水力学

科目基礎情報

学校 北九州工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 水力学
科目番号 0013 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生産デザイン工学科(機械創造システムコース) 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「演習 流体工学(基礎数学完全マスター)」、西原一嘉、横谷眞一郎、井口 學 著、電気書院
担当教員 島本 憲夫

到達目標

1.流体の物理量、静止流体の特性(圧力、浮力、パスカルの法則)を説明でき、物理量を計算できる。
2.運動する流体について質量保存則(連続の式)、ベルヌーイの定理、運動量の法則を説明でき、流体の物理量を計算できる。
3.管路流れ状態(層流、乱流、ポアゼイユ流れ)を説明でき、管路系システムでの流体の諸損失が計算できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1流体の物理量、静止流体の特性を説明でき、複合した応用問題を解くことができる。流体の物理量、静止流体の特性を説明でき、基本問題を解くことができる。流体の物理量、静止流体の特性についての基本問題を解けない。
評価項目2運動する流体について質量保存則、ベルヌーイの定理、運動量の法則を説明でき、複合した応用問題を解くことができる。運動する流体について質量保存則、ベルヌーイの定理、運動量の法則を説明でき、基本問題を解くことができる。運動する流体について質量保存則、ベルヌーイの定理、運動量の法則についての基本問題が解けない。
評価項目3管路流れ状態(層流、乱流)を判定でき、管路系システムでの流体損失を求める応用問題を解くことができる。管路流れ状態(層流、乱流)を判定でき、管路系システムでの流体損失を求める基本問題を解くことができる。管路流れにおける管路系システムでの流体損失の基本問題が解けない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本授業では、静止および運動している流体についての速度、力、エネルギーなどの物理量の関係を力学的な観点から学習することを目的とする。水力学は、経験的な知識や実験で得られた結果から流体現象を合理的に扱うように体系づけられた学問であり、機械工学における基礎科目の一つである。また5学年科目である流体力学へつながる導入部分の位置づけであり、水力学での学習事項を確実に習得させる。
授業の進め方・方法:
使用する教科書では、重要な定義や概念、法則、定理などが簡潔にしめされており、例題が多く取り入れられている。これら例題に加えて演習問題を追加する形で、流体の物理量の具体的な計算が習得できるように進めていく。
注意点:
流体では様々な単位が使用される。単位を意識して、流体現象の理解と物理量の計算に取り組んでもらいたい。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
流体の基礎と物理量
学習の目的と学習のスケジュールを理解し、説明できる。
単位系と流体に関する物理量(密度、比重量、比重)が説明でき、計算ができる。
2週 流体のせん断応力(ニュートンの粘性法則) ニュートンの粘性法則が説明でき、せん断応力が計算ができる。
3週 静止流体:圧力 静止流体での圧力の性質を説明できる。液柱による圧力計算ができる。
4週 静止流体:マノメータ マノメータにより圧力を求める問題を解くことができる。
5週 静止流体:浮力、表面張力 アルキメデスの原理による浮力を理解し、計算できる。表面張力の計算ができる。
6週 静止流体:壁に作用する力 水中内の壁に作用する流体力の計算ができる。
7週 演習問題による復習 第1週~第6週までの復習問題
8週 中間試験
2ndQ
9週 答案返却
運動流体の導入
運動流体について、静止流体との違いを説明できる。
10週 運動流体:連続の式、ベルヌーイの定理 連続の式の意味を説明でき、流量の計算ができる。ベルヌーイの定理の意味を説明でき、物理量の計算ができる。
11週 運動流体:連続の式、ベルヌーイの定理の応用 連続の式、ベルヌーイの式を連立した問題を解くことができる。
12週 運動流体:運動量の法則 流体が物体に対して及ぼす力を運動量の法則を用いて説明できる。
13週 運動流体:運動量の法則の応用 運動量の法則を用いて、流体が物体に対して及ぼす力を計算することができる。
14週 演習問題による復習 第9週~第13週までの復習問題
15週 期末試験
16週 答案返却
前期学習内容のポイント整理
前期学習内容での重要点を整理し、説明できる。
後期
3rdQ
1週 管路流れ:レイノルズ数による層流、乱流の判定 円管内のレイノルズ数を計算し、層流と乱流を判定できる。
2週 管路流れ:層流速度分布(ハーゲンポアゼイユ流れ) ハーゲンポアゼイユの式を導出することができる。
3週 管路流れ:管摩擦損失(ダルシーワイスバッハの式) ダルシーワイスバッハの式により圧力損失と損失ヘッドを記述することができる。
4週 管路流れ:管摩擦損失の計算、等価直径 ムーディ線図により管摩擦係数を求め、圧力損失、損失ヘッドを計算できる。
等価直径が計算でき、非円形断面管の損失を計算できる。
5週 管路流れ:管路における諸損失(ベンド、エルボー、入口、出口) 管路に関係した諸損失(ベンド、エルボー、入口、出口)を計算することができる。
6週 管路流れ:管路系の諸損失の計算 水槽タンクと管路系で構成されたシステムの諸損失を計算することができる。
7週 演習問題による復習 第1週~第6週までの復習問題
8週 中間試験
4thQ
9週 答案返却
境界層の基礎
流体中の物体まわりの流れの現象(境界層、はく離)を説明できる。
10週 流体中の物体に作用する力:抗力、揚力 流体中の物体まわりの流れにおいて、物体に作用する抗力と揚力を計算することができる。
11週 流体中の物体に作用する力:摩擦抵抗、終速度 流体中を移動する物体の終速度を計算できる。平板の摩擦抵抗を計算できる。
12週 次元解析:レイリーの方法、バッキンガムのπ定理 次元解析の手法を説明できる。レイリー法およびバッキンガムのπ定理を用いて、次元解析を行うことができる。
13週 応用・複合問題 時間によって変化する流体現象に関する問題を解くことができる。
14週 演習問題による復習 第9週~第13週までの復習問題
15週 定期試験
16週 答案返却
後期学習内容のポイント整理
後期学習内容での重要点を整理し、説明できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体流体の定義と力学的な取り扱い方を理解し、適用できる。4前1
流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。4前1
ニュートンの粘性法則、ニュートン流体、非ニュートン流体を説明できる。3前2
絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる。4前3
パスカルの原理を説明できる。4前3
液柱計やマノメーターを用いた圧力計測について問題を解くことができる。4前4
平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。4前6
物体に作用する浮力を計算できる。4前5
定常流と非定常流の違いを説明できる。3前9,前10
流線と流管の定義を説明できる。3前10
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。4前10
オイラーの運動方程式を説明できる。2前10
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。4前10
運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。4前12,前13
層流と乱流の違いを説明できる。3後1
レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。4後1
ダルシー・ワイスバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる。4後3
ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる。4後4
境界層、はく離、後流など、流れの中に置かれた物体の周りで生じる現象を説明できる。3後9
抗力について理解し、抗力係数を用いて抗力を計算できる。4後10
揚力について理解し、揚力係数を用いて揚力を計算できる。4後10

評価割合

試験課題発表態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力0000000
専門的能力80200000100
分野横断的能力0000000