物理数学特論

科目基礎情報

学校 北九州工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 物理数学特論
科目番号 0042 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生産デザイン工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 「物理のための数学」和達三樹(岩波書店)
担当教員 坪田 雅功

到達目標

1.常微分方程式、偏微分方程式で表される様々な物理現象を理解し、方程式の解法を習得することで典型的な物理問題の計算ができる。
2.ベクトルの基本性質を理解し、ベクトルの微分やベクトル微分演算子を用いて様々な物理現象を記述することができる。
3.多重積分、線積分、面積分、体積積分の性質や計算法を習得し、様々な物理現象の記述に応用し、計算を実行できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1常微分方程式、偏微分方程式の解法を用いて、様々な物理現象についての応用計算ができる。常微分方程式、偏微分方程式の基本計算ができる。常微分方程式、偏微分方程式の基本計算ができない。
評価項目2ベクトルの基本性質を理解し、ベクトルの微分やベクトル微分演算子を用いて様々な物理現象を記述することができる。ベクトルの基本性質を理解し、ベクトルの微分やベクトル微分演算子の基本計算ができる。ベクトル積やベクトルの微分、ベクトル微分演算子の基本計算ができない。
評価項目3多重積分、線積分、面積分、体積積分の性質や計算法を習得し、様々な物理現象の記述に応用し、計算を実行できる。多重積分、線積分、面積分、体積積分の性質を理解し、基本的な計算ができる。多重積分、線積分、面積分、体積積分の基本的計算ができるない。

学科の到達目標項目との関係

専攻科課程教育目標、JABEE学習教育到達目標 SA① 数学・物理・化学などの自然科学、情報技術に関する共通基礎を理解できる。
専攻科課程教育目標、JABEE学習教育到達目標 SA② 自主的・継続的な学習を通じて、共通基礎科目に関する問題を解決できる。
専攻科課程教育目標、JABEE学習教育到達目標 SB① 共通基礎知識を用いて、専攻分野における設計・製作・評価・改良など生産に関わる専門工学の基礎を理解できる。
専攻科課程教育目標、JABEE学習教育到達目標 SB② 自主的・継続的な学習を通じて、専門工学の基礎科目に関する問題を解決できる。

教育方法等

概要:
微分方程式、ベクトル解析は各種物理現象を描写する上で用いられることが多く、理工学分野においてその理解は極めて重要である。本講義では、微分方程式、ベクトル解析、各種積分について、力学、電磁気学、熱・統計力学、量子力学等での物理問題を解く上での具体的な使用方法も交えて学ぶ。
授業の進め方・方法:
基本的に教科書に準じて講義を行う。単調な数式等やそれら解法の暗記ではなく、数式等の持つ物理的意味や背景の説明に重点を置いた解説に努める。また、講義の復習を促すため、数回程度課題を課す。中間と期末と2回に分けた試験を実施することで授業に緊張感を持たせるとともに、より的確な評価を狙う。
注意点:
物理数学が何故重要なのか、必要なのかという点を理解してもらうことが重要であり、数式が持つ意味や応用を丁寧に説明し、重要なポイントを押さえることを狙いとして講義を進める。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 三角関数、指数関数、対数関数、偏微分 三角関数、指数関数、対数関数、複素関数の性質を理解し、証明することができる。偏微分の計算ができる。
2週 常微分方程式(1):1階微分方程式 様々な形態の1階微分方程式を解くことができる。更にRL回路や理想気体の状態方程式の問題解法に応用できる。
3週 常微分方程式(2):2階微分方程式 2階微分方程式の解法を理解し、1次元シュレーディンガー方程式の問題や振動問題の解法に応用できる。
4週 常微分方程式(3):2階微分方程式 2階微分方程式の解法を理解し、1次元シュレーディンガー方程式の問題や振動問題の解法に応用できる。
5週 偏微分方程式(1):1次元波動方程式 基本的な1次元波動方程式を解くことができる。境界値問題に着目し、様々な振動問題を解くことができる。
6週 偏微分方程式(2):1次元熱伝導方程式 1次元熱伝導方程式の基本問題を解ける。
7週 偏微分方程式(3):2次元波動方程式
フーリエ級数(1):フーリエ級数、正弦/余弦級数
2次元波動方程式の基本問題を解き、その際必要なフーリエ級数の意味を合わせて理解する。
8週 中間試験:これまでの復習 理解度確認とともに復習により補強を行う。
4thQ
9週 フーリエ級数(2):フーリエ積分、フーリエ変換 フーリエ積分、フーリエ変換の基礎的な理解を深め、説明ができる。
10週 ベクトルと行列 内積、外積、行列式、各種特殊行列の性質を理解し、基本的計算ができる。行列の対角化、座標変換ができる。
11週 ベクトルの微分と微分演算子(1) ベクトルの微分を用いて、極座標系の力学問題を解くことができる。
12週 ベクトルの微分と微分演算子(2) ベクトル場、ベクトル演算子について理解し、マクスウェル方程式の微分形について説明できる。
13週 多重積分、線積分、面積分(1) 多重積分の基本的計算ができ、慣性モーメント、電場等の様々な物理量の計算ができる。
14週 多重積分、線積分、面積分(2) ストークスの定理について理解し、保存力の導出や、アンペールの法則の問題が解ける。
15週 ガウスの定理、ストークスの定理 ガウスの定理及びストークスの定理の意味を理解し、関連する電磁気学の問題が解ける。
16週 学年末試験 期間全体の理解度を確認する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。4後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後15
因数定理等を利用して、4次までの簡単な整式の因数分解ができる。4後1
分数式の加減乗除の計算ができる。4後1
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。4後1
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。4後1
複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。4後1
2次関数の性質を理解し、グラフをかくことができ、最大値・最小値を求めることができる。4後4,後5
分数関数や無理関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。4後2,後5
簡単な場合について、関数の逆関数を求め、そのグラフをかくことができる。4後2
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。4後1,後15
指数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。4後1,後15
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。4後1,後15
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。4後1,後15
対数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。4後1,後15
対数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。4後1,後15
角を弧度法で表現することができる。4後1,後15
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。4後1,後15
加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。4後1,後15
三角関数を含む簡単な方程式を解くことができる。4後1,後15
三角比を理解し、簡単な場合について、三角比を求めることができる。4後1,後15
一般角の三角関数の値を求めることができる。4後1,後15
放物線、楕円、双曲線の図形的な性質の違いを区別できる。4後1
行列の定義を理解し、行列の和・差・スカラーとの積、行列の積を求めることができる。4後8,後15
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。4後8,後15
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。4後8,後15
線形変換の定義を理解し、線形変換を表す行列を求めることができる。4後8,後15
合成変換や逆変換を表す行列を求めることができる。4後8,後15
平面内の回転に対応する線形変換を表す行列を求めることができる。3後8,後15
簡単な場合について、関数の極限を求めることができる。4後2
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。4後2,後3
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。4後2,後3
合成関数の導関数を求めることができる。4後2,後3
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。4後1,後2,後3
逆三角関数を理解し、逆三角関数の導関数を求めることができる。4後1,後2,後3
関数の増減表を書いて、極値を求め、グラフの概形をかくことができる。4後2
関数の媒介変数表示を理解し、媒介変数を利用して、その導関数を求めることができる。4後2,後3,後4,後5,後6
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。4後2,後11,後14
置換積分および部分積分を用いて、不定積分や定積分を求めることができる。4後11
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。4後11
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。4後2,後11
2変数関数の定義域を理解し、不等式やグラフで表すことができる。4後1,後5,後6,後7,後13
合成関数の偏微分法を利用して、偏導関数を求めることができる。4後1,後5,後6,後7,後13,後14
簡単な関数について、2次までの偏導関数を求めることができる。4後5,後6,後7,後13,後14
偏導関数を用いて、基本的な2変数関数の極値を求めることができる。4後7,後13,後14
微分方程式の意味を理解し、簡単な変数分離形の微分方程式を解くことができる。4後2
簡単な1階線形微分方程式を解くことができる。4後2
定数係数2階斉次線形微分方程式を解くことができる。4後3,後4
簡単な1変数関数の局所的な1次近似式を求めることができる。4後1
1変数関数のテイラー展開を理解し、基本的な関数のマクローリン展開を求めることができる。4後1
オイラーの公式を用いて、複素数変数の指数関数の簡単な計算ができる。4後1
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能日本語と特定の外国語の文章を読み、その内容を把握できる。4後7,後15
他者とコミュニケーションをとるために日本語や特定の外国語で正しい文章を記述できる。4後7,後15
他者が話す日本語や特定の外国語の内容を把握できる。4後7,後15
円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。4後7,後15
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。4後1,後7,後15
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。4後1,後7,後15
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。4後1,後7,後15
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。4後1,後7,後15
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。4後1,後7,後15
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。4後1,後7,後15
あるべき姿と現状との差異(課題)を認識するための情報収集ができる4後1,後7,後15
複数の情報を整理・構造化できる。4後1,後7,後15
特性要因図、樹形図、ロジックツリーなど課題発見・現状分析のために効果的な図や表を用いることができる。4後1,後7,後15
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。4後1,後7,後15
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。4後1,後7,後15
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。4後1,後7,後15
事実をもとに論理や考察を展開できる。4後1,後7,後15
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。4後1,後7,後15

評価割合

試験課題相互評価グループワークポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力80200000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000