物理化学Ⅲ※

科目基礎情報

学校 北九州工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 物理化学Ⅲ※
科目番号 0167 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 物質化学工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 前期:2 後期:2
教科書/教材 【教科書】  物理化学要論第5版 東京化学同人 P. W. Atkins著、千原秀昭他訳, 【参考書】  物理化学(上)、(下) 東京化学同人 P. W. Atkins、千原秀昭他訳
担当教員 小畑 賢次

到達目標

1.水素原子中の電子のエネルギー状態が離散的な値を取ることを説明できる。
2.1次元波動方程式を解くことができる。
3.代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。
4.化学結合の種類及び結合力や物質の例などを説明できる。
5.固体の結合力を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1水素原子中の電子のエネルギー状態が離散的な値を取ることを説明でき、応用できる。水素原子中の電子のエネルギー状態が離散的な値を取ることを説明できる。水素原子中の電子のエネルギー状態が離散的な値を取ることを説明できない。
評価項目21次元波動方程式を解くことができ、応用できる。1次元波動方程式を解くことができる。1次元波動方程式を解くことができない。
評価項目3代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明でき、応用できる。代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できない。
評価項目4化学結合の種類及び結合力や物質の例などを説明でき、応用できる。化学結合の種類及び結合力や物質の例などを説明できる。化学結合の種類及び結合力や物質の例などを説明できない。
評価項目5固体の結合力を説明でき、応用できる。固体の結合力を説明できる。固体の結合力を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
「物理化学」では物理的原理に基づいて化学現象を取り扱う。「物理化学」では、電子, 原子, 分子というミクロな立場を対象とする量子論を導入し、原子や分子の構造を量子論に基づいて学ぶと共に、化学結合がどのようにして生じるのか深い理解を得ることを目的とする。
授業の進め方・方法:
講義と並行して演習を行い、理解度を深める。
注意点:
3年次~4年次で学習した「物理化学Ⅰ・Ⅱ」、「物理化学演習」、「応用物理」等の科目を復習しておくこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 光電効果 ・光の振動数、仕事関数、光電子の運動エネルギーの関係が理解できる。
・波動-粒子の二重性について説明できる。
・ド・ブローイの式の意味が説明できる。
2週 原子・分子スペクトル ・原子・分子スペクトルと原子・分子のエネルギー準位の関係が理解できる。
3週 原子・分子スペクトル ・原子・分子スペクトルと原子・分子のエネルギー準位の関係が理解できる。
4週 シュレーディンガー方程式 ・シュレーディンガー方程式の解の意味が理解できる。
・ボルンの解釈が説明できる。
5週 不確定性原理 ・不確定性原理が説明できる。
6週 量子力学の応用 ・粒子の位置-運動量の不確定性について説明でき、数理的取扱いができる。
7週 量子力学の応用 ・粒子の位置-運動量の不確定性について説明でき、数理的取扱いができる。
8週 中間試験 ・1~7週までの内容を網羅した試験により、理解の定着を図る。
2ndQ
9週 水素型原子のエネルギー準位 ・ボーアの振動数条件が説明できる。
・水素型原子に許されるエネルギー準位について説明できる。
10週 量子数、波動関数 ・原子オービタルにおける3種の量子数について説明できる。
・水素原子の1sオービタルが理解でき、核の周りの電子を見出す確率が求められる。
11週 電子スピン ・水素原子のp、dオービタルについて説明できる。
・水素型原子のスペクトル遷移の選択律が説明できる。
12週 多電子原子におけるパウリの排他原理・構成原理 ・多電子原子におけるオービタル近似について説明できる。
・パウリの排他原理が説明できる。
・多電子原子における電子の浸透と遮蔽の効果について理解できる。
・多電子原子の構成原理が理解できる。
・カチオン、アニオンの電子配置について説明できる。
13週 原子の性質の周期性 ・周期表上の原子半径の変化について説明できる。
・イオン化エネルギー、電子親和力について説明できる。
14週 複雑な原子のスペクトル ・項の記号の意味が説明できる。
15週 定期試験 ・9~14週までの内容を網羅した試験により、理解の定着を図る。
16週 定期試験内容の解説 定期試験の内容について理解する。
後期
3rdQ
1週 結合論 ・分子のポテンシャルエネルギー曲線について説明できる。
2週 原子価結合法(二原子分子、多原子分子) ・水素分子の波動関数について説明できる。
3週 分子軌道法(結合性軌道) ・結合性オービタル、反結合性オービタルについて説明できる。
4週 分子軌道法(結合性軌道) ・水素分子、ヘリウム分子の安定性について判定ができる。
5週 分子軌道法(反結合性軌道) ・第2周期の等核二原子分子の分子オービタルのエネルギー準位図が説明できる。
6週 分子軌道法(反結合性軌道) ・等核二原子分子の電子配置から結合次数を求めることができる。
7週 分子軌道法(二原子分子の構造) ・等核二原子分子の電子配置から結合次数を求めることができる。
8週 中間試験 ・17~25週までの内容を網羅した試験により、理解の定着を図る。
4thQ
9週 固体の結合力(バンド理論) ・イオン性、共有結合性、分子性固体を説明できること。
・電子伝導体、金属性導体、半導体、絶縁体, 超伝導体を説明できること。
・sバンド、pバンド、バンドギャップを説明できること。
・イオン結合モデルについて説明できること。
10週 固体の結合力(格子エンタルピー) ・ボルン・ハーバーのサイクルを理解し、応用できること。
・マーデルング定数、ボルン・メイヤーの式を理解し、応用できること。
11週 結晶構造(単位胞) ・結晶構造(単位胞)を理解し、応用できること。
・ミラー指数を用いて、格子面間隔を求められること。
12週 結晶構造(ブラッグの法則) ・ブラッグの法則を説明できること。
13週 結晶構造(金属結晶) ・金属結晶における最密パッキング構造、配位数、充填率を理解し、応用できること。
14週 結晶構造(イオン結晶) ・イオン結晶における配位数を理解し、応用できること。
・半径比の規則を理解し、イオン半径を理解し、応用できること。
15週 定期試験 ・27~34週までの内容を網羅した試験により、理解の定着を図る。
16週 定期試験内容の解説 定期試験の内容を解説し、理解する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。4前10
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。4前13
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。4前14
代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。4前12,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後14
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。4後9,後10,後11,後12,後13,後15,後16

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000200100
基礎的能力0000000
専門的能力80000200100
分野横断的能力0000000