流動システム工学

科目基礎情報

学校 北九州工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 流動システム工学
科目番号 1044 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生産デザイン工学専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 「流れ学 」松永成徳ほか3名(朝倉書店)
担当教員 安信 強

到達目標

1. 粘性流体の性質,粘性流体の基礎式の導出を説明でき,圧力や速度などを計算できる。
2. 圧縮性流体の性質,圧縮性流体の基礎式の導出を説明でき,圧力や速度などを計算できる。
3. 流れのシミュレーションの原理や種類を説明でき,簡単なプログラムを作成できる。
4. 流れの計測方法の原理と種類を説明でき,圧力や速度などを計算できる。
5. 流体機械の原理と種類を説明でき,得られる動力や効率などを計算できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安(不可)
評価項目1粘性流体の解析で必要となるナビエストークス方程式や境界層方程式の導出を理解でき,圧力や速度などを計算できる。教えた内容に基づいて,粘性流体の解析で必要となるナビエストークス方程式や境界層方程式の導出や,圧力,速度などを計算できる。粘性流体の解析で必要となるナビエストークス方程式や境界層方程式の導出,圧力,速度などを計算できない。
評価項目2圧縮性流体の基礎なる等エントロピー流れや衝撃波背後の関係式の導出を理解でき,圧力や速度などを計算できる。教えた内容に基づいて,圧縮性流体の基礎なる等エントロピー流れや衝撃波背後の関係式の導出や,圧力や速度などを計算できる。圧縮性流体の基礎なる等エントロピー流れや衝撃波背後の関係式の導出,圧力や速度などを計算できない。
評価項目3流体の計測原理や方法を理解でき,原理に基づいて圧力や速度などを計算できる。教えた内容に基づいて流体の計測原理や方法を理解でき,簡単な圧力や速度などを計算できる。流体の計測原理や方法,簡単な圧力や速度などを計算できない。
評価項目4流体機械の原理や種類を理解でき,原理に基づいて得られる動力や効率などを計算できる。教えた内容に基づいて流体機械の原理や種類を理解でき,簡単な動力や効率などを計算できる。流体機械の原理や種類,動力や効率などを計算できない。

学科の到達目標項目との関係

専攻科課程教育目標、JABEE学習教育到達目標 SB① 共通基礎知識を用いて、専攻分野における設計・製作・評価・改良など生産に関わる専門工学の基礎を理解できる。
専攻科課程教育目標、JABEE学習教育到達目標 SB② 自主的・継続的な学習を通じて、専門工学の基礎科目に関する問題を解決できる。
専攻科課程教育目標、JABEE学習教育到達目標 SD① 専攻分野における専門工学の基礎に関する知識と基礎技術を総合し、応用できる。

教育方法等

概要:
産業界の各種プラントや大気海洋,生体内などでは流体の移動現象(流動)が生じ,物理現象の全体やプラントや機器の性能に強く影響する。この授業では流体の流動に注目し,本科で修得した粘性流体と圧縮性流体の基本を基に,具体的な流動現象の原理や性質を説明し,速度や圧力などの計算について講義する。また,流動する流体の計測方法の原理と種類,簡単な計算方法,さらに,日常生活に欠かせないエネルギーの取得として利用されている風車や水車の原理と種類,簡単な計算方法についても説明する。
授業の進め方・方法:
本科で習得した水力学や流体力学などの基本理論を基に,具体的な方程式を導出し,より高度な問題の計算に取りくむ。そのため,本科で習得した水力学や流体力学などの基本理論や,具体的な方程式の導出時に微分積分,偏微分などの数学の理論を使用するので,必要に応じて数学についても予習,復習することが望ましい。また,水力学や流体力学に関する基礎知識があることを前提に授業を進めるが,流体工学を学んでいない学生にも理解できるように実例や例題,IT教材等を用いて説明し,必要に応じて補足資料を用意する。
注意点:
・自学自習について
主要な単元ごとに課題を与え,レポートとして提出させる。また,授業で用いる式の説明では途中の計算過程を省略する場合があるので,自学自習の時間を利用して導出させ,理解度の向上に努める。
・授業で演習を行うので、電卓を持参すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 1.粘性流体の流れ
応力テンソル,流体の加速度,流体の変形,レイノルズ数
応力テンソル,流体の加速度,流体の変形,レイノルズ数を説明でき,演習問題を計算できる。
2週 2.粘性流体の流れ
粘性流体の性質,ナビエストークス方程式と解法例
粘性流体の性質,ナビエストークス方程式を説明でき,解法例を理解できる。
3週 3.粘性流体の流れ
境界層方程式と境界層流れ
境界層方程式を説明でき,境界層流れの境界層の排除厚さ,運動量厚さを計算できる。
4週 4.粘性流体の流れ
境界層方程式と境界層流れ
境界層方程式を説明でき,境界層流れの境界層の排除厚さ,運動量厚さを計算できる。
5週 1.圧縮性流れ
波動,音波と音速,マッハ数,衝撃波
波の発生と波の特性,音波の性質と衝撃波について説明でき,音速とマッハ数について計算できる。
6週 2.圧縮性流れ
等エントロピー流れ
等エントロピー流れの性質について説明でき,圧力,速度,密度などを計算できる。
7週 3.圧縮性流れ
流れのチョークと衝撃波の発生,先細ノズルとラバルノズル
流れのチョークと衝撃波の発生について説明でき,先細ノズル,ラバルノズル内の流れの圧力,速度,密度などを計算できる。
8週 4.圧縮性流れ
衝撃波前後の関係式
衝撃波前後の関係式を説明でき,衝撃波前後の圧力や密度などを計算できる。
2ndQ
9週 1.流れのシミュレーション
流れのシミュレーションの基礎
流れのシミュレーションの原理や種類を説明でき,簡単なシミュレーションプログラムを作成できる。
10週 1.流体の計測
流れの可視化
流れの可視化方法について説明できる。
11週 2.流体の計測
圧力の測定
圧力の測定方法について説明でき,問題を計算できる。
12週 3.流体の計測
速度および流量の測定
速度および流量の測定方法について説明でき,問題を計算できる。
13週 1.流体機械
流体機械の基礎
流体のエネルギーとエネルギー変換について説明でき,問題を計算できる。
14週 2.流体機械
風車
風車の原理と種類について説明でき,風車で得られる動力,効率を計算できる。
15週 3.流体機械
水車
水車の原理と種類について説明でき,風車で得られる動力,効率を計算できる。
16週 定期試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体流体の定義と力学的な取り扱い方を理解し、適用できる。4
流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。4
ニュートンの粘性法則、ニュートン流体、非ニュートン流体を説明できる。4
絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる。4
パスカルの原理を説明できる。4
液柱計やマノメーターを用いた圧力計測について問題を解くことができる。4
平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。4
物体に作用する浮力を計算できる。4
定常流と非定常流の違いを説明できる。4
流線と流管の定義を説明できる。4
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。5
オイラーの運動方程式を説明できる。4
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。5
運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。5

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ演習問題およレポート等合計
総合評価割合70000030100
基礎的能力200000525
専門的能力4000002060
分野横断的能力100000515