到達目標
1.行列式の概念を理解し,その値を計算できる.
2.行列の固有値,固有ベクトルの概念を理解し,求めることができる.
3.種々の行列を対角化することができる.
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 行列式と逆行列,連立方程式の解との関係を述べることができる. | 行列式の性質を利用し,その値を求めることができる. | 行列式を求めることができない. |
評価項目2 | 行列の固有値,固有ベクトルの性質を理解し,1 次変換との関係を述べることができる. | 行列の固有値,固有ベクトルを求めることができる. | 行列の固有値,固有ベクトルを求めることができない. |
評価項目3 | 対角化された行列の性質を利用し, 応用することができる. | 行列を対角化することができる. | 行列を対角化することができない. |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
工学を学ぶために,数学は必要不可欠です.工学の主たる部分は,数学的な記法(数式など)や数学的手法(微分積分法や線形代数的手法など)を用いて展開されているからです.また,工学の問題を解決するための論理的思考形態(筋道を立ててものごとを考えていくことなど)は数学の問題を解くときのそれに類似しているからです.つまり,工学を学ぶためには,さまざまな数学の記法や手法(新しい数式や新しい計算手法など)を理解し,確実に使いこなせる必要があります.また,問題を解決するための論理的思考を常に行う習慣を身に付ける必要があります.
この科目では,2年次に学んだ行列に対して行列式を導入し,これを用いて逆行列, 行列の対角化の基礎知識,およびその応用を学びます.次の1),2),3)に重点を置いて,授業を行います.
1) 正方行列に対して定義される行列式の性質を理解し,それらの基本的な計算法を習得すること.
2) 1 次変換として行列を考え, その性質を調べること.
3) 常に筋道を立てた考え方を行う習慣を身に付けること.
1) については,2学年で習得した正方行列に対し行列式を導入し,その定義および基本的な計算法の習得と確実な定着を図ることが目標です.行列式が, 平行四辺形の面積や平行六面体の体積に対応しているという幾何学的性質も学びます.
2) については,1 次変換としての行列の意味を学び,基本的な積や逆行列等がどのような意味に対応するか,を学びます.さらに,行列の固有値および固有ベクトルを利用した対角化の仕方を習得します.
3) については,たとえば,例題の解法を理解し,その解法を類似の問題へアレンジして適用できるようになることは勿論のこと,新しい数式が専門科目に使われるときにすぐに応用できるようになること,さらに,数学や専門科目などの学問だけに限らず,日常のさまざまな場面でも,新しい数式などが利用できないかと考え続けることも含まれます.
授業の進め方・方法:
講義形式,グループワーク等による授業および問題演習によって授業を進めます.内容の理解と定着をはかるため,教科書本文中の演習問題あるいは教科書巻末の問題集の演習問題のいくつかを適宜レポートとして解答・提出してもらいます.
注意点:
2年生までに学習した数学の知識を利用しますので,これらの復習と予習を心掛けるようにしてください.
成績には2回の定期試験を入れます.
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
授業の概要説明 |
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2週 |
行列の掃き出し法 |
掃き出し法を用いて,連立一次方程式の解を求めることができる.
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3週 |
行列の階数 |
掃き出し法を用いて,行列の階数を求めることができる.
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4週 |
行列式の定義と計算方法 |
行列式の性質を理解し,その値を計算できる.
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5週 |
行列式の幾何学的意味 |
行列式の値と,平行四辺形の面積や平行六面体の体積との関係を理解し,求めることができる.
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6週 |
行列の余因子 |
余因子の性質を用いて,逆行列を求めることができる.
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7週 |
クラメルの公式 |
クラメルの公式によって連立方程式の解を求めることができる.
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8週 |
中間試験 |
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2ndQ |
9週 |
1次変換の定義 |
1次変換の概念を理解し,平面および空間の1次変換の行列表現を求めることができる.
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10週 |
合成変換・逆変換,回転移動 |
合成変換・逆変換・回転など基本的な1次変換の行列表現を求めることができる.
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11週 |
固有値 |
固有値求めることができる.
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12週 |
固有ベクトル |
固有ベクトルを求めることができる.
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13週 |
行列の対角化 |
行列を対角化することができる.
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14週 |
行列の応用 |
行列の累乗の計算ができる.
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15週 |
期末試験 |
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16週 |
テスト返却と解説 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 数学 | 数学 | 数学 | 行列の定義を理解し、行列の和・差・スカラーとの積、行列の積を求めることができる。 | 3 | 前9,前10 |
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。 | 3 | 前7,前10 |
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。 | 3 | 前4,前5 |
線形変換の定義を理解し、線形変換を表す行列を求めることができる。 | 3 | 前9,前10 |
合成変換や逆変換を表す行列を求めることができる。 | 3 | 前10 |
平面内の回転に対応する線形変換を表す行列を求めることができる。 | 3 | 前10 |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 0 | 0 | 0 | 30 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 70 | 0 | 0 | 0 | 30 | 0 | 100 |
専門的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |