物理学特講

科目基礎情報

学校 有明工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 物理学特講
科目番号 5Z011 科目区分 一般 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 創造工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 前期:1
教科書/教材 授業中に配布する演習プリント/小出昭一郎(著)『物理学(三訂版)』裳華房(1997)
担当教員 竹内 伯夫

到達目標

1.物体の運動と微分・積分との関係について理解し、微分方程式などの数学的手法を用いて式の変形および展開ができる。
2.大学教養レベルの力学・波動・熱力学・電磁気学等の基礎について説明できる。
3.身の回りの現象について科学的に説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1力と運動との関係について理解し、微分方程式の形で運動方程式を表すことができる。初期条件が与えられた微分方程式の問題として、応用問題を解くことができる。位置や速度・加速度と微分・積分との関係について理解し、物体に簡単な力が作用している場合について、微分方程式の形で運動方程式を表すことができる。初期条件が与えられた微分方程式の問題として、基本的な問題を解くことができる。位置や速度・加速度と微分・積分との関係について理解できない。微分方程式の形で運動方程式を表すことができない。初期条件が与えられた微分方程式の問題として、基本的な問題を解くことができない。
評価項目2微分・積分を用いて、大学教養レベルの力学・波動・熱力学・電磁気学等の基礎について、論理的に説明でき、これらの応用問題を解くことができる。微分・積分を用いて、大学教養レベルの力学・波動・熱力学・電磁気学等の基礎について、論理的に説明でき、これらの基本問題を解くことができる。微分・積分を用いて、大学教養レベルの力学・波動・熱力学・電磁気学等の基礎について、論理的に説明できず、これらの基本問題を解くこともできない。
評価項目3身の回りの現象について、参考文献をもとに自分の考察を加えて科学的に理解・説明できる。身の回りの現象について、参考文献をもとに科学的に理解・説明できる。身の回りの現象について、参考文献をもとに科学的に理解・説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-1 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 C-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
物理学は、現代の科学・技術の基礎をなす学問の一つである。物理学の中で最も基礎的なそして身近な現象に結びついた分野は力学である。この力学はニュートンにより体系的に確立され、これを基として多くの物理現象が解明されてきた。物理現象を抽象化して、その中に存在する事柄から物理法則を見いだし、これらの法則から未解明現象を解明するというプロセスを通して物理学は発展してきた。本科目では、微分・積分・微分方程式などの数学的な取り扱いに慣れながら、大学教養レベルの力学・波動・熱力学・電磁気学等の基礎について学ぶ。また、探求活動として身の回りの物理現象についてチームごとに調べ、お互いに発表する。なお本科目はSDGsの目標「4.質の高い教育」と「17.パートナーシップ」に対応している。
授業の進め方・方法:
講義中心に授業を進め、授業中に配布するプリントを用いて演習を行う。本科目は学修単位科目のため、また、事後学習として内容の理解と定着をはかるため、小テストを実施しながら、演習問題プリントはレポートとして解答・提出してもらう。また、本科目で学習したこと等を踏まえて、1~2名で身の回りの物理現象について調べて発表する。また、本科目は学修単位科目のため、事前・事後学習としてレポートを課す。
注意点:
評価方法:小テスト60%、レポート20%、発表20%の総合成績で評価する。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 物理数学 ベクトル、微分・積分、三角関数等を用いた基本的な計算ができる。また、極座標について理解できる。
2週 力学(1) 質点にはたらく力について、基本的な計算ができ、位置、速度、加速度ベクトル量の間で成り立つ微分・積分の関係について理解できる。
3週 力学(2) 運動の法則について理解できる。ベクトルと積分を使った仕事の表し方について理解できる。運動方程式を変形することによって、仕事と運動エネルギーの関係について理解できる。
4週 力学(3) 力学に関する問題を解くことができる。
5週 波動(1) 単振り子や浮体の振動運動について、一般解を求めることができる。
6週 波動(2) 復元力だけでなく速さに比例した抵抗力がはたらく場合の運動方程式の解について、解法を理解できる。
7週 波動(3) 減衰振動、臨界減衰(臨界制動)、過減衰、強制振動について理解し、これらの問題の解を導くことができる。
8週 熱力学(1) 熱力学の第1法則について理解し、問題を解くことができる。
2ndQ
9週 熱力学(2) 理想気体の断熱変化およびカルノーサイクルについて理解し、問題を解くことができる。
10週 電磁気学(1) いろいろな電荷が作る電場について理解し、問題を解くことができる。
11週 電磁気学(2) いろいろな電流のつくる磁場について理解し、問題を解くことができる。
12週 探求活動(1) 各チームで身の回りにどのような物理現象があるか考え、調べるテーマを1つに絞ることができる。
13週 探求活動(2) 各チームでテーマについて情報収集を行い、発表資料を作成する。
14週 探求活動(3) 各チームで調べたことを発表および質疑応答を行い、身の回りの物理現象に関する理解を深める。
15週 総括 今までの学習内容を改めて理解することができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3前1
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3前1
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3前2
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3前2
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3前2
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。3前2
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前3
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前3
物体に作用する力を図示することができる。3前3
力の合成と分解をすることができる。3前3
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3前3
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3前3
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。3前3
慣性の法則について説明できる。3前3
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3前3
運動方程式を用いた計算ができる。3前3
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3前3
運動の法則について説明できる。3前3
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。3前4
最大摩擦力に関する計算ができる。3前4
動摩擦力に関する計算ができる。3前4
仕事と仕事率に関する計算ができる。3前4
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3前4
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前4
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前4
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3前4
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3前4
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3前4
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3前4
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3前5,前6,前7
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。3前5,前6,前7
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3前5,前6,前7
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.3前4
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前4
力のモーメントを求めることができる。3前4
角運動量を求めることができる。3前4
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3前4
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3前4
重心に関する計算ができる。3前4
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3前4
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3前4
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3前8
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3前8
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3前8
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3前8
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3前9
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3前9
気体の内部エネルギーについて説明できる。3前9
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3前9
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3前9
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。3前9
熱機関の熱効率に関する計算ができる。3前9
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。3前5
横波と縦波の違いについて説明できる。3前5
波の重ね合わせの原理について説明できる。3前5
波の独立性について説明できる。3前5
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。3前6,前7
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。3前6,前7
電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。3前10
電場・電位について説明できる。3前10
クーロンの法則が説明できる。3前10
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。3前10
オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。3前11
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。3前11
ジュール熱や電力を求めることができる。3前11

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合02000800100
基礎的能力000020020
専門的能力000060060
分野横断的能力020000020