高電圧工学

科目基礎情報

学校 北九州工業高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 高電圧工学
科目番号 0140 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気電子工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 EEText 高電圧パルスパワー工学
担当教員 福澤 剛

到達目標

1. 気体、液体、固体の絶縁破壊現象を説明できる。B①②
2. プラズマの生成と、プラズマの振舞いを説明できる。B①②、SB①
3. 高電圧の発生法と計測法を説明できる。B①②、SB①
4. 高電圧発生回路を製作できる。B①②、SB①②

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1気体の絶縁破壊現象を説明できた上で、液体、固体特有の絶縁破壊現象を説明できる。気体の性質(状態方程式、速度分布、平均自由行程など)、荷電粒子の消失過程を理解し、気体の絶縁破壊現象を説明できる。気体の性質、荷電粒子の消失過程が理解できない。
評価項目2プラズマの特徴とミクロ・マクロ的な取扱、生成法を説明できる。 製造現場で利用されるプラズマと関連づけられる。プラズマの特徴(準中性、サイズなど)を理解し、プラズマのミクロ的な取扱を説明できる。 プラズマの生成法を説明できる。プラズマと電磁界の相互作用を理解できない。
評価項目3高電圧発生装置、高電圧・大電流の計測法の原理を説明できる。 パルス伝送線路について説明できる。 高電圧現象の産業への利用例を説明できる。高電圧発生装置、高電圧・大電流の計測法の原理を説明できる。指定された高電圧発生装置、高電圧・大電流の計測法の原理を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程の教育目標 B①  専門分野における工学の基礎を理解できる。
準学士課程の教育目標 B②  自主的・継続的な学習を通じて、専門工学の基礎科目に関する問題を解くことができる。
専攻科教育目標、JABEE学習教育到達目標  SB①  共通基礎知識を用いて、専攻分野における設計・製作・評価・改良など生産に関わる専門工学の基礎を理解できる。
専攻科教育目標、JABEE学習教育到達目標 SB②  自主的・継続的な学習を通じて、専門工学の基礎科目に関する問題を解決できる。

教育方法等

概要:
電子部品の絶縁膜の絶縁破壊から雷まで、高電圧・強電界による絶縁破壊現象であり、様々な事故の原因となる。一方、絶縁破壊現象で生じる放電プラズマは、半導体デバイスの製造、廃棄物処理、照明などの光源にも利用される。事故の回避、プラズマの利用のために、絶縁破壊現象・プラズマ・高電圧計測等について学ぶ。
授業の進め方・方法:
気体の性質、荷電粒子の振舞いからはじめ、気体、液体、固体の絶縁破壊現象、その結果生じるプラズマの特徴について学ぶ。さらに、高電圧発生方法や計測方について学ぶ。
注意点:

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 感電事故 感電事故の原因・現象を理解し、事故防止の意識を高める。
2週 気体の性質 気体の密度と圧力の関係を理解する。
3週 気体の性質 マックスウェルの速度分布、熱速度等を理解する。
4週 荷電粒子の振舞い 電子と正イオンそれぞれの衝突断面積、平均自由行程、平均衝突頻度などを理解する。
5週 荷電粒子の振舞い 励起、電離、再結合、付着などの現象から、絶縁破壊しやすい状況までを理解する。
6週 荷電粒子の振舞い 移動度、拡散など荷電粒子の挙動を理解する。
7週 気体の絶縁破壊現象 宇宙線などと初期電子発生の関係、タウンゼント放電を理解する。
8週 中間試験
2ndQ
9週 答案返却、解説
10週 気体の絶縁破壊現象 パッシェンの法則を理解し、圧力と絶縁破壊電圧の関係を理解する。
11週 気体の絶縁破壊現象 ストリーマ放電を理解し、高圧、長ギャップの条件での放電現象を理解する。
12週 気体の絶縁破壊現象 コロナ放電、雷放電など身近な放電現象を理解する。
13週 液体、固体、真空の絶縁破壊現象 液体、固体に特有の絶縁破壊現象を理解し、実際の高電圧機器の絶縁対策を知る。
14週 液体、固体、真空の絶縁破壊現象 異なる誘電体からなる複合系の絶縁破壊現象を理解する。放電による誘電体へのダメージを理解する。
15週 期末試験
16週 答案返却、解説
後期
3rdQ
1週 プラズマの性質と生成 プラズマは物質の第4態であること、準中性などプラズマの特徴を理解する。
2週 プラズマのミクロ的取扱 電磁界と荷電粒子の相互作用を理解する。
3週 プラズマのミクロ的取扱 電磁界と荷電粒子の相互作用を理解する。
4週 プラズマのマクロ的取扱 プラズマの流体方程式を理解する。
5週 放電プラズマの生成 直流・高周波・マイクロ波・バリア放電など様々な放電方式を理解する。
6週 放電プラズマの生成 直流・高周波・マイクロ波・バリア放電など様々な放電方式を理解する。
7週 高電圧発生回路 直流・交流・パルス高電圧回路を理解する。倍電圧発生回路を理解する。
8週 中間試験
4thQ
9週 答案返却、解説
10週 パルスパワー発生装置 容量性・誘導性エネルギー蓄積方式のパルスパワー発生装置の原理と特徴を理解する。
11週 パルスパワー発生装置 RLC回路の放電特性を理解する。
12週 高電圧発生回路の測定 ダイオードを利用した直流高電圧回路、RLC放電回路を製作し、各部の電圧を測定し、高電圧回路の理解を深める。
13週 パルス伝送線路 分布定数回路、負荷との整合など、高周波の信号の取扱いを理解する。
14週 高電圧計測 各種の高電圧計測法を理解する。
15週 定期試験
16週 答案返却、解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。4後7
理想変成器を説明できる。3後7
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。4後11
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。4後11
電磁気電荷及びクーロンの法則を説明でき、点電荷に働く力等を計算できる。4後3
電界、電位、電気力線、電束を説明でき、これらを用いた計算ができる。4前12
ガウスの法則を説明でき、電界の計算に用いることができる。4前12
誘電体と分極及び電束密度を説明できる。4前14
静電容量を説明でき、平行平板コンデンサ等の静電容量を計算できる。4後10
静電エネルギーを説明できる。4後10
電流に作用する力やローレンツ力を説明できる。4後6
磁気エネルギーを説明できる。4後10
電子回路ダイオードの特徴を説明できる。4後7
電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。4後3
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。4前7
原子の構造を説明できる。3前5
計測倍率器・分流器を用いた電圧・電流の測定範囲の拡大手法について説明できる。4後14

評価割合

試験発表課題への取組態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70030000100
基礎的能力0000000
専門的能力70030000100
分野横断的能力0000000