概要:
物理化学は、応用化学工学の基礎教科であるので、前期では、物質工学や機器分析において重要な分子間相互作用、 統計熱力学、分子の回転と振動(分光法)について学習し、演習を行う。後期では、化学工学において重要な化学平衡、相平衡、反応速度論について、演習問題を中心に数理的取り扱いの理解を深め、必要に応じて補足説明を行う。
授業の進め方・方法:
前期では、講義と並行して演習を行い、理解度を深める。後期では、演習中心の授業形式で学生に解説を求める。
注意点:
「応用化学工学演習」の関連科目として、「物理化学」、「有機化学」、「無機化学」、「物理化学演習」、「応用物理」、「生物反応工学」があり、その科目を復習しておくことにより授業内容をよく理解することができる。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
双極子 |
・部分電荷の相互作用を説明できること。
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2週 |
双極子 |
・有極性、無極性分子を説明でき、分子の双極子モーメントを計算できること。
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3週 |
全相互作用 |
・双極子間の相互作用によるポテンシャルエネルギーを理解し、応用できること。 ・双極子・誘起双極子相互作用のポテンシャルエネルギーを理解し、応用できること。
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4週 |
全相互作用 |
・レナード・ジョーズポテンシャルを理解し、応用できること。
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5週 |
ボルツマン分布, 分配関数 |
・ボルツマン分布を説明できること。
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6週 |
ボルツマン分布, 分配関数 |
・分配関数の解釈を説明できること。
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7週 |
分子分配関数 |
・分配関数の計算ができること。
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8週 |
中間試験 |
・1~7週までの内容を網羅した試験により、授業内容の定着を図る。
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2ndQ |
9週 |
分光法の特徴 |
・発光スペクトル法、吸収スペクトル法、ラマンスペクトル法を説明できること。
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10週 |
分光法の特徴 |
・発光スペクトル法、吸収スペクトル法、ラマンスペクトル法を説明できること。
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11週 |
回転分光法 |
・分子の回転エネルギー準位を理解し、応用できること。
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12週 |
回転分光法 |
・分子の回転エネルギー準位を理解し、応用できること。
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13週 |
振動分光法 |
・赤外分光法を説明できること。
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14週 |
振動分光法 |
・赤外分光法を説明できること。
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15週 |
定期試験 |
・9~14週までの内容を網羅した試験により、授業内容の定着を図る。
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16週 |
定期試験内容についての解説 |
・定期試験の内容を理解する。
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後期 |
3rdQ |
1週 |
純物質の相平衡 |
・純物質の状態図を理解し、蒸気圧曲線を説明できる。
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2週 |
相転移の熱力学 |
・ギブズの相律、自由度を理解している。
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3週 |
純物質の相図 |
・相図の相境界線とクラペイロンの式の関係を説明できる。
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4週 |
混合物の熱力学的記述 |
・部分モル量の意義を説明できる。 ・化学ポテンシャル(部分モルギブズエネルギー)を理解している。 ・ラウールの法則、ヘンリーの法則を理解している。 ・物質の活量、標準状態を理解している。
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5週 |
束一的性質、混合物の相図 |
・相平衡が成立するための熱力学的条件を説明できる。 ・束一的性質(沸点上昇、凝固点降下など)について説明できる。 ・2成分混合物の相図を理解し、説明できる。
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6週 |
圧平衡定数と濃度平衡定数、化学平衡と自由エネルギー |
・反応ギブズエネルギーの意味を理解している。 ・反応比、平衡定数をを理解し、求めることができる。
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7週 |
平衡定数の温度依存性など。 |
・ルシャトリエの原理を理解し、平衡の移動を説明できる。 ・ファントホッフの式を用いて、平衡定数の温度変化を計算できる。
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8週 |
中間試験 |
・17~23週までの内容を網羅した試験により、授業内容の定着を図る。
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4thQ |
9週 |
プロトン移動平衡、塩の水溶液、溶解度平衡 |
・酸・塩基平衡を説明し、共役酸・共役塩基を示すことができる。 ・酸・塩基平衡定数を用いて、溶液のpHを計算できる。 ・多プロトン酸の水溶液のpHを計算できる。 ・両プロトン性化学種を含む水溶液のpHを計算できる。 ・酸塩基滴定における量論点を計算でき、pH曲線を描ける。 ・ヘンダーソンハッセルバルグの式を用いて、滴定途中溶液のpHを計算できる。 ・緩衝作用を理解し、所定pHの緩衝溶液を調製する為の条件を導ける。 ・酸・塩基指示薬の変色域を理解し、滴定に適切な指示薬を示せる。 ・溶解度定数を用いて難溶性塩の溶解度を求めることができる。 ・共通イオン効果が溶解度に与える影響を理解している。
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10週 |
反応速度の定義と速度則 |
・反応速度の定義を理解している。
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11週 |
反応次数、素反応 |
・反応速度式、速度定数、反応次数について理解している。 ・初速度法より、速度定数、反応次数を求めることができる。
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12週 |
定常状態近似 |
・1次の積分形速度式を導くことができる。 ・2次の積分形速度式を導くことができる。 ・2次(2成分)の積分形速度式を導くことができる。 ・半減期を説明できる。 ・与えられた実験データから、速度定数、反応次数を求めることができる。
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13週 |
律速段階近似 |
・平衡反応における途中段階の濃度を求めることができる。 ・平衡反応における平衡時の濃度を求めることができる。
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14週 |
逐次反応、酵素反応 |
・逐次反応における中間体の正味の生成速度から微分方程式を立てることができる。 ・1階線形微分方程式を解き逐次反応の中間体、生成物濃度を求めることができる。 ・定常状態近似法を用いて多段階反応の速度定数を求めることができる。 ・リンデマン機構に従って生成速度、速度定数を求めることができる。 ・ミカエリスメンテン機構における、生成物の速度式を導くことができる。 ・酵素反応における最大速度を求めることができる。
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15週 |
定期試験 |
・25~31週までの内容を網羅した試験により、授業内容の定着を図る。
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16週 |
定期試験内容についての解説 |
・定期試験の内容を理解する。
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 無機化学 | 結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。 | 4 | 前1 |
分析化学 | 光吸収について理解し、代表的な分析方法について説明できる。 | 4 | 前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16 |
物理化学 | 純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。 | 4 | 後1,後2,後3,後4,後16 |
束一的性質を説明できる。 | 4 | 後5 |
蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。 | 4 | |
凝固点降下と浸透圧より、溶質の分子量を計算できる。 | 4 | |
相律の定義を理解して、純物質、混合物の自由度(温度、圧力、組成)を計算し、平衡状態を説明できる。 | 4 | 後6 |
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。 | 4 | 後7 |
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。 | 4 | 後7 |
平衡定数の温度依存性を計算できる。 | 4 | 後8 |
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。 | 4 | 後12 |
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。 | 4 | 後13 |
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる。 | 4 | 後14,後15,後16 |