電気磁気学

科目基礎情報

学校 北九州工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 電気磁気学
科目番号 0108 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子制御工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「新版 電磁気学の基礎」、斉藤幸喜, 宮代彰一, 高橋清著、森北出版
担当教員 十時 優介

到達目標

静電界に関する以下の項目について説明および計算することができる。
・クーロンの法則を用いた空間中の点電荷に働く力などについて。
・電界、電位、電気力線、電束、電界におけるガウスの法則から電界について導出できる。
・導体の性質および導体表面の電荷密度や電界などを計算できる。
・誘電体と分極、電束密度。平行板コンデンサ等の静電容量を計算できる。
・合成静電容量の計算と静電エネルギーについて。
静磁界に関する以下の項目について説明および計算することができる。
・ビオ・サバールの法則、アンペールの法則を用いて簡単な磁界・磁束密度の計算に用いることができる。
・電流に作用する力やローレンツ力を説明できる。
変動する電磁界に関する以下の項目について説明できる。
・電磁誘導を説明でき、誘導起電力を計算できる。
・変位電流を説明でき、マクスウェルの方程式を示すことができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
静電界に関する各法則について説明および計算することができる。各種法則・公式を理解し、数学的な知識を利用して応用問題を解くことができる。各種法則・公式を理解し、数式を用いて表現ができる。基礎的な問題を解くことができる。各種法則・公式の理解が不十分であり、数式を用いて表現ができない。
静磁界に関する各法則について説明および計算することができる。各種法則・公式を理解し、数学的な知識を利用して応用問題を解くことができる。各種法則・公式を理解し、数式を用いて表現ができる。基礎的な問題を解くことができる。各種法則・公式の理解が不十分であり、数式を用いて表現ができない。
変動する電磁界に関する法則・事柄ついて説明できる。静電磁界との区別、違いを理解し、数学的な知識を利用して応用問題を解くことができる。静電磁界との区別、違いを理解し、数式を用いて表現ができる。基礎的な問題を解くことができる。静電磁界との区別、違いが説明できない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程の教育目標 A① 数学・物理・化学などの自然科学、情報技術に関する基礎を理解できる。
準学士課程の教育目標 B① 専門分野における工学の基礎を理解できる。
専攻科教育目標、JABEE学習教育到達目標 SA① 数学・物理・化学などの自然科学、情報技術に関する共通基礎を理解できる。
専攻科教育目標、JABEE学習教育到達目標 SB① 共通基礎知識を用いて、専攻分野における設計・製作・評価・改良など生産に関わる専門工学の基礎を理解できる。

教育方法等

概要:
本授業では、「制御機器I」、「制御機器II」で学ぶ、技術者が設計の際に用いるセンサ・アクチュエータの原理を理解するための電気磁気学の基礎を修得することを目的とする。
授業の進め方・方法:
原理・理論の解説を中心に行い、例題や演習により理解を深める。
講義の終わりにその講義をまとめた課題を配布するので必ず解いてくること。
解説については次回講義の冒頭に行う。
注意点:
原理自体は簡単な物でも実際の現象に当てはめる場合には数学の様々な知識が必要になるため難しくなることが多い。
これまで学習した内容についてしっかりと復習を行うこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 「ガイダンス・ベクトル演習」
本講義の概要説明と3年次までに学習したベクトルについて復習を行う。
・ベクトルの加減算ができる
・ベクトルの内積・外積が計算できる
2週 「クーロンの法則」
3年次までに学習した内容をふまえ、ベクトルを用いて表す方法について学習する。
・クーロンの法則を用いて核物理量の大きさが導出できる
・ベクトルを利用したクーロンの法則を用いて計算できる
・遠隔作用と近接作用について説明できる
3週 「ガウスの法則(積分形)」
電界におけるガウスの法則について、その概要と積分を用いて数学的に表現する方法を学習する。
・ガウスの法則が説明できる
・ガウスの法則の積分形を表すことができる
・点電荷の作る電界についてガウスの法則の積分形を用いて導出できる
4週 「ガウスの法則(微分形)」
電界におけるガウスの法則について、微分演算子を用いた数学的表現方法について学習する。
・ガウスの法則の微分形を表すことができる
・ガウスの法則について積分形と微分形の関係を説明できる。
5週 「電位」
電荷と電界についてポテンシャルエネルギーの観点を利用した電位について学習する
・電位と電位差について説明できる
・電界が与えられている場合、電位を計算することができる
6週 「電気双極子」
極性分子に生じる現象である電気双極子についてベクトルを用いて解析を行う。
・電気双極子が作る電界を求めることができる
・電気双極子に働く力を求めることができる
・電気双極子モーメントを説明できる
7週 「総合演習1」
これまで学習した内容を基に演習を行う。
8週 中間試験
2ndQ
9週 「静電誘導と電界」
電界中に存在する導体に生じる静電誘導について学習する。
・電界中の導体内における電荷の移動について説明できる。
・静電遮へいについて説明できる。
・鏡像法を用いた静電界の解析ができる
10週 「静電容量と静電エネルギー」
様々な形状のコンデンサを例に静電容量と静電エネルギーについて学習する。
・平行平板コンデンサの静電容量が求めることができる
・複数のコンデンサを接続した場合の合成容量について求めることができる
・コンデンサの静電エネルギーを求めることができる
・様々な形状のコンデンサの静電容量を求めることができる
11週 「分極と分極電荷」
電界中に設置した誘電体に現れる分極に関して学習する。
・分極の現象を説明できる
・分極電荷と真電荷について説明できる。
12週 「電束密度と誘電率」
電界に変わる新たな物理量である電束密度の導入と誘電率について学習する。
・分極電荷と真電荷から誘電体内部の電界を導出できる
・電束密度と電界の関係を説明できる
13週 「誘電体における静電界の法則」
これまで学習をした静電界に関する法則について誘電体がある場合はどのように扱うか学習する。
・電束密度を利用した場合の静電界における各法則を表すことができる
・法則を用いて誘電体内の物理量を導出できる
14週 「電流と電気抵抗」
電気磁気学の立場からオームの法則を一般化した場合の数式表現と利用方法について学習する。
・電荷と電流の関係を説明できる
・特定の形状の物体の抵抗を求めることができる
・一般化されたオームの法則について表すことができ、そこから抵抗値を求めることができる
15週 「総合演習2」
これまで学習した内容を基に演習を行う。
16週 期末試験・試験返却
後期
3rdQ
1週 「磁気力」
電流と磁界の関係について、3年次までの学習内容とクーロンの法則と対比させて学習する。
・電流が流れている場合に以下の事柄について求めることができる
 ・他の電流に働く力
 ・任意の点での磁界の大きさと方向
2週 「アンペールの法則」
電流が作る磁界について、アンペールの法則を用いて導出する方法を学習する。
・アンペールの法則が説明できる
・直線電流の作る磁界についてアンペールの法則を用いて導出できる
・磁界におけるガウスの法則が説明できる
3週 「ビオ・サバールの法則」
電流が作る磁界について、ビオ・サバールの法則を用いて導出する方法を学習する。
・ビオ・サバールの法則が説明できる
・直線電流の作る磁界についてビオ・サバールの法則を用いて導出できる
4週 「ソレノイドコイル」
電流が作る磁界の例としてソレノイドコイルが作る磁界について、各法則を適用させ導出を行う。
・与えられた条件をもとに適切な公式を利用して導出することができる
5週 「ローレンツ力」
電流や電荷が磁界内を移動する際に生じる力について学習する。
・電流が磁界から受ける力を求めることができる
・電荷が磁界内を移動する際に受ける力を求めることができる
6週 「磁荷と磁界」
磁荷について学習し、電気双極子と比較を行う。
・磁気双極子モーメントを説明できる
・磁荷と電流の作る磁界の関係を説明できる
・磁束密度と磁界の関係を説明できる
7週 「総合演習3」
これまで学習した内容を基に演習を行う。
8週 中間試験
4thQ
9週 「静電磁界と動電磁界」
これまで学習してきた静電磁界における各種法則が時間によって変化する動電磁界との関係について学習する。
・時変である電磁界での諸法則(ガウスの法則、アンペールの法則、ビオ・サバールの法則)について説明できる
10週 「電磁誘導」
磁界から電流を作る電磁誘導について、これまで学習した各法則を用いた表現方法などについて学習する。
・電磁誘導によって誘導起電力が生じる状況を説明でき、数式を用いて表すことができる。
・ファラデーの法則を説明でき、実際の回路に適用することができる
11週 「インダクタンス」
交流変圧器の原理として利用されている、インダクタンスについて学習する。
・相互インダクタンスについて説明できる
・自己インダクタンスについて説明できる
・各インダクタンスを導出することができる
12週 「変位電流」
コンデンサを用いた回路にて起こる電流の不連続を解決するために考えられた、変位電流について学習する。
・伝導電流と変位電流について説明できる
・与えられた条件から伝導電流を導出できる
・与えられた条件から変位電流を導出できる
13週 「マクスウェルの方程式」
これまで学習した内容の相互関係を表す、マクスウェルの方程式について学習する。
・電磁界が時変である場合の各方程式を説明できる
・各方程式を利用して必要な物理量を求めることができる
14週 「電磁波の伝搬」
マクスウェルの方程式を利用して空間中に電磁界がどのように伝搬するか学習する。
・マクスウェルの方程式の微分形から電磁波の伝わり方を説明できる
15週 「総合演習4」
これまで学習した内容を基に演習を行う。
16週 定期試験・試験返却

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電磁気電荷及びクーロンの法則を説明でき、点電荷に働く力等を計算できる。3前2
電界、電位、電気力線、電束を説明でき、これらを用いた計算ができる。3前2,前3,前4,前5,前6,前12,前13
ガウスの法則を説明でき、電界の計算に用いることができる。3前3,前4
導体の性質を説明でき、導体表面の電荷密度や電界などを計算できる。3前9,前10
誘電体と分極及び電束密度を説明できる。3前11,前12,前13
静電容量を説明でき、平行平板コンデンサ等の静電容量を計算できる。3前10
コンデンサの直列接続、並列接続を説明し、その合成静電容量を計算できる。3前10
静電エネルギーを説明できる。3前10
電流が作る磁界をビオ・サバールの法則およびアンペールの法則を用いて説明でき、簡単な磁界の計算に用いることができる。3後2,後3,後4
電流に作用する力やローレンツ力を説明できる。3後5
磁性体と磁化及び磁束密度を説明できる。3後1,後6
電磁誘導を説明でき、誘導起電力を計算できる。3後9,後10
自己誘導と相互誘導を説明でき、自己インダクタンス及び相互インダクタンスに関する計算ができる。3後11

評価割合

試験発表提出物態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70030000100
基礎的能力3501500050
専門的能力3501500050