制御理論Ⅰ

科目基礎情報

学校 北九州工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 制御理論Ⅰ
科目番号 0114 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電子制御工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 制御工学 第2版、斉藤制海著、森北出版
担当教員 添田 滿

到達目標

・ラプラス変換・逆変換ができる。
・対象の伝達関数を求めることができる。
・過渡応答・周波数応答を求め、系の特性評価ができる。
・フィードバック制御系の特性を解析することができる。
・フィードバック制御系の基本的な設計計算ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1任意の系の応答を求めることができる。代表的な系の応答を求めることができる。応答計算ができない。
評価項目2さまざまな系のボード線図、ベクトル軌跡を描くことができ、ゲイン、位相差を読むことができるる。代表的な伝達関数のボード線図、ベクトル軌跡を描くことができ、ゲイン振幅比を読み取ることができる。周波数特性線図を描けず、理解していない。
評価項目3フィードバック制御系の補償器を組み合わせて制御設計できる個々の補償器によるフィードバック制御系の補償設計ができる。補償器による設計ができない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程の教育目標 B② 自主的・継続的な学習を通じて、専門工学の基礎科目に関する問題を解くことができる。
準学士課程の教育目標 D① 専門工学の基礎に関する知識と基礎技術を統合し、活用できる。
専攻科教育目標、JABEE学習教育到達目標 SB② 自主的・継続的な学習を通じて、専門工学の基礎科目に関する問題を解決できる。
専攻科教育目標、JABEE学習教育到達目標 SD① 専攻分野における専門工学の基礎に関する知識と基礎技術を総合し、応用できる。

教育方法等

概要:
制御技術は知能ロボット、大型プラントから身近な自動車、家電製品まで広い分野に応用されている。本科目では制御工学、制御応用技術の基礎となる古典制御理論の学習を行う。本講義では、連続時間線形制御系を対象とし、制御対象の数式モデルによる記述、制御系の解析、制御系の設計を行うことができる基礎能力を身につけることを目的とする。
授業の進め方・方法:
概念を示し、その数学的扱いを理解させ、例題と演習等で問題解決力を身につける。
注意点:
複素数や微分方程式、三角関数など、これまでの数学と力学系、電気系などの物理の知識が基礎となるので、復習し理解を深めておくこと。
授業で学んだ内容を各自テキストの例題・問題を解くことにより復習し理解を深めること。また、宿題として出された演習課題は解答を提出する。教科書を見て次の授業内容を予習しておく。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 制御とは
数学的準備
複素数、三角関数の計算ができる。制御で用いられる関数を説明できる。
2週 ラプラス変換 ラプラス変換の定義、性質を理解し、種々の関数のラプラス変換をすることができる。
3週 ラプラス逆変換 ラプラス変換の性質やヘビサイドの公式を用いてラプラス逆変換ができる。
4週 動的システムの数式モデル プロセスの入出力関係を微分方程式で表現することができる。
5週 伝達関数とブロック線図 動的システムの伝達関数を求めること、系のブロック線図表現ができる。ブロック線図を等価変換し伝達関数を求めることができる。
6週 動的システムの時間応答 プロセスのインパルス応答、ステップ応答が計算できる。
7週 動的システムの時間応答 一次遅れ系、二次遅れ系の応答を求めることができる。それぞれの応答のグラフを示し、伝達関数パラメータの値とグラフの関係を説明できる。
8週 中間試験
2ndQ
9週 試験解説
システムの安定性
システムの安定性と安定条件を説明できる。
10週 システムの安定判別 ラウス、フルビッツの方法により系の安定判別ができる。
11週 システムの周波数応答 系の周波数応答を導くことができる。伝達関数から振幅比と位相差を求めることができる。
12週 ボード線図 デシベルゲインを理解し、系のボード線図を描くことができる。
13週 ボード線図 系のボード線図を折れ線近似で表すことができる。
14週 ベクトル軌跡 ベクトル軌跡の意味を理解し、代表的な伝達関数のベクトル軌跡を示すことができる。
15週 期末試験
16週 試験解説
後期
3rdQ
1週 ベクトル軌跡とナイキスト軌跡 一般的な伝達関数の概形を示すことができる。ベクトル軌跡からナイキスト軌跡を描くことができる。
2週 フィードバック制御系の構成 一般的なフィードバック系のブロック線図を示し、系の各要素・信号の名称を言うことができる。フィードバック系の伝達関数を求めることができる。
3週 フィードバック系の安定判別 フィードバック系の安定条件を示し、ラウスフルビッツで安定判別ができる。
4週 フィードバック系の安定判別 ナイキストの安定判別法、簡易のナイキスト判別法を用いてフィードバック系の安定判別ができる。
5週 フィードバック系の安定余裕 位相余裕とゲイン余裕を一巡伝達関数のベクトル軌跡上で示すことができ計算により求めることができる。一巡伝達関数のボード線図からゲイン余裕、位相余裕を求めることができる。
6週 フィードバック制御系の応答特性と仕様 過渡応答と制御仕様、伝達関数と制御仕様、極配置と制御仕様、代表特性根について説明できる。
7週 フィードバック制御系の応答特性と仕様 一巡伝達関数の周波数応答と制御仕様を説明できる。
8週 中間試験
4thQ
9週 試験解説
フィードバック系の定常特性
フィードバック系の定常偏差を求めることができる。偏差をなくすための制御系の型を説明できる。
10週 周波数応答による補償器の設計 望みの制御仕様を与えるためのゲイン補償器を求めることができる。
11週 周波数応答による補償器の設計 位相進み、位相遅れ要素の周波数特性を示すことができる。制御仕様を満たすための位相進み補償器、位相遅れ補償器器を求めることができる。
12週 周波数応答による補償器の設計 ゲイン補償、位相進み・位相遅れ補償を組み合わせた補償器の設計ができる。
13週 根軌跡 根軌跡の意味を理解し、簡単な一巡伝達関数の根軌跡を描くことができる。
14週 PID制御 PID制御器の構造と意味を説明できる。ジーグラーニコルスの方法の概要を説明できる。
15週 定期試験
16週 定期試験の解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野制御伝達関数を用いたシステムの入出力表現ができる。4
ブロック線図を用いてシステムを表現することができる。4
システムの過渡特性について、ステップ応答を用いて説明できる。4
システムの定常特性について、定常偏差を用いて説明できる。4
システムの周波数特性について、ボード線図を用いて説明できる。4
フィードバックシステムの安定判別法について説明できる。4

評価割合

試験演習課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力0000000
専門的能力80200000100
分野横断的能力0000000