物理数学特論

科目基礎情報

学校 北九州工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 物理数学特論
科目番号 0038 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生産デザイン工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 ノート講義
担当教員 油谷 英明,宮内 真人

到達目標

1.オイラーの公式を理解し、三角関数、双曲線関数、指数関数への応用計算ができる。
2.定数係数1階・2階線形微分方程式における解法(特性方程式、演算子、ラプラス変換)を、各物理現象(振動、連成振動)の方程式(斉次・非斉次)にあてはめて、その解を導くことができる。
3.2階偏微分方程式と波動方程式を理解し、境界条件・初期条件を含む方程式の解を導くことができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1オイラーの公式を導出することができ、三角関数、双曲線関数、指数関数としての応用計算ができるようになる。オイラーの公式を導出することができ、三角関数、双曲線関数、指数関数としての基本計算ができるようになる。オイラーの公式を導出することができない、また三角関数、双曲線関数、指数関数としての基本的な計算ができない。
評価項目2定数係数1階微分方程式、2階微分方程式における特性方程式、演算子、ラプラス変換による解法を、各物理現象の斉次・非斉次方程式に適用して、境界条件・初期条件を含めてその解を導くことができる。定数係数1階微分方程式、2階微分方程式における特性方程式、 演算子、ラプラス変換による解法を用いて基本的な斉次・非斉次方程式に適用してその解を導くことができる。定数係数2階微分方程式における解法の過程を理解できず、各物理現象の方程式の解を検証することが出来ない。
評価項目32階偏微分方程式と弦の振動における波動方程式を理解し、境界条件・ 初期条件を含む方程式の解を導くことができる。2階偏微分方程式と波動方程式、その解法を示して、一般解を導くことができる。2階偏微分方程式、波動方程式を示すことが出来ず、方程式の解を検証することが出来ない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
各種物理現象や工学問題の数学的表現は微分方程式となることが多く、技術者にとってはこれら微分方程式の理解が極めて重要である。本講義ではオイラーの公式からスタートし、具体的問題をとりあげながら,1階常微分方程式,2階常微分方程式,1次元偏微分方程式の基本的事項と工学分野での応用について学ぶ。
授業の進め方・方法:
体系的な学習のため、1.数学、物理法則からの式の導出、2.一般解、初期条件,境界条件による特殊解の理解、3.方程式から得られた解の物理的工学的解釈 、4.グループ学習・ピア学習による理解の促進、5.グローバルエンジニア育成としての英語による解説、試験も行われる。融合複合工学におけるエンジニアとして、これらの複数の観点から学習に臨むことが重要である。
注意点:
補助教材として動画資料やグループ学習用大判プリント教材(LSH)、課題プリントなどを活用しながら継続的に学習していくことが重要である。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 オイラーの公式と自然対数の底ネイピア数について、三角関数と双曲線関数について、総合演習LSH利用 オイラーの公式を用いて三角関数と双曲線関数について基本的計算ができる。グループ学習討議
2週 粘性抵抗及び慣性抵抗による物体の減速:1階定係数常微分方程式と指数関数を用いた解法 1階定係数常微分方程式を指数関数を用いて解くことができる。
3週 R-C回路の過渡応答 他方程式の形が同じになる例 R-C回路の過渡応答を求めることができる
4週 質量-ばね系の振動:2階定係数微分方程式と複素指数関数を用いた解法 2階定係数微分方程式を複素指数関数を用いた解くことができる。
5週 強制振動と変位共振・速度共振 強制振動の微分方程式を解き、変位共振・速度共振を求めることができる。
6週 過渡応答とラプラス変換について ラプラス変換の方法を理解してと基本的な計算ができる。
7週 ラプラス変換についての演習、総合演習LSH利用  ラプラス変換の諸定理の証明と基本的な計算ができる。グループ学習討議
8週 中間試験
4thQ
9週 連立微分方程式① 相互誘導結合回路の例 連立微分方程式としての相互誘導結合回路を解くことができる。
10週 連立微分方程式② 3つのばねと2つのおもりからなる振動系 連立微分方程式としての3つのばねと2つのおもりからなる振動系を解くことができる。
11週 連立微分方程式③ 連成振り子 連立微分方程式として連成振り子を解くことができる。
12週 連立常微分方程式とその解法,固有値,固有ベクトル 連立常微分方程式の解法として,固有値,固有ベクトルを利用することができる。
13週 波動の偏微分方程式とその解法 偏微分方程式として波動方程式の解法を示し、解を導出することができる。
14週 弦の振動と境界条件,波動の偏微分方程式とその解法 偏微分方程式として波動方程式を境界条件を含み解を導出することができる。
15週 固有値,固有関数,固有関数による展開、総合演習LSH利用 微分方程式において固有値,固有関数,固有関数による展開して解を求めることができる。グループ学習討議
16週 学年末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算ができる。4後1,後4
公式等を利用して因数分解ができる。4後4
分数式の加減乗除の計算ができる。4後6
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の基本的な計算ができる。4後5
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。4後5
複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。4後4
2次方程式を解くことができる(解の公式も含む)。4後1,後4
因数分解を利用して、基本的な高次方程式を解くことができる。4後4
基本的な連立方程式を解くことができる。具体的には、1次式と2次式の連立方程式を解くことができる。4後9,後10
基本的な無理方程式・分数方程式を解くことができる。4後2,後4
2次関数の性質を理解し、グラフをかくことができ、最大値・最小値を求めることができる。4後4,後5
分数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。4後2,後5
基本的な関数の逆関数を求め、そのグラフをかくことができる。4後2
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。4後1,後5
指数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。4後1
指数関数を含む基本的な方程式を解くことができる。4後1
対数を利用した計算ができる。4後1
対数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。4後1
対数関数を含む基本的な方程式を解くことができる。4後1
角を弧度法で表現することができる。4後1
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。4後1
加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。4後1
三角関数を含む基本的な方程式を解くことができる。4後1
行列の定義を理解している。4後12,後15
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。4後12,後15
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。4後12,後15
線形変換の定義を理解している。4後15
合成変換と逆変換を求めることができる。4後15
平面内の回転を表す線形変換を求めることができる。3後15
いろいろな関数の極限を求めることができる。4後2
微分係数の意味を理解し、求めることができる。4後2,後3
積・商の導関数の公式を使うことができる。4後2,後3
合成関数の導関数を求めることができる。4後2,後3
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。4後2,後3
逆三角関数を理解している。逆三角関数の導関数を求めることができる。4後1
関数の増減表をかいて、極値を求め、グラフの概形をかくことができる。4後2
関数の最大値・最小値を求めることができる。4後2
基本的な関数の接線の方程式を求めることができる。4後2,後3
2次以上の導関数を求めることができる。4後2,後3
関数の媒介変数表示を理解し、その導関数を計算できる。4後2,後3
不定積分の定義を理解している。4後14
置換積分および部分積分を用いて、不定積分を求めることができる。4後3
定積分の定義を理解している(区分求積法)。4後3
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分の計算ができる。4後3
2変数関数の定義域やグラフを理解している。4後13
合成関数の偏微分法を利用した計算ができる。4後13,後14
基本的な関数について、2次までの偏導関数を計算できる。4後13,後14
偏導関数を用いて、基本的な2変数関数の極値を求めることができる。4後13,後14
微分方程式の意味を理解している。4後2,後3,後4
基本的な1階線形微分方程式を解くことができる。4後2
定数係数2階斉次線形微分方程式を解くことができる。4後3,後4

評価割合

試験課題相互評価グループワークポートフォリオその他合計
総合評価割合702001000100
基礎的能力7020050095
専門的能力0000000
分野横断的能力0005005