熱機関工学

科目基礎情報

学校 北九州工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 熱機関工学
科目番号 0067 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生産デザイン工学科(機械創造システムコース) 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 熱機関工学(コロナ社)
担当教員 平島 繁紀

到達目標

1.蒸気表や蒸気線図を利用して蒸気原動機の効率計算ができると共に,各種蒸気サイクルとの効率比較ができる.                                                                                  
2.内燃機関の種類、構成および作動を理解し,基本サイクルと実際の内燃機関との違いを説明できる.
3.蒸気原動機,内燃機関,原子力発電の学習を通して環境に及ぼす影響を理解し,その説明ができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1蒸気表、蒸気線図から蒸気の物性値を読み取り,各種蒸気サイクルの理論熱効率が計算できる.蒸気原動機と蒸気表、蒸気線図との関連が説明できる.水の状態変化や蒸気の熱的性質が説明できない.
評価項目2内燃機関の効率や,基本サイクルと実際の内燃機関との違いが説明できる.内燃機関の作動説明ができ,出力や効率などの計算ができる.内燃機関の作動説明ができない.
評価項目3熱機関を使用する意義や問題点について,地球環境やエネルギー事情を踏まえて説明ができる.熱機関と環境問題の関連が説明できる.熱機関と環境問題の関連が説明できない.

学科の到達目標項目との関係

準学士課程の教育目標 B① 専門分野における工学の基礎を理解できる。
準学士課程の教育目標 B② 自主的・継続的な学習を通じて、専門工学の基礎科目に関する問題を解くことができる。
準学士課程の教育目標 F② 工業技術と社会・環境との関わりを考えることができる。
専攻科課程教育目標、JABEE学習教育到達目標 SB① 共通基礎知識を用いて、専攻分野における設計・製作・評価・改良など生産に関わる専門工学の基礎を理解できる。
専攻科課程教育目標、JABEE学習教育到達目標 SB② 自主的・継続的な学習を通じて専門工学の基礎科目に関する問題を解決できる。
専攻科課程教育目標、JABEE学習教育到達目標 SF② 工業技術と社会・環境との関わりを理解し、社会・環境への効果と影響を説明できる。

教育方法等

概要:
化石燃料など有限な資源を効率よく利用することは、経済性のみならずCO2の排出による地球温暖化など地球環境に大きく関わる。本講義では、クリーンとされる電気エネルギーへの変換前の蒸気プラント、および内燃機関の性能・効率について学習する。また、原子力の利用など最近のエネルギー事情についても解説を行うと共に、各熱機関の有効利用と地球環境に及ぼす問題点等について考える。
授業の進め方・方法:
4年次学習した熱力学の応用として、蒸気サイクル、内燃機関、原子力発電を取り上げる。授業はノート講義形式で行うが、必要に応じて熱力の教科書および参考書を用いる。
注意点:
授業内容の予習・復習を兼ねて演習課題やレポートを課すので、授業の予習・復習として必ず自分の力で解くことを心がけること

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 1年間の学習に当たっての導入教育   (シラバス利用) 1年を通した講義の内容や進め方,学習方法について解説する.
2週 熱エネルギーへの変換と熱機関の定義 エネルギーの概念とその種類を理解すると共に,熱エネルギーとの関わりを理解する.
3週 蒸気の熱的性質 蒸気の発生と水の状態変化を理解する.
4週 蒸気表と蒸気線図の見方と利用方法 蒸気の熱力学的状態量と,その表示法である蒸気表と蒸気線図を読み取る.
5週 蒸気サイクル               (1)ランキンサイクル                       ランキンサイクルをT-s線図,h-s線図を用いながら理論熱効率の向上について理解する.
6週 蒸気サイクル                (2)再熱サイクル (3)再生サイクル                       ランキンサイクルの熱効率をさらに向上させる蒸気サイクルを理解する.
7週 蒸気サイクル                (4)再熱再生サイクル (5)複合サイクル                       実際の蒸気原動所で行われている蒸気サイクルを理解する.
8週 前期中間試験 1~7週までの内容を網羅した試験により授業内容の定着
2ndQ
9週 蒸気ボイラーの種類と機能 循環式ボイラーと貫流ボイラーの性能比較を理解する.
10週 ボイラーの性能 ボイラーの性能に関する定義を理解する.
11週 蒸気タービンの種類と機能 タービンの段,ノズルに関する効率を理解する.
12週 蒸気タービンの性能 速度三角形を描き,線図効率を計算する.
13週 蒸気タービンの全体性能 複数段のタービンの全体性能を理解する.
14週 蒸気原動機の総合効率 蒸気による発電までの総合効率を求める.
15週 内燃機関の概要 さまざまな内燃機関の種類を挙げ,その分類の仕方を理解する.
16週 前期期末試験 9~15週までの内容を網羅した試験により授業内容の定着
後期
3rdQ
1週 内燃機関の構造と作動 レシプロエンジンの構造と作動について理解する.
2週 ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの比較 ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違いを理解する.
3週 内燃機関の熱力学 熱力学の知識を基に,レシプロエンジンのモデルである理論空気サイクルの効率について理解する.
4週 内燃機関の性能評価 実際のエンジンの性能と理論空気サイクルの違いを理解する.
5週 内燃機関の効率1 図示熱効率と正味熱効率の違いを理解する.
6週 内燃機関の効率2 体積効率と充填効率の違いを理解し,機関の性能に及ぼす影響を考える.
7週 内燃機関の燃料 熱発生の源である内燃機関に使用される燃料について理解する.
8週 後期中間試験 17~23週までの内容を網羅した試験により授業内容の定着
4thQ
9週 内燃機関の燃焼 炭化水素系燃料の燃焼基礎式と発熱量の概算を求める.
10週 理論空気量の計算 燃料と空気の混合比である,空燃比,当量比,空気過剰率について理解する.
11週 排出ガスの特性と環境問題       有害排気ガス成分の低減法 内燃機関から排出される有害成分の影響と,地球環境問題について理解する.
12週 ガスタービンサイクルの基礎 可逆ガスタービンサイクルでるブレイトンサイクルの構成と理論効率
13週 核分裂反応の基礎 核分裂の基礎を理解し,原子力発電のメリットとデメリットを考える.
14週 現在のエネルギー事情         原子力発電と環境問題 現在のエネルギー事情を基に,今後の環境問題について考える.
15週 定期試験 25~30週までの内容を網羅した試験により授業内容の定着
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験課題合計
総合評価割合6040100
基礎的能力000
専門的能力6040100
分野横断的能力000