解くことができる.関数の極限・微分・積分に関する知識を習得しておらず,関連する基本的な問題を解くことができない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 この科目では,1 年次の基礎解析学の続きで指数関数・対数関数という新しい関数について学んだ後,数列,数列の極限・微分・積分という新しい数学的手法(計算方法)を学びます。
工学を学ぶために,数学は必要不可欠です。なぜなら,工学の主たる部分は,数学的な記法(数式など)を用いて記述されたり,数学的手法(微分積分法や線形代数的手法など)を用いて展開されているからです。また,工学の問題を解決するときの論理的思考形態(筋道を立ててものごとを考えていくことなど)は,数学の問題を解くときのそれに類似しているからです。つまり,工学を学ぶためには,さまざまな数学の記法や手法(新しい数式や新しい計算方法など)を理解し,確実に使いこなせる必要があります。また,問題を解決するための論理的思考を,常に,行う習慣を身に付ける必要があります。
そこで,この科目は,次の1)および2)に重点を置いて,授業を行います。
1) 新しい関数をマスターすること。また,数列,数列の極限,微分・積分などの新しい数学的手法(計算方法)の概念を理解し,それらの計算法を確実に習得すること。
2) 常に,筋道を立てた考え方を行う習慣を付けること。
1)については,とくに,数列とその極限・微分・積分という新しい数学的手法は,数学のみならず,速度や電気など物理学や専門科目の多くの内容と直結しています。そこで,これらが非常に重要な概念であることを十分に認識し,理解し,そして,それらの計算方法を確実に習得・定着させなければなりません。
2)については,たとえば,例題の解法を理解し,その解法を類似の問題へアレンジして適用できるようになることは勿論のこと,新しい数式が専門科目に使われるときにすぐに応用できるようになること,さらに,数学や専門科目などの学問だけに限らず,日常のさまざまな場面でも,新しい数式などが利用できないかと考え続けることも含まれます。
授業の進め方・方法:
講義形式,グループワーク等による授業および問題演習
内容の理解と定着をはかるため,教科書本文中の演習問題あるいは教科書巻末の問題集の演習問題のいくつかを適宜レポートとして解答・提出してもらいます。
注意点:
中学校と異なり,授業の進度がかなり早くなるので,内容の理解度を上げるためには,予習を心がけるようにしてください。
下記の「評価割合:成績」は,7回の定期試験(3回の課題試験を含む)を用いて評価します。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 課題試験返却と解説・授業の概要説明
n 乗根
n 乗根の定義を理解し、計算ができること.
2週 指数の拡張 ・指数法則について理解し、計算ができること.
・指数関数のグラフが描けること.その最大値,最小値が求められること.
3週 指数方程式,指数不等式,指数関数のグラフ ・指数に関する方程式や不等式が解けること.
・指数関数のグラフが描けること.その最大値,最小値が求められること.
4週 対数関数の定義,対数方程式・不等式, 対数関数の定義を理解し、対数に関する方程式や不等式が解けること.
5週 常用対数,対数関数のグラフ ・実用的な常用対数の性質を理解すること.
・対数関数のグラフが描けること.その最大値,最小値が求められること.
6週 数列の基本事項,等差数列 ・数列の概念とその基本的な事項を理解すること.
・等差数列の概念とその基本的な事項を理解し,関連の問題が解けること.
7週 等差数列の応用
等差数列に,関連する応用問題が解けること
8週 中間試験
2ndQ
9週 中間試験返却
等比数列
 ・等比数列の概念とその基本的な事項を理解し,関連の問題が解けること.
10週 漸化式・一般項の類推
シグマ記号
・漸化式の概念を理解し,漸化式から一般項を求める計算ができること.
・一般的な数が並んだ数列について,一般項を類推できること.
・多くの数の足し算を表すシグマ記号の表記の意味を理解すること.
11週 シグマ記号 ・多くの数の足し算を表すシグマ記号の表記の意味を理解すること.
12週 数列の極限,等比数列の極限 ・数列の極限の定義について理解すること.
・公比によって等比数列の極限が異なることを理解し,それを用いた極限の計算ができること.
13週 級数,無限等比級数 ・無限個の和の定義と概念を理解し,その計算ができること.
・無限等比級数に関する様々な問題が解けること.
14週 関数の極限,無限大が関係する極限
・極限の概念を理解すること.
・無限大が関係する極限が計算できること.
15週 期末試験
16週 テスト返却と解説
右・左からの極限,様々な関数の極限
様々な形の関数の極限が計算できること.
後期
3rdQ
1週 課題試験返却と解説
様々な関数の極限
様々な形の関数の極限が計算できること.
2週 重要な極限 自然対数の底 e を定義する極限の式などについて理解すること.
3週 微分の定義と概念,整式の微分 ・微分の定義と物理学的な概念などを理解すること.
・整式の微分の計算ができること.
4週 合成関数の微分 微分の一般的な公式を理解し,それを用いた計算ができること.
5週 積の微分・商の微分 微分の一般的な公式を理解し,それを用いた計算ができること.
6週 分数関数・三角関数・指数関数の微分
様々な関数の微分が計算できること.
7週 積分の概念,不定積分の定義,基本的な関数の不定積分 ・積分の概念を理解すること.
・基本的な不定積分の計算ができること.
8週 中間試験
4thQ
9週 基本的な関数の不定積分,置換積分 ・基本的な不定積分の計算ができること.
・置換積分(置き換えて行う積分)を用いた積分の計算ができること.
10週 置換積分
・置換積分(置き換えて行う積分)を用いた積分の計算ができること.
11週 部分積分 部分積分を用いた積分の計算ができること.
12週 簡単な定積分,定積分の定義 ・基本的な定積分の計算ができること.
・定積分の概念と意味を理解すること.
13週 定積分の置換積分 置換積分を用いた定積分の計算ができること.
14週 定積分の部分積分 部分積分を用いた定積分の計算ができること.
15週 期末試験
16週 テスト返却と解説
だ円,双曲線,放物線,2次曲線
陰関数,媒介変数,分割された定義域を持つ関数
・楕円,双曲線,放物線の標準形について理解し,そのグラフを描けること.
・2次曲線が楕円,双曲線,放物線であることを理解し,その判別ができること.
・陰関数,媒介変数表示関数の概念を理解すること.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。2後6
分数式の加減乗除の計算ができる。2後2,後3,後6,後9
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。2後16
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。2後2,後3
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。2前1,前2
指数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。2前3
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。2前3
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。2前4
対数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。2前5
対数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。2前4
角を弧度法で表現することができる。2後13,後14
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。2後10,後13,後14
簡単な場合について、円の方程式を求めることができる。2
放物線、楕円、双曲線の図形的な性質の違いを区別できる。3後16
等差数列・等比数列の一般項やその和を求めることができる。2前6,前7,前9
総和記号を用いた簡単な数列の和を求めることができる。2前10,前11
不定形を含むいろいろな数列の極限を求めることができる。2前12
無限等比級数等の簡単な級数の収束・発散を調べ、その和を求めることができる。2前13
簡単な場合について、関数の極限を求めることができる。1前14,前16,後1,後2
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。1後3
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。1後5
合成関数の導関数を求めることができる。1後4
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。1後6
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。1後7,後9
置換積分および部分積分を用いて、不定積分や定積分を求めることができる。1後9,後10,後11,後13,後14
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。1後12
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。1後9,後10,後11,後12,後13,後14

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70000300100
基礎的能力70000300100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000