微生物工学

科目基礎情報

学校 北九州工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 微生物工学
科目番号 0177 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質化学工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「微生物学 (基礎生物学テキストシリーズ 4)」 青木 健次 (化学同人)
担当教員 水野 康平

到達目標

本授業では、微生物の産業利用を理解できるために必要な微生物についての基礎知識学ぶことを目的とする。 微生物は産業上有用な酵素や抗生物質どの生産、 発酵食品の製造などに利用されている。また、近年、環境浄化のために、さまざな有害物質を微生物によって分解する試みなどもある。これらの産業や研究を理解するための基礎となる微生物の種類と同定法、代謝について学習する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1微生物の分類(真核原、ウイルス等) を具体例を挙げて生物学的に理解できる。微生物の分類(真核原、ウイルス等) が生物学的に理解できる。微生物の分類(真核原、ウイルス等) が生物学的に理解できない。
評価項目2微生物の代謝活動を化学反応の全体として化学的に理解できる。微生物の代謝活動を化学的に理解できる。微生物の代謝活動を化学的に理解できない。
評価項目3産業利用における代謝を生物学的に具体例をいくつか挙げて理解できる。産業利用における代謝を生物学的に理解できる。産業利用における代謝を生物学的に理解できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本授業では、微生物の産業利用を理解できるために必要な微生物についての基礎知識学ぶことを目的とする。 微生物は産業上有用な酵素や抗生物質どの生産、 発酵食品の製造などに利用されている。また、近年、環境浄化のために、さまざな有害物質を微生物によって分解する試みなどもある。これらの産業や研究を理解するための基礎となる微生物の種類と同定法、代謝について学習する。
授業の進め方・方法:
注意点:

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 微生物学の歴史1
近現代生物学
19世紀の生物学と微生物学の進展 ダーウィン、メンデル、パスツールなど
2週 微生物学の歴史2
近現代微生物学
19世紀の生物学と微生物学の進展 パスツール「自然発生説の否定」、コッホの4原則など
3週 微生物の分類と同定法1
生物を分類するとは?
ウイルス、細菌、真菌類、原生動物などについて代表的ものを取り上げながら、その同定法(生化学的、遺伝子工学的)も併せて説明していく。
4週 微生物の分類と同定法2
分類学者たち
生物の分類の歴史(リンネ、ヘッケル、ホイタッカー、ウーズ)
5週 微生物の分類と同定法3
遺伝子型
微生物の分類法 ~genotype遺伝子型の分類法~
ウーズのリボソームRNAによる3ドメイン説と進化系統樹解析
6週 中間試験
7週 微生物の分類と同定法4
表現型
微生物の分類法 ~phenotype表現型の分類法~
微生物の代謝マップ
多様な電子供与体と末端電子受容体
ATP合成系(化学合成、光合成)
炭素固定(独立と従属)
呼吸鎖(嫌気性、好気、通性嫌気性)
8週 微生物の分類と同定法4
代謝回路
代謝回路 ~解糖系から電子伝達系まで~
ATPと補酵素(NADH、FADH etc)について
電子伝達系のしくみ
プロトン勾配とATP合成酵素
2ndQ
9週 微生物の分類と同定法5
主な細菌
主な細菌
大腸菌群、有胞子細菌、乳酸菌など
野口英世とスピロヘータ
10週 微生物の分類と同定法6
主な細菌
主な細菌
放線菌、光合成細菌など
抗生物質と薬剤耐性菌
11週 微生物の分類と同定法7
ウイルス、原生動物、その他
ウイルスの生活環
溶原サイクルと溶菌サイクル
インフルエンザウイルスの毒性
プリオンと狂牛病
12週 微生物と物質生産制御1 物質生産としての代謝
基本(転写と翻訳)
オペロンとは何か
ラクトース・オペロンを例に
13週 微生物と物質生産制御2 物質生産としての代謝
基本となる概念
フィードバック制御とは
アロステリック制御とは
14週 微生物と物質生産制御3 物質生産としての代謝
転写とシグマ・サイクル
15週 微生物と物質生産制御4 物質生産としての代謝
2成分調節制御とリン酸化ネットワーク
16週 前期期末試験
後期
3rdQ
1週 微生物と産業1 アルコー発酵、アミノ酸発酵、抗生物質生産菌の探索などについて具体的例を挙げて説明する。
2週 微生物と産業2 スクリーニング手法について
抗生物質生産菌の探索
3週 微生物と産業3 育種 アミノ酸発酵菌を例に
コリネバクテリウム属の育種
4週 微生物と産業4 育種 アミノ酸発酵菌を例に
コリネバクテリウム属の育種
変異誘導、アナログについて
5週 微生物と産業5 細胞による物質生産の新しい技術(遺伝子組み換え体、無細胞タンパク合成系)について
6週 微生物と産業6 遺伝子組換えの原理1
ベクターと宿主について
7週 微生物と産業7 遺伝子組換えの原理2
ベクターの種類と原理
8週 微生物と産業8 無細胞合成系について
4thQ
9週 微生物と環境1 環境に適応する能力、環境を浄化する能力(ホルモン分解)、環境を創出する能力(大気の創成、地質化学への貢献)について概説する。
10週 中間試験
11週 微生物と環境2 物質循環と微生物(炭素、窒素、硫黄循環)に貢献する微生物について
12週 微生物と環境3 環境問題と微生物の浄化利用
PCB、ダイオキシン分解菌の代謝について
13週 微生物と病気1 感染症について
食中毒細菌、ウイルスなど
14週 微生物と病気2 感染症について
主な感染症とインフルエンザウイルスの毒性について
15週 微生物と病気3 感染症について
薬剤耐性菌について
16週 後期定期試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物原核生物と真核生物の違いについて説明できる。4
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。4
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。4
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。3
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4
脂質の機能を複数あげることができる。4
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。4
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。4
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。4
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。3
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4
タンパク質の高次構造について説明できる。4
ヌクレオチドの構造を説明できる。4
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。4
DNAの半保存的複製を説明できる。3
RNAの種類と働きを列記できる。4
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。3
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。4
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。4
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。4
解糖系の概要を説明できる。3
クエン酸回路の概要を説明できる。3
酸化的リン酸化過程におけるATPの合成を説明できる。3
嫌気呼吸(アルコール発酵・乳酸発酵)の過程を説明できる。3
生物工学原核微生物の種類と特徴について説明できる。3
真核微生物(カビ、酵母)の種類と特徴について説明できる。3
微生物の増殖(増殖曲線)について説明できる。3
微生物の育種方法について説明できる。3
微生物の培養方法について説明でき、安全対策についても説明できる。3
アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。3
抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。4
微生物を用いた廃水処理・バイオレメディエーションについて説明できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力0000000
専門的能力10000000100
分野横断的能力0000000