法学・知財(前期)

科目基礎情報

学校 北九州工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 法学・知財(前期)
科目番号 0088 科目区分 一般 / 選択
授業形態 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 生産デザイン工学科(共通科目) 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 使用しない
担当教員 山崎 淳司,白神 宏

到達目標

①法学の概要を理解する。法学には法律だけでなく、条例、政令、省令といった実定法や自然法も存在すること理解する。
②実定法を大まかに分類し、それぞれの特徴を理解する。実定法は大まかに公法、私法、社会法、実体法、手続法などに分類でき、それぞれに特徴があることを理解する。
③私法(民法)の基本原理を理解し、物権、債権(契約)、不法行為、親族、相続の概要を知る。また公法の代表的な法である刑法の基本原理も理解し、構成要件、違法性、責任の概要も知る。更に知的財産権の内容を理解し、特許権の出願手続の一連の手続も知る。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1  法学の概要を理解する。法学の概要を理解し、法律と条例、政令、省令の違い、実定法、自然法、「法の支配」と「法治主義」の違いを十分に説明できる。法学の概要をほぼ理解し、実定法と自然法の違い、「法の支配」と「法治主義」の違いをほぼ説明できる。法学の概要の理解に乏しく、実定法と自然法の違い、「法の支配」と「法治主義」の違いを説明できない。
評価項目2  実定法を大まかに分類し、それぞれの特徴を理解する。私法、公法、社会法、実体法、手続法を分類することができ、それぞれの特徴とつながりを十分に説明できる。私法、公法、社会法、実体法、手続法を大まかに分類することができ、それぞれの特徴をほぼ説明できる。私法、公法、社会法、実体法、手続法を分類できず、それぞれの特徴やつながりを説明できない。
評価項目3  私法の(民法)の基本原理、刑法の基本原理及び知的財産権の種類を理解し、それぞれの各論の内容を大まかに知る。 私法(民法)、刑法の基本原理、知的財産権を十分に理解し、物権、債権、契約、不法行為、親族、相続、構成要件、違法性、責任、特許権、実用新案権、特許出願手続の内容を十分に説明できる。私法(民法)、刑法の基本原理、知的財産権をほぼ理解し、物権、債権、契約、不法行為、親族、相続、構成要件、違法性、責任、特許権、実用新案権、特許出願手続をほぼ説明できる。私法(民法)、刑法の基本原理、知的財産権を理解できず、物権、債権、不法行為、相続、構成要件、違法性、特許権、実用新案権といった各論を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 F① 歴史・文化・社会に関する基礎的な知識を身に付ける。
学習・教育到達度目標 F③ 技術者としての役割と責任を認識できる。
JABEE SF① 歴史・文化・社会に関する知識を持ち、それらを示すことができる。
JABEE SF③ 技術者としての役割と責任(倫理観)を認識し、説明できる。

教育方法等

概要:
まず、法学の概要を解説するところからはじめる。具体的には法学には法律だけでなく、条例、政令、省令といった実定法や自然法も存在することを説明する。次に、実定法を大まかに分類し、それぞれの特徴を理解をできるように授業を進める。具体的には、実定法は大まかに公法、私法、社会法、実体法、手続法などに分類できるようになり、それぞれに特徴があることを理解し、それぞれのつながりまで説明できることを目標とする。さらに私法(民法)の基本原理を説明し、物権、債権(契約)、不法行為、親族、相続の概要を理解できるように授業を進める。出来れば公法の代表的な法である刑法の基本原理もふれて、構成要件、違法性、責任についても説明してゆきたい。最後に知的財産について触れる。知的財産権である特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権の内容を理解し、特許出願一連の手続も理解できるように授業をすすめる。
授業の進め方・方法:
パワーポイントのスライドと教科書を併用しながら、授業を進める。毎回、レジュメとスライドのプリントを配布する。
注意点:

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 オリエンテーション・「法とは何か」「法治主義」「法の支配」  法と道徳の違い、実定法と自然法の違い、「法治主義」と「法の支配」の違いをそれぞれ理解する。
2週 実定法の分類 私法、公法、社会法 私法、公法、社会法の違いと特徴を理解する。
3週 法律を意識する場面、問題の解決方法 実体法と分類と手続法のつながりを理解する。民事裁判と刑事裁判の違いを知る。
4週 私法(民法)の基本原理(1)個人主義、私的財産権、自由と平等、私的自治の原則、私的所有権の保障 個人主義、私的所有権、自由と平等が私法(民法)の基本原理に深く関わっていることと理解する。
5週 私法(民法)の基本原理(2)意思自治の原則、自己責任の原則、公共の福祉 意思自治の原則、自己責任の原則の内容を理解する。私権と公共の福祉の関係について考察を深める。
6週 物権と債権、物権の内容 動産、不動産 物権と債権の違いを知り、それぞれの特徴を理解する。物権の客体が動産と不動産に分かれそれぞれの公示方法が違うことを知る。
7週 債権(1) 債権の特徴 契約の種類 売買契約(1) 債権の特徴を理解し、売買契約以外にも法定典型契約があることを知る。売買契約を素材に契約の効果を知る。
8週 中間試験
2ndQ
9週 債権(2) 売買契約(2)債務不履行  売買契約を素材に債務不履行に陥った場合の法的解決方法を知る。
10週 不法行為 債務不履行による損害賠償と不法行為による損害賠償 損害賠償請求にも債務不履行によるものと不法行為によるものがあることを知る。それぞれの違いを理解する。
11週 家族法 親族、相続 婚姻関係 法の下の平等 婚姻の自由 法定相続  家族法が抱える問題を知る。婚姻関係を素材に法の下の平等と民法の問題を考察する。また、法定相続による相続の計算を知る。
12週 刑法 基本原理、構成要件、違法性、責任 刑法の基本原理を理解する。罪は構成要件を満たすだけでは成立せず、他に違法性と責任がないと罪が成立しないことを知る。
13週 知的財産(1) 知的財産権の内容 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権 知的財産権の種類を知り、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権のそれぞれの特徴と違いを理解する。
14週 知的財産(2) 特許権の内容 「発明」とは、自然法則、利用、創造性、高度性、職務発明 特許権における「発明」とはどのようなものかを理解する。職務発明の意味を理解する。
15週 知的財産(3) 特許権出願手続 特許出願、特許権出願公開制度、審査請求制度、特許査定、拒絶査定、特許登録  特許権の出願から特許登録までの一連の手続を知る。特許査定の査定を受けるための「補正」を理解する。
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学社会公民的分野自己が主体的に参画していく社会について、基本的人権や民主主義などの基本原理を理解し、基礎的な政治・法・経済のしくみを説明できる。3前1
現代社会の考察現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。3前3
工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。3前10
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。3前13
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。3前14
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。3前2

評価割合

試験演習・レポート合計
総合評価割合9010100
基礎的能力9010100