応用物理学

科目基礎情報

学校 有明工業高等専門学校 開講年度 2019
授業科目 応用物理学
科目番号 0032 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 創造工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 前期:2 後期:2
教科書/教材 教科書:『総合物理1-力と運動・熱-』『総合物理2-波・電気と磁気・原子-』 國友正和 ほか10名/数研出版 副教材:『改訂版 リードα 物理基礎・物理』 数研出版編集部 編/数研出版,『改訂版 フォトサイエンス物理図録』 数研出版編集部/数研出版
担当教員 酒井 健,鮫島 朋子,竹内 伯夫

到達目標

物理的な事物・事象についての観察を行い、物理的に探求する能力を身につけると共に、基本的な概念や原理・法則を理解できる。
1.物理学に関する実験を行い、内容を理解できる。
2.気体のエネルギーと状態変化に関する基礎的な計算をすることができる。
3.波動の性質について理解できる。
4.電場と電流について理解できる。
5.微分・積分を用いた物理学の基礎について理解できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1実験内容および実験方法、実験することの意味、測定データの整理法ついて説明でき、報告書をまとめて提出できる。実験内容および実験方法、実験することの意味、測定データの整理法ついて概略を説明でき、報告書をまとめて提出できる。実験内容および実験方法、実験することの意味、測定データの整理法ついて概略が説明できず、報告書をまとめて提出できない。
評価項目2熱力学の第1法則を用いて気体の状態変化についてのやや複雑な問題を解く事ができる。モル比熱を使った問題を解く事ができる。熱容量や比熱の概念、熱力学の第1法則を理解でき、気体の状態変化についての簡単な問題を解く事ができる。 気体の分子運動論を理解できる。熱機関の効率について計算できる。熱容量や比熱の概念が理解できない。熱力学の第1法則を理解できない。気体の分子運動論を理解できない。熱機関の効率について計算できない。
評価項目3波動の基本的な性質、音、光について、正しく作図および計算ができ、現象を理解できる。波動の基本的な性質、音、光について、作図および計算ができ、概要を理解できる。波動の基本的な性質、音、光について、理解できない。
評価項目4電場と電位、直流回路等について、論理的に説明できる。電場と電位、直流回路等について、概略を説明できる。電場と電位、直流回路等について、概略を説明できない。
評価項目5微分・積分を使った解法、角運動量、慣性モーメント等について、論理的に説明できる。微分・積分を使った解法、角運動量、慣性モーメント等について、概略を説明できる。微分・積分を使った解法、角運動量、慣性モーメント等について、概略を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 B-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 物理学は例えば力学、熱、波動などいくつかの分野に分けられるが、隔週で実施する物理学実験は、物理学の各分野において重要と思われるテーマを取り上げて、学生自身が実験することで体験的に物理的な理解を深めることを目的としている。原則として2人1組で実験を行い、各自で測定データを整理し定量的な結果を求め、得られた結果について検討・吟味して報告書としてまとめるものである。1~2学年で学んだ基礎物理学は物理の分野で学ぶべき基礎的内容の一部であり、工学の分野を学び理解するために必要な内容がまだかなり残されている。2週あたりで3コマのコマ数配分で行う講義形式の授業では、残っている基礎的な物理学の分野の中で、ぜひ理解し習得して欲しい内容について学習する。
 3学年の応用物理学全体を通して、論理的な思考や考え方、数式の展開などについても学年進行にふさわしい学力を身につけることができる。
授業の進め方・方法:
 通年で実験(12コマ:隔週で実施)と講義(48コマ)に分けて実施する。
 実験は、授業において配布する実験書に基づき、単振り子による重力加速度の測定、つるまきばねの振動、ヤング率の測定、気柱の共鳴、屈折率の測定、光の波長測定、ニュートンリングによる曲率半径の測定、固体の比熱測定、固体の線膨張率測定、等電位線の測定、抵抗の測定、電気抵抗の測定、放射線の測定等の中から毎回1テーマを2人1組で実施する。講義では、内容の理解と定着をはかるため、演習問題を授業の進度に合わせて適宜レポートとして解答・提出してもらう。また、必要に応じて小テスト等を行う。なお、後期中間試験までは高校の検定教科書を使用し、学年末試験までは授業中に配布するプリントを用いて進める。
 なお、成績は定期試験および課題試験類を50%、実験の報告書を30%、小テストおよび宿題レポートを20%として総合的に評価し、60%以上の得点率で目標達成とみなす。
注意点:

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ・授業の概要説明
【教科書 第2編】
(第1章 熱と物質)
・熱と熱量
1年間の取り組みについて理解する。
温度、熱量、熱容量と比熱、熱量の保存について説明できる。
2週 ・実験ガイダンス
・熱と物質の状態
・熱と仕事
測定機器の使用法について理解する。
物質の三態や熱膨張率、熱と仕事の関係、熱の仕事当量について説明できる。
3週 (第2章 気体のエネルギーと状態変化)
・気体の法則
気体の圧力、ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル・シャルルの法則、理想気体の状態方程式について説明できる。
4週 ・実験ガイダンス
・気体分子の運動
誤差と最小二乗法について理解する。
気体の分子運動と圧力の関係、平均運動エネルギーと絶対温度の関係について説明できる。
5週 ・気体の状態変化 気体の内部エネルギー、熱力学第一法則、気体の状態変化について説明できる。
6週 ・実験No.1
・気体のモル比熱
実験を行い、報告書を作成する。
気体のモル比熱について説明できる。
7週 ・不可逆変化と熱機関 不可逆変化、熱力学第2法則、熱機関と熱効率について説明できる。
8週 ・前期中間試験
2ndQ
9週 ・テスト返却と解説
【教科書 第3編】
(第1章 波の性質)
・波の発生と正弦波
中間試験の問題の解法を理解する。
波の発生と伝わり方、波の表し方、正弦波の式について理解する。
10週 ・実験No.2
・位相、横波と縦波
・重ね合わせの原理
実験を行い、報告書を作成する。
波の位相、横波と縦波、波のエネルギーについて理解する。
波の重ね合わせおよび定常波について理解する。
11週 ・ホイヘンスの原理 波の反射・干渉・屈折・回折、ホイヘンスの原理について理解する。
12週 ・実験No.3
(第2章 音)
・音の性質
・発音体の振動
実験を行い、報告書を作成する。
音の性質について理解する。
発音体の振動および共振と共鳴について理解する。
13週 ・音のドップラー効果 音のドップラー効果について理解する。
14週 ・実験No.4
(第3章 光)
・光の性質
・光の反射・屈折
実験を行い、報告書を作成する。
光の性質について理解する。
光の反射と屈折に関する問題の解法について理解する。
15週 ・前期末試験
16週 ・テスト返却と解説 期末試験の問題の解法を理解する。
後期
3rdQ
1週 【教科書 第4編】
(第1章 電場)
・静電気力
帯電のしくみ、静電誘導と誘電分極について理解する。
クーロンの法則について理解する。
2週 ・実験No.5
・電場
実験を行い、報告書を作成する。
電場、電気力線について理解する。
3週 ・電場
電場の重ね合わせについて理解する。
4週 ・実験No.6
・電位
実験を行い、報告書を作成する。
電位について理解する。
5週 ・物質と電場 導体と不導体中の電場について理解する。
6週 ・実験No.7
・オームの法則
実験を行い、報告書を作成する。
オームの法則について理解する。
7週 ・直流電流 キルヒホッフの法則やジュール熱や電力について理解する。
8週 ・後期中間試験
4thQ
9週 ・テスト返却と解説
【配布プリント】
(第1章 微分・積分)
・微分・積分の復習
・中間試験の問題の解法を理解する。
・微分および積分について今まで学んだことを整理する。
10週 ・実験No.8
・微分・積分を用いた計算
実験を行い、報告書を作成する。
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。
11週 ・微分方程式 簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。
12週 ・実験No.9
・演習
実験を行い、報告書を作成する。
微分・積分を用いた問題を解くことができる。
13週 (第2章 角運動量)
・角運動量
角運動量について理解し、角運動保存則に関する問題を解くことができる。
14週 ・実験No.10
(第3章 慣性モーメント)
・慣性モーメント
実験を行い、報告書を作成する。
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。
15週 ・学年末試験
16週 ・テスト返却と解説 学年末試験の問題の解法を理解する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3後15,後16
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3後15,後16
角運動量を求めることができる。3後15,後16
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3後15,後16
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3後15,後16
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3後15,後16
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3前1
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3前1,前2
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3前1
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3前2
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3前3
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3前3
気体の内部エネルギーについて説明できる。3前4
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3前5
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3前6
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。3前7
熱機関の熱効率に関する計算ができる。3前7
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。3前9
横波と縦波の違いについて説明できる。3前10
波の重ね合わせの原理について説明できる。3前10
波の独立性について説明できる。3前10
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。3前11
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。3前11
ホイヘンスの原理について説明できる。3前12
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。3前12
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。3前13
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。3前13
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。3前13
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。3前13
自然光と偏光の違いについて説明できる。3前14
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。3前14
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。3前14
電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。3後5
電場・電位について説明できる。3後1,後2,後3,後4
クーロンの法則が説明できる。3後1,後2,後4
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。3後1,後2,後4
オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。3後6
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。3後7
ジュール熱や電力を求めることができる。3後7
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。3前2,前4
安全を確保して、実験を行うことができる。3前2,前4
実験報告書を決められた形式で作成できる。3前2,前4
有効数字を考慮して、データを集計することができる。3前2,前4
力学に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前2,前4
熱に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前2,前4
波に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前2,前4
光に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前2,前4
電磁気に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前2,前4
電子・原子に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前2,前4
化学実験化学実験実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。3
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。3
測定と測定値の取り扱いができる。3
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。3
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。3
工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3前2,前4
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3前2,前4
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3前2,前4
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3前2,前4
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3前2,前4
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3前2,前4
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3前2,前4
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3前2,前4
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3前2,前4
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3前2,前4
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3前2,前4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合50000500100
基礎的能力50000500100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000