制御理論Ⅱ

科目基礎情報

学校 北九州工業高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 制御理論Ⅱ
科目番号 0151 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子制御工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 江口広文,大屋勝敬共著,初めて学ぶ現代制御の基礎,東京電機大学出版局
担当教員 太屋岡 篤憲

到達目標

1. 古典制御理論と現代制御理論の違いを理解できる。
2. 制御対象を状態方程式で表現できる。
3. 状態方程式から制御対象の性質を解析できる。
4. 状態フィードバックにより閉ループ系を安定化できる。
5. 状態量を推定するオブザーバを構成できる。
6. 出力を目標値に追従させるサーボ系を構成できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1. 古典制御理論と現代制御理論の相違の理解 古典制御理論と現代制御理論の相違を理解し、説明できる。 古典制御理論と現代制御理論の相違を理解できる。 古典制御理論と現代制御理論の相違を理解できず、説明できない。
2. 状態方程式による制御対象の表現 状態方程式による制御対象の表現法を理解し、説明できる。それを用いて問題を解くことができる。 状態方程式による制御対象の表現法を理解し、説明できる。 状態方程式による制御対象の表現法を理解できず、説明できない。
3. 状態方程式による制御対象の解析状態方程式による制御対象の解析法を理解し、説明できる。それを用いて問題を解くことができる。状態方程式による制御対象の解析法を理解し、説明できる。状態方程式による制御対象の解析法を理解し、理解できず、説明できない。
4. 状態フィードバックにより閉ループ系の安定化状態フィードバックにより閉ループ系を安定化する方法を理解し、説明できる。それを用いて問題を解くことができる。状態フィードバックにより閉ループ系を安定化する方法を理解し、説明できる。状態フィードバックにより閉ループ系を安定化する方法を理解できず、説明できない。
5. オブザーバによる状態変数の推定状態量を推定するオブザーバを構成する方法を理解し、説明できる。それを用いて問題を解くことができる。状態量を推定するオブザーバを構成する方法を理解し、説明できる。状態量を推定するオブザーバを構成する方法を理解できず、説明できない。
6. 出力を目標値に追従させるサーボ系の構成出力を目標値に追従させるサーボ系を構成する方法を理解し、説明できる。それを用いて問題を解くことができる。出力を目標値に追従させるサーボ系を構成する方法を理解し、説明できる。出力を目標値に追従させるサーボ系を構成する方法を理解できず、説明できない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程の教育目標 A② 自主的・継続的な学習を通じて、基礎科目に関する問題を解くことができる。
準学士課程の教育目標 B① 専門分野における工学の基礎を理解できる。
専攻科教育目標、JABEE学習教育到達目標 SB② 自主的・継続的な学習を通じて、専門工学の基礎科目に関する問題を解決できる。
専攻科教育目標、JABEE学習教育到達目標 SD① 専攻分野における専門工学の基礎に関する知識と基礎技術を総合し、応用できる。

教育方法等

概要:
機械システム、電気システム、科学システムなど種々のシステムを制御するための統一的な制御系設計法として現代制御理論が広く用いられるようになっている。
本科目では動的システムの特性解析、制御系設計などの現代制御理論の基礎について学習し、現代制御理論に基づく制御系の設計を行う能力を身に着けることを目的とする。
授業の進め方・方法:
制御理論Ⅰで学んだ古典制御理論をもとにして、現代制御理論の基礎を学習する。
注意点:
ラプラス変換に加え、行列論が基本となるので、それらの復習をして講義に望んでもらいたい。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 古典制御の復習 (1) 開ループゲインと定常偏差の関係を説明できる。
2週 古典制御の復習 (2) 開ループゲインとフィードバック制御系の安定性の関係を説明できる。
3週 線形代数の復習 (1) 行列とベクトル,行列式,逆行列が計算できる。
4週 線形代数の復習 (2) 固有値・固有ベクトルが計算できる。行列の対角化ができる。
5週 システムの状態表現 (1) 機械振動系,電気回路の数式モデルを求め,状態方程式,出力方程式を求めることができる。
6週 システムの状態表現 (2) 非線形(水位システム)の線形近似ができる。
7週 ラグランジュ法 ラグランジュ法により,運動方程式を求め,状態方程式を求めることができる。
8週 中間試験 1~7週までの内容を網羅した試験により,授業内容の理解の定着を図る。
2ndQ
9週 試験解説
復習演習
中間試験の内容を解説により理解し,復習演習で理解を定着させる。
10週 システム方程式と伝達関数の関係 システム方程式と伝達関数の変換ができる。状態変数線図を描くことができる。
11週 座標変換 座標変換の性質を理解し,説明できる。
12週 対角正準形 対角正準形に変換できる。
13週 線形システムの応答 (1) システムの時間応答を求めることができる。状態推移行列が計算できる。
14週 線形システムの応答 (2) モード展開を理解し,固有値と応答の関係を説明できる。
15週 期末試験 10~14週までの内容を網羅した試験により,授業内容の理解の定着を図る。
16週 試験解説
復習演習
期末試験の内容を解説により理解する。
後期
3rdQ
1週 可制御性 可制御性を調べることができる。可制御正準形に変換できる。
2週 極配置 (1) 状態フィードバック係数を直接的に求めることができる。
3週 極配置 (2) 状態フィードバック係数を可制御正準形から求めることができる。
4週 可観測性 可観測性を調べることができる。可観測正準形に変換できる。
5週 状態オブザーバの構造 同一次元オブザーバの構造を説明ができる。
6週 状態オブザーバの設計 同一次元オブザーバを設計できる。
7週 併合系 状態オブザーバにより再現した状態を用いてフィードバック制御系を構成できる。
8週 中間試験 1~7週までの内容を網羅した試験により,授業内容の理解の定着を図る。
4thQ
9週 試験解説
復習演習
中間試験の内容を解説により理解し,復習演習で理解を定着させる。
10週 直接フィードバック制御 直接フィードバック制御による根軌跡を求めることができる。
11週 直列補償器による安定化 所望の極を有する直列補償器(動的補償器)を設計できる。
12週 内部モデル原理 内部モデル原理を理解し,説明できる。
13週 サーボ系の設計 (1) 直列補償器により,サーボ系が設計できる。
14週 サーボ系の設計 (2) 積分器と状態フィードバックにより,l 形制御系を設計できる。
15週 定期試験 10~14週までの内容を網羅した試験により,授業内容の理解の定着を図る。
16週 試験解説 期末試験の内容を解説により理解する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。4
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。4
制御伝達関数を用いたシステムの入出力表現ができる。4
ブロック線図を用いてシステムを表現することができる。4
システムの過渡特性について、ステップ応答を用いて説明できる。4
システムの定常特性について、定常偏差を用いて説明できる。4
システムの周波数特性について、ボード線図を用いて説明できる。4
フィードバックシステムの安定判別法について説明できる。4

評価割合

試験課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力0000000
専門的能力80200000100
分野横断的能力0000000