制御工学演習

科目基礎情報

学校 北九州工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 制御工学演習
科目番号 0154 科目区分 専門 / 必修
授業形態 演習 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電子制御工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 「制御理論Ⅰ」「制御理論Ⅱ」で使用のテキスト
担当教員 十時 優介

到達目標

・伝達関数・ブロック線図を用いたシステムの表現方法が理解できる。
・システムの様々な特性について適切な手段を用いて説明できる。
・与えられたシステムに適切な補償器の設計・安定判別ができる。
・与えられた制御系に対しその特性を理解し、グループワークにて決定した仕様をもとに制御系を設計できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
伝達関数・ブロック線図を用いたシステムの表現方法が理解できる。上記到達目標について、電気・機械などの複合的なシステムに対し導出することができる。上記到達目標について、単一の構成要素からなるシステムに対し導出することができる。与えられたシステムについて伝達関数・ブロック線図を用いて表現することができない。
システムの様々な特性について適切な手段を用いて説明できる。システムの特性について、自らの考えで適切な手段を選択し、説明することができる。システムの特性について、指定された手段を用いて説明することができる。システムの特性について、手段を指定しても説明することができない。
与えられたシステムに適切な補償器の設計・安定判別ができる。与えられたシステムに対して、自らの考えで適切な手段を選択し、補償器の設計・安定判別ができる。与えられたシステムに対して、指定された手段を用いて補償器の設計・安定判別ができる。手段を指定しても補償器の設計・安定判別ができない。
与えられた制御系に対しその特性を理解し、グループワークにて決定した仕様をもとに制御系を設計できる。 グループ内で協働することにより、与えられた制御系に対し、制御工学の知識をもとに制御系を設計することと適切な発表ができる。グループ内で協働することにより、与えられた制御系に対し制御系を設計することと発表ができる。グループ内で協働作業に非協力的である。 設計した補償器について、適切な発表ができない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程の教育目標 B② 自主的・継続的な学習を通じて、専門工学の基礎科目に関する問題を解くことができる。
準学士課程の教育目標 C① 実験や実習を通じて、問題解決の実践的な経験を積む。
準学士課程の教育目標 D① 専門工学の基礎に関する知識と基礎技術を統合し、活用できる。
専攻科教育目標、JABEE学習教育到達目標 SB② 自主的・継続的な学習を通じて、専門工学の基礎科目に関する問題を解決できる。
専攻科教育目標、JABEE学習教育到達目標 SC① 専門工学の実践に必要な知識を深め、実験や実習を通じて、問題解決の経験を積む。
専攻科教育目標、JABEE学習教育到達目標 SD① 専攻分野における専門工学の基礎に関する知識と基礎技術を総合し、応用できる。

教育方法等

概要:
「制御理論Ⅰ」で学んだ古典制御理論について、復習を中心に「制御理論Ⅰ」で深く扱えなかった内容を中心に解説と演習を行う。また後半では実際のモデルを用いて補償器の設計をグループワークで行うことにより、フィードバック制御系の解析・設計手法の習得を図る。
授業の進め方・方法:
 「制御理論Ⅰ」で学んだ古典制御理論の事項を復習しながら、制御対象のモデル化、特性解析、制御系設計の一連の作業を演習等を通じて習得を行っていく。
 授業の進め方について、中間試験までは反転授業に準ずる形式で授業を進めていく。講義の前にweb 上に公開される講義資料を読み、基礎問題を解いておく。また、講義前に、要点や疑問点について整理しておく。講義では疑問点等について質疑応答を行い、課題に対してグループで取り組む。その後演習問題について教員が解説を行う。
 中間試験以降は実際の機器を用いて補償器の設計をグループにて行う。各授業で到達してほしい内容をあらかじめ提示するので解決方法について検討・整理を行うこと。授業では個人で検討した内容をもとにグループで話し合い、計測・設計を行う。設計した制御器は検討会においてプレゼンテーションと実機へ適用することによる性能の検証を行う。
注意点:
「制御理論Ⅰ」を含めて学習したことのある内容がもとになっているので、復習を行っておくこと。
反転授業ではあらかじめ予習・復習を行った前提で講義を進め、グループワークでは受講者の活動を評価するので自発的な活動が重要である。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 「ガイダンス」
本講義の概要説明・およびグループワークの班分け等を行う。
2週 「物理現象のモデル化」
剛体の動作や電気電子回路等の物理現象に対し、運動方程式や回路方程式といった微分方程式での表現法を復習する。
・機械系の並進運動に関する運動方程式を表すことができる
・機械系の回転運動に関する運動方程式を表すことができる
・電気電子回路の回路方程式を表すことができる
3週 「伝達関数とブロック線図」
伝達関数とシステムの過渡特性の表現法、ブロック線図について復習する。
・与えられた微分方程式から伝達関数を導出できる
・与えられた伝達関数から以下の事柄について導出できる
 ・インパルス応答
 ・単位ステップ応答
・ブロック線図について結合・分離等の等価変換を行うことができる
4週 「過渡応答と周波数応答」
・フィードバック制御系の定常特性、過渡特性を復習し、フィードバック補償器の性能についての検証方法を学習する。
・周波数応答、ボード線図、ナイキスト線図について復習する。
・出力応答波形が与えられた場合以下の事柄について示すことができる
 ・過渡特性の各指標
 ・定常特性の各指標
・伝達関数が与えられた場合、定常特性について計算して導出できる
・周波数伝達関数からボード線図、ナイキスト線図が描ける
5週 「安定判別」
ラウス・フルビッツ、ナイキストの安定判別法を復習しシステムの安定について学習する。
・伝達関数が与えられた場合、ラウス・フルビッツの安定判別法をもちいてシステムの安定判別ができる
・ナイキスト線図からシステムの安定性および安定のための指標を求めることができる
6週 「制御器の設計(1)」
ボード線図を利用した制御器の設計方法について学習する。
・ボード線図を用いてシステムの安定判別ができる
・ボード線図が与えられた状態で
 ・ゲイン補償器が設計できる
 ・位相進み補償が設計できる
 ・位相遅れ補償が設計できる
7週 「制御器の設計(2)」
PID制御器における各制御要素の特徴と設計について学習する。
・PID制御器の各要素がシステムにどのような影響を与えるか説明することができる
8週 中間試験
2ndQ
9週 「グループワークガイダンス」
グループワークを行う上での注意事項、制御対象機器の概要および目的について説明する。
10週 「制御系CADを用いたモデルの表現について」
制御機器に補償器を実装するためのソフトウェアの操作について学習する。
・1階微分方程式についてシミュレーションソフト上での数式モデルの表現ができる
11週 「グループワーク(1)」
制御器の設計についてグループワークで取り組む
・制御対象のモデル化ができる
12週 「グループワーク(2)」
制御器の設計についてグループワークで取り組む
・補償器の性能についてグループで決定できる
13週 「グループワーク(3)」
制御器の設計についてグループワークで取り組む
・補償器の設計をグループで取り組むことができる
14週 「グループワーク(4)」
制御器の設計についてグループワークで取り組む
15週 「成果発表会」
グループワークで設計した制御器についてプレゼンテーションと、実機に対して適用することでその性能の検証を行う。
・設計した補償器について特徴をまとめ発表することができる
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野制御伝達関数を用いたシステムの入出力表現ができる。4前2,前3
ブロック線図を用いてシステムを表現することができる。4前2,前3
システムの過渡特性について、ステップ応答を用いて説明できる。4前4
システムの定常特性について、定常偏差を用いて説明できる。4前4
システムの周波数特性について、ボード線図を用いて説明できる。4前4,前5,前6,前7
フィードバックシステムの安定判別法について説明できる。4前5,前6,前7
専門的能力の実質化PBL教育PBL教育工学が関わっている数々の事象について、自らの専門知識を駆使して、情報を収集することができる。4前11,前12,前13,前14,前15
集められた情報をもとに、状況を適確に分析することができる。4前11,前12,前13,前14,前15
与えられた目標を達成するための解決方法を考えることができる。4前11,前12,前13,前14,前15
状況分析の結果、問題(課題)を明確化することができる。4前11,前12,前13,前14,前15

評価割合

試験発表態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合401015350100
基礎的能力000000
専門的能力401015350100
分野横断的能力000000